それは全くの偶然からの出会いでした。 2011年10月某日、前日に4人のメンバーで滋賀県北陸本線の煉瓦アーチ探索を終え、当日1人での探索となったわけです、 が。。。 当日のメインは岐阜県の旧国道418号線の二股隧道と旧道探索だったのですが、予想より早く終わり、帰りがてら気になる 隧道を当たっておりました。瑞浪市西端のベルフラワーカントリー倶楽部敷地内に記載のある道路トンネル表記が、水路隧道 2本(前沢ダム第1号、2号承水トンネル)だったり、他素掘り隧道もあったりで結構有意義な探索でした。そしてもう夕暮れ 間近、そろそろ高速で離脱しなければ〜って時に目に留まった1本のトンネル表記、それが可児市久々利にある「柿下トンネ ル」でした。 ご覧の通り、道は細いものの車道表記、2009年の県別マップルにも普通に表記があるため、当方の「遠征隧道集」に掲載 することだけを考えて現地を訪れました。細い道表記に長めのトンネル表記、これだけで結構そそられていたんです が。。。。。。。。。 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。これがあり得ない代物でした。。。 当日は1時間弱うろついたのですが、行っても行っても終わりが見えず。。。いや、柿下隧道1本ならすぐ終わりなんですが、ここ、 横穴がえげつない。。。何本もの横穴が縦横無尽に伸びているのです。よく覚えていないと来た道を見失います。。。 あまりの凄まじさに撃沈。。。とてもこんな時間からの探索は不可能。。。出直しだ。。。 |
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そして月日が流れ。。。 約2か月後の12月はクリスマス前、遂に本格調査隊を結成しました! 調査隊のメンバーは、ピカさんとおろろんさん、私の3名! っと、現地調査の前に、この隧道がどういったものかをお伝えしましょう。 おろろん氏が図書館でこのあり得ない物件に関して調査してくれました。その調査文献の一つに可児市史があります。 ここにこの柿下隧道に付随する膨大な地下空間に関する詳細が載せられておりました。 以下出典は「可児市史」より この地下工場(トンネル)は、その時期に作られた地下工場の中では優れたものであり、総延長約 七〇〇〇メートルに及ぶ三八本のトンネル網が山中に掘り抜かれていた。トンネルの断面は最も広 いところで幅四・九メートル、高さ三・五メートルであった。地下工場の計画面積は約三万三五〇〇 平方メートルで、終戦時までにその四分の三にあたる約二万五一〇〇平方メートルが完成していた。 。。。衝撃です。。。 総延長 7km トンネル本数 38本 トンネル最大口径 幅4.9m 高さ3.5m 計画面積 33,500u 実際完成面積 25,100u 。。。取りあえず普通ではないことがこの数字からも読み取れます。トンネル本数38本、以前の三重県関の鈴鹿海軍地下工場 14本を遥かに凌ぐ本数。高さ3.5m、幅員4.9mはそこらへんの林道隧道よりも広いです。計画面積33,500uは正方形で言えば およそ183m四方です。183m四方?そんなもんですかねえ。。。183mに38本穴を掘るには4.8mに1本穿たないとなりません。延 長は200m弱はありそうですので、間違いないと思いますが。。。?ひょっとしたらトンネルの計画面積ってのは掘る空間のみの 合計面積なんでしょうか。トンネルは延長は当然のように使われますが、面積なんて全く知られていません、よねえ? トンネルのみで33,500u!と考えるのが自然でしょうか。 因みによく比較対象される東京ドームの建築面積は46,755uである。およそ71.7% まあ、東京ドーム0.7個分ってとこでしょう か。同じ戦争遺跡である長野県の大本営松代象山地下壕の面積がよくわかりませんが、トンネル本数で言えばこちらのが多い のではないでしょうか。 そして、なんと可児市史には計画地図も残されていた。。。 それがこれです。 地図左が北側になります。西側(下)が柿下山に、東側(上)が南山に穿たれており、一般的には西側が久々利地下壕、東側が 久々利南山地下壕と呼ばれています。 |
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今回から写真がどっちを向いて撮影しているかを矢印で表記するようにしました。四方以外は無表記です。 尚、絶対的に真北!ってわけではありません。実際は少々傾いています。あくまで目安です。 |
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2011年12月、私は2回目となる訪問です。 今回はピカさん、おろろんさんとの3名での挑戦です。 目標は全隧道の踏査とマッピング! そしてこちらが車道として存在する柿下隧道の東側坑口です。すでに封鎖されており、車道隧道としての機能は終了して おります。現在では地元の方が一部使用されているようです。 この高さ制限の標識1.8mがいい味を出していますねえ!車道の名残としては最高の遺物です。 |
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柿下隧道からの潜入ができませんので、ここの 穴から潜入開始です。 ここは柿下隧道すぐ北側に存在します。本当に すぐです。10m程度しか離れてないところに穴が 開いておりました。 どういうこっちゃ。。。 さあ。。。ここから何十篇になるかも分からない 膨大な探索にお連れ致します。この初回を読んで しまったら1年間ぐらいお付き合いしていただくこと になるかもしれませんよおおお。。。 |
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先の計画図から見ると青印の所です。 赤線は柿下隧道となっています。 柿下隧道から北(左)一本目から北1坑、2坑... 柿下隧道から南(右)一本目から南1坑、2坑... 東(上)を東1坑、2坑...と表記する予定です。 他、細かい点は追って順次考えて行きます! |
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記念すべき一発目の隧道です。 柿下隧道の北側1本目ということで、ここを 「北1坑」 と致します。 えらく四角になりそこねのような形をしてます なあ。 |
