白倉林道隧道群

三重県


第二部

その5

 


 タイムリミットまで20分余り。。。
 これは厳しい状況となってきました。しかしながら、地図
ではもう少しで終点のような気配も感じます。
 ただ、具体的に今どこまで進んでいるのか、目印がない
ためはっきりしません。相当に深部まで来ていることは
明らかですが。。。
 もう、とりあえず道があるなら進んでしまえ!精神で
根性で歩を進めます。

 。。。と、分岐が出て来ました。右は林業施設に係わる
スペースのようで、少し広場になっていて終点。本筋は
左になります。
 しかしこの状況。。。植生が道路を覆う光景は今までの
白倉林道にはなかった光景です。そろそろの終焉を暗示
しているのかもしれません。
 業務安全祈願の祠でしょうか。
 
 正面は破損がひどく、内部にあったであろう御神体の
姿は見当たりません。
 。。。。。。。。。。。。。。。。

 ひとしきり植生を跳ね除けると。。。なんと路面が復活
です。。。しかもミラーまで現存。。。
 いったいこの白倉はどないなっとるんや。。。
 今までは道の現存に嬉々していた白倉決死隊の面々
もさすがに困惑顔。。。一体終点はどこなんだ。。。
 
 ここにきて、やっぱり白倉はナメては掛かれないことを
痛切に感じはじめます。
 やはり大分山の雰囲気が変わってきた感じがします。
 見るもの全てが急峻をイメージさせるものだった山肌
が、黄砂の影響か(今日は多く飛散していたそうです)白
く霞む山肌には幻想的な雰囲気も感じさせます。空も開け
てきており、やはりけっこうな高度に達してきているよう
です。
 崩落する路面。
 しかし支流沿いのため、通過にはさほど支障を来しま
せん。
 皆、難なく通過していきます。
 今までの難関を考えれば、この程度。。。という白倉の
毒に犯された決死隊の面々。。。
 路肩崩落、山肌崩落。。。それでも生き残る道筋。
 先にまた暗渠が見えてきました。
 それと、情報板も見えます。
 地図が曖昧な中、貴重な情報板が。
 二ノ俣国有林603林班ろ 小班 という細かい班区。
何より地図が載っていることがありがたし。
 しかし。。。しかしながら、その白倉林道表記はまだまだ
先に続いている。。。

 決死隊の焦燥感、疲労感は既にピークに達しています
が、この事実がさらに重くのしかかります。
 
 支流の堰堤を兼ね備えるようなコンクリ暗渠ですが、
もう路面部分がよくわからない程、瓦礫で埋まっていま
す。
 。。。よくわからない状況です。
 一つ言えることは、やっぱり暗渠が役を成さず、水流が
路面を走っている、ということです。
 撮影している場所の瓦礫は元々ないはずで、水が暗渠
を通っていたのでしょう。
 降り積もった瓦礫を思い思いに乗り越える人々。
 。。。。只今の時刻 11:57 。。。

 もうやばい。。。時間もそうですが、体力、気力、物理的
な身体の異変(靴ずれ、節々の痛み、腫れなど。。。)な
ど、心配な項目ばかり脳裏に積みあがります。
 そろそろ決断しなくては。。。
 最後は見たいが、やはり帰りも考えておかないといけ
ません。

 。。。よし!あそこの角を曲がって最終確認としよう!
 。。。崩落、植生でよく見えませんが、明らかに道は
続いています。。。

 。。。ちょうど 12:00 になりました。

 よし!撤退!!!!!!
 無念ですが撤退致します。朝6時半に出発し、およそ
5時間半ぶっとおしで歩き続けた白倉決死隊。。。
 潮時でした。。。日帰りではやはり挑めぬ場所なの
か。。。
 果してどこまで進めたのか。。。目印がないためにはっきりしません。
 長大な林道探索においては、やはりオートマッピングでもしないと、場所特定が難しくなります。
 よし!GPS端末買おう!と、痛い足を引きずりながら思いました。

 第2崩落地点でおろろんさんと合流し、ここでようやく軽い昼食タイム。遅すぎやろ〜。
 14:03 第二部その1で発見した下り階段の場所に
到着しました。最終到達地点からおよそ2時間。行きより
も早いペースで下山できています。

 ここをどうするか迷いましたが、折角なので下ってみる
ことにしました。(これが最も判断ミスか!?心身疲労の
追い討ちに。。。)
 下る下る。。。そらそうや。。。銚子川まではおそらく
100m近くの標高差があります。
 延々と続く管理用と思われる鉄製階段。。。ピカさんが
数えたら、確か500段とかおっしゃっていたような。。。
 
 これ、帰り登るんデスよ???皆様分かってらっしゃい
ますか?(←当人が一番分かってないwww)

