軽岡隧道


岐阜県


その2

  


                       2018年6月訪問

 2つの九十九折れから突然道が荷馬車規格
から人道規格になってしまいます。
 これは法面の小規模崩落によるものでしょう
か。
 それまで車両が入ったような雰囲気があり
ましたが、ここからはその雰囲気は途絶えま
す。
 しかしながら道筋ははっきりしており、歩行
には支障ありません。
 見下ろすと、九十九折れの道が窮屈に納
まっています。
 なかなか良い廃景です。

 カーソルオンでルートを表示。
 ちょっと崩れていますね。
 やはり車が入らなくなるとこうなってきます。
 数少ない路肩の石積み。
 すぐ下も車道になっており、さっき通った場
所です。
 法面と路肩が一緒になる程、窮屈な線形と
なっております。
 この辺りから少しづつ藪が拡がってきます。
 やはりすんなりとは隧道に近付けないんで
しょうか…?
 藪化しそうな雰囲気ですが、何でしょう、
ちょっと伐採されている雰囲気があります。
 林業関係者が道を確保するために刈り払い
を行った形跡があります。
 お陰でそれ程苦も無く通ることができます。
 うん、伐採してますね。
 それも今年ではない感じです。
 法面の少し上から被さっていたであろう木も
伐採した感じです。
 ありがたいですね。
 古い石積みが残っております。
 今でも立派に機能していますね。
 植生が抑えられている旧々道。
 ここは沢水が下を潜っているようです。
 山側に石積みの集水桝があります。
 谷側に向けてどうなっているのか…
 残念ながら土管でした。
 中もこんな感じです。

 完全な廃道となり、道は続きます。
 ちょっと広くなっている場所が出てきました。
 登っていく道があるような気がします。
 気になるので、帰りに寄ってみます。
 そこからすぐです。
 路面が大きなシダの群生地になっている場所に
辿り着きました。
 そして道は右に大きく曲がっていきます。
 ものすごい群生です。
 なんとなくこれは踏んではいけない、と思える
程神秘的な雰囲気です。
 間を縫って、道に沿って右に折れていくと…

 シダの海に浮かび上がる半円のコンクリ構造物…あれが…

軽岡隧道…なのか?

 なんという姿…自然の力に今にも吸収されそうなそのお姿…しばし呆然と見つめます…美しい…

 軽岡隧道 

 この隧道に関するデータは確認できておりません。1905年(明治38年)の改修時に荷馬車が通れるようになったようで、その辺りの竣功、というのが
大方の見解の様です。1961年(昭和36年)に旧道となる新軽岡峠が開削されるまでの凡そ44年間この道がメインで使われていたことになりますね。
 見た所、目の前のアーチが坑門のようですが、これが当初からの仕様とは考え難いので、徐々に改修された最終形態と思われます。
 両側壁ともに崩壊が著しいですが、辛うじて右手
の石積みが残存しております。
 そして、この坑門…?
 ツッコミどころが満載ですが、最も気になるのが
この坑門に埋まっている木片です。
 …ナニコレ???
 やはりこれは…鉄筋ならぬ木筋…
 木筋コンクリート???

 しかもコンクリートの素材もかなり混ぜ込みの
多い粗雑な印象を強く受けます。
 そして、もともとの坑門部分が剥離して、木筋が
露わになった、という印象です。
 何だってこんな仕様に…
 …おおお…
 完全に天井が抜けています。
 なかなかここまでコテンパンにやられている隧道
も珍しいです。
 それ程にコンクリート強度に問題があったんで
しょうねえ。

 …で…隙間が…
 明と暗の隙間が同居…
 なかなか珍しい廃景です。
 コレ!(゚∀゚)キタコレ!!

 どう見ても橋梁です(笑)

 うっす!よくぞこの状態を保っていますね。
 いやあ奇跡的な坑門ですね。
 よく見ると…
 おお!坑門の痕跡が。
 同じコンクリですが、ダミーの迫石風アーチ環が
あった模様です。
 いやあ、見たかったですねえ!

 …まあ取り敢えず内部に潜入しましょうか。

 …うおおおお…不気味な真っ暗な空間が…
 開いている…

 手前がこれだけ崩れているのによくこの隙間が
残りましたね…
 もぞもぞと中に入ってみると…
 おおお!広い!
 
 荷馬車時代の空間とは思えない広さ。やはり
徐々に拡幅していった結果でしょうかね。
 ダートなんでしょうか?ただ、フラットな路面が
残されています。
 一見すると他のコンクリートトンネルと何ら変わら
ない感じですが、ここは坑門とは質が違うんでしょ
うかねえ?
 意外に巨大空間を有する軽岡隧道。
 その空間を埋め尽くす土砂が眼前に現れます。
 これは一体…?
 堆(ウズタカ)くもりもりの土砂…
 …これは明らかに破損した天井部からの流入
ですよね…
 ふむ、やはり破れておりますな…
 しつこく割れ目の奥を覗き込みます…

 うーむ、掘れ上がりもなく完全閉塞ですね。
 最深部より振り返り。
 意外な延長が残されていて、正直びっくりです。
 
 地図計測で延長約90mと見込んでおりました
が、そこそこの距離ないですか?
 さらっさらの土砂です。
 真砂土ですね。関西圏に多いイメージですが、
本当に隧道に不向きな地質です。
 本当にあと僅かで、密室が完成してしまう状況
です。ホントよく開いていてくれました。
 こうして見ると、崩れそうな雰囲気は一切感じな
いんですがねえ。
 あの一部が破損しただけでこの土砂の流入量
ですよ…
 うーむ…
 さて脱出です。
 入った時よりも口が小さく感じるのは気の所為
ですかね…
 外に出て、崩壊坑門の裏側に廻ってみます。
 いやあ、土質最悪ですねえ。
 よく見ると、木片が突き出ています。
 これも木筋でしょうか…
 少し登りました。
 …うーむ、雨が降ると水がこの隙間から入って、
そのまま隧道の中に入っていきそうですが、内部
は全く水っ気がありませんでした。
 ある意味凄い水はけなんでしょうかねえ。
 隧道の鞍部付近から既にさらさらと崩れ始め…
 穴の開いた橋梁化坑門に一直線です。
 こんな状態でも辛うじて内部は解放されておりま
した…奇跡的ですな。

 さて、次は反対側の坑門も見てみたいと考えま
す。それなら尾根越えをしないとですな。
 幸いそれ程高くなさそうですので、行ってみるこ
とにします。

 以降、 
その3 に続く!