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洞内です。やっぱり四角くしたかったけど途中で 止めちゃった感じがしますねえ。 関の地下工場隧道に比べてかなり地質が安定 しているように感じられます。 奥は元々石積みで封鎖していたのか、両脇に 石積みがあります。奥には穴の開いたビニール が。。。 |
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ちなみにこの写真は2か月前の10月に撮影した 北1坑内部です。 この時は結構水没していましたが、12月には 大分干上がったようですねえ。 これは探索にはいい環境かもです。 |
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石積みですねえ。。。 で、そこを境に洞内天井がガクンと下がっていま す。 天井低! 明らかに車道用ではない感じです。 ってか、堀り上げる前の段階!? |
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北1坑振り返り。 うーん、左上がすっきりしませんなあ。。。 |
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恐る恐るビニールシートを潜ると。。。 ぐはっ! いきなりの山積み土嚢!がああああ。。。 まあでも何か上に隙間開いとるけど。。。 (写真提供:おろろん氏) |
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振り返り。 うーん。。。エライことになってますなあ。。。 |
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なんとか土嚢を突破しました。 おお!ここは広い! それになんかダブルトラック(車の轍)の痕跡が 見てとれます。 しかもそんなに古くなさそうですねえ。 現在も使用中? って、よく見るとさっきの土嚢地帯からすぐ右手 に分岐がありました。 |
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。。。ぐぬうううううう。。。 またしても土嚢が。。。 しかもこっちはまだ天井が低いまま。。。 道幅は結構あるんですがねえ。 さすがに2回連続の土嚢に怯んだ我々は、まず 北1坑本坑の捜索を優先することにしました。 (写真提供:おろろん氏) |
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おろろんさん撮影。右がピカさん。左がわたくし めでございます。 おろろんさんの写真の方が断然綺麗です! (写真提供:おろろん氏) |
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またまた振り返り。 あの土嚢から這い出てきました。。。 左手の横穴の先も、先ほどの土嚢地帯でござ います。 |
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少し進んだ先に猫車が。(狐輪車、一輪車とも いう) 大分年季が入ってますが、戦後のブツでしょう な。 |
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おお!またしても分岐が!しかも十字路です。 車道クラスの本坑両側に小振りの穴が開いて います。 |
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向かって左手の横坑。。。ありゃ、閉塞? 蓋をしていたと思われる遺物が無残に横たわっ ています。 |
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内部は。。。うむ、やっぱりすぐ閉塞です。 なんか掘削の跡が見られますんで、反対側に 貫通させようとしていたのかもしれません。 |
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本坑へ振り返り。 向こう側の横坑が見えてますねえ。 なんかモノが一杯ありますな。。。 |
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反対側の横坑です。。。ありゃ?こっち側も 閉塞しているようです。どうやら両側とも掘りかけ のようですな。 荷物は明らかに現役風味を漂わせていますが、 それにしても左下の白いのはナンダ??? |
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むむむむむうううう。。。 これは。。。カビでしょうか。。。 なんかえも言われぬもこもこした風合いが何と も。。。菌類にしか見えませぬ。 |
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気を取り直して前進再開。 またまた分岐登場!しかも今回は結構でか めっぽいです。轍も右側に進んでいる形跡があり ます。 天井のは照明用のコンセントでしょうか? |
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右側の横坑は置いといて、さらに目線の先 は。。。 自然と左に曲がる線形で、轍も左に曲がってい ます。 。。。しかし、正面にはなんか怪しい部分が。。。 |
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自然と左に流れる線形の先には。。。 おおお!?ゲート?なんか板でアーチ状に模っ たゲートが全開になっております。 確かこの先は車道柿下隧道そのものだと思わ れます。 |
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柿下車道隧道、手前の怪しい部分は兎に角 置いといて、北1坑から車道規格で北に向かう 横坑を調査していこうと思います。 ここから北へ北へ。。。1坑、2坑と続くであろう 膨大な量の隧道を調査してまいります。 |
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さあお待ちかね!ピカさんによる超詳細マップ一発目!! 今回は北1坑の詳細と南側のいまだ不明の柿下隧道の想定ラインが入っております! 次回は北2坑以降の調査。。。レポ一体どれだけかかるんだか。。。筆者にもわかりかねます。。。 以降、 その2 に続く! |