 ようやく辿り着きました。やはり発電施設の管理道だったようです。
 向こう岸にも渡れましたが、その1で見た片洞門のような場所を探す気力、体力ともに完全に失われておりました。。。

 ただ、ここでお2人の同業(趣味)の方と出会います。当方の掲示板を見ていらしたようで、こちらのことも知っていただけておりました。
 その方が、対岸の軌道跡、インクライン跡の発見、片洞門寸前まで攻めております。
 これは非常に心強い情報です!またの機会にここを利用させていただきましょう。
 15:47 第一部最初の衝撃ポイントまで帰還。

 追って17時には予定通り第二発電所まで帰って参り
ました。
 私は両膝の激痛(あの500段の階段が致命傷。。。)で
グロッキーでしたが、ピカさん、むねぞうさんはさらに第二
発電所の木製吊り橋を見に行っておりました。元気や。。。
 しばし第二発電所前の駐車場で談笑して、帰宅チームと温泉チームに別れ解散しました。

 いやあ〜本当にきっつい探索でした。
 探索時間、距離、廃道規模、標高差。。。どれをとっても「くるまみち」史上最強の探索となりました。この6人の精鋭の中に居れたこと
は非常に良かったです。是非対岸の林鉄探索も。。。

 って、第二部、トンネルはどうした!?という突っ込みを受けそうですが、正直今回の探索では新隧道発見には至りませんでした。
残念無念ですが。。。
 で、お詫びではないですが、第二発電所よりも下流のダム建設用隧道跡をご紹介します。
 これでご勘弁を。。。 

 ご覧の景色は白倉林道から眺めることができ、ここは車でも来れる場所です。
 左手にダムがあります。そして。。。写真中央寄りに穴が。。。
 yo314さんに教えてもらって初めて気が付いた穴。。。放水路か?とも思いましたがはっきりしません。
 何はともあれ、調査開始!
 川床にはすぐに降りることができました。
 結構でかいダムです。
 流量はそれ程でもない。。。と写真では見えますが、
意外と流量あります。
 長靴で挑むものの、一部で浸水してしまいました。
 何とか対岸に到着。
 穴を真正面から捉える位置に来ました。
 当然と言うか、中は真っ暗です。
 寸前でまた水溜りですが、大丈夫だろうか。。。
 中は水没していないように見えますが、洞内左手から
水が出てきています。
 岩盤に穿たれた厚いコンクリ隧道。。。
 しかし奥は素掘りのような。。。そして内部の状況が
不安になります。
 手前の水溜りも結構深かったですが、何とか内部潜入
に成功。
 おお。。。内部は完全に素掘りです。
 それと。。。ものすごい「ザザーーーー」という水流の音
が聞こえます。
 隧道内部から外の景色です。
 工事車両用として使っていたのか、建設時の放水路に
使っていたのか。。。
 さて、もっと内部に。。。と思ったのですが、結構水溜り
が深い。。。しかも堆積物が泥濘と化しており、どんどん
長靴が沈む。。。
 最も困るパターンになってしまいました。
 到達限界地点から感度を上げて深部を撮影してみます
と。。。どうもコンクリートで閉塞しているようです。
 まあそうでしょうけど。そうでなかったら、ダムの底に
繋がってしまうのではないでしょうか。
 「ザザーーーーー」の原因は、コンクリの裂け目から
水が噴出している音ではないでしょうか。パイプとかが
刺さっているのならいいですが、裂け目だと結構やばそう
ですが。。。
 到達限界地点から振り返り。
 ぶ厚いコンクリで素掘りを覆っているのが分かります。
 常に水が流れており、このまま待っても水は捌けない
ようなので、諦めます。。。
 まあ、閉塞が確認できたので。。。
 脱出してふと気が付きます。
 このコンクリ構造物、橋台を兼ねてない?

 よく見ると、少し下流に橋台が一対残されています。

 (カーソルオンで想定ルート表示します)
 工事中はこういった橋梁2本(赤色と青色)、その2本の橋梁を繋ぐ道(緑色)があったのではないでしょうか。
 白倉林道より車両が入っていったのかもしれません。
 とすると、背後の隧道には車両が入らないことになります。やっぱり工事中における導水路であった可能性が高い
ですねえ。

 改めて隧道の位置を確認すると、本当に低い位置にあります。
 あの隧道はダム工事中の導水路として使用され、ダム完成後はコンクリで塞がれて、役目を終えた。
そういう結論で問題ないのではないでしょうか。

 以上、 
第二部 完

 第三部は林鉄二ノ俣線探索をレポート予定! 乞うご期待!


 2011年2月 。。。といいつつ、二ノ又線攻略はおあずけ。

 
第三部 へ!