遠州遠征オフ 2016


静岡県

2日目 その2

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                       2016年1月訪問

 遠州遠征オフ2016、2日目の3本目はここ。
 静岡県掛川市倉真の県道81号線にあるトンネルです。
 名前は松葉トンネル。
 なんの変哲もないコンクリートトンネルです。
 
 松葉トンネル
 1975年(昭和50年)3月竣功
 延長88.0m 幅員6.0m 高さ4.5m
 施工 株式会社 中村組

 という情報が銘板にて把握可能です。
 因みにこちらが南側坑口。
 で、こちらが北側です。
 どっちにも扁額がありません。

 …で、当然ながらこのコンクリトンネルのレポではありま
せん…
 そやつは実はこの写真の範囲内に潜んでおります…

 アプローチは南側から。
 このトンネル脇に入り込みます。こうなると探索対象は一つしかありませんな。

 入るまでは分かりませんでしたが、入ってみると道筋が残っております。

 左側に谷積みの石積みが現れ、隧道の雰囲気がしてきました。

 現れました!旧隧道!
 コンクリート隧道のようですが、何やら装飾的ですよ!? 

 隧道南側坑口の全容です。

 
松葉隧道

 隧道データベースでは、
1933年(昭和8年) 延長56.0m 幅員2.0m 高さ2.6m
 となっております。
 現役松葉トンネルが1975年(昭和50年)竣功ですんで、現役生活は42年程であった模様です。
 現在は県道81号(焼津森線)ですが、かつては県道267号(赤根金谷線)だったそうです。1994年4月1日に、この267号線と211号
(五和岡部線)、214号(焼津停車場仮宿線)の3つが統合され、県道81号線になったそうです。
 

 コンクリートトンネルながら、立派な扁額があります。
 そして最大の特徴が、このアーチ環!煉瓦積みのようにコンクリブロックを3層巻きにしています。
 これは珍しいですねえ。

 扁額の拡大。文字がちょっと赤みがかかっている感じがします。当時は朱塗りされていたのかもしれません。
 コンクリブロックは煉瓦サイズに見えます。装飾ではなく本当に煉瓦積みのように組んでいったんでしょうか。
 扁額左側に

 
昭和八年 十二月竣功

 とあります。

 内部は…おおおお…これは想像以上にイカツいお姿ですな…

 こ…これはすごい廃景です…
 H鋼を使用した鋼アーチ支保工を全面に使用しています。

 半アーチ状のH鋼を天端で継手板を挟んで合わせ、それを等間隔に並べ、棒状の継ぎ鋼材で繋げていっています。
 しかしこれだけだと部分剥離など、局所崩落には対応できない感じがします。
 継ぎ材に、鋼材の他に丸太が挟まってるのが面白いですねえ。

 内部アーチの様子です。本当に煉瓦状のコンクリブロックを長手積みしています。
 いっそ煉瓦使ってほしかったですねえ!

 振り返り。普通車が精いっぱいって感じです

 本当に最後まで支保工でびっちりです。なかなかの異様さです。
 で、継ぎ材に丸太の他に平板も増えていきます。

 おおおおお…
 なんとなく往時の支保工の姿が見えてきました。
 継ぎ材に棒状の鋼材。これは変わらず。そこに丸太を8本等間隔に継ぎ、その隙間に平板を嵌めていって、隙間なく覆っていた
ようですね。恐らくそれがこの支保工の完成バージョンではなかろうかと。
 平板があることによって、コンクリブロックの多少の剥離なら防げるってな感じだったんでしょうか。

 北側に進むにつれてどんどん平板の量が増えていきます。脱落しているのも多いですが…
 路面中央部には雨水の配管が通っている模様です。

 なかなかの荒れ模様です。

 北側坑口が近付いてきました。
 と同時に、モノが増えていきます。

 北側坑口までやってきました。
 少し左側が崩れているみたいですねえ。

 北側の坑門です。お気付きでしょうか。
 そう、コンクリブロックのアーチ環が2層に減っています。しかしブロックがやや大きい気がします。
 どのタイミングでこうなったんでしょうか…?

 こちらも同じ隧道名の扁額です。こちらの方がやや風化がきついですね。

 北側坑口は少し引いてしまうと全く見えなくなります。
 このすぐ後ろ側に松葉峡という旅館があり、さらに奥に松葉の滝という名所があるそうです。
 行ってませんが…

 思いのほかインパクトの強い隧道に満足し、次の物件に向かいます。 

 次の物件は掛川駅のすぐ近く、大池公園内の物件
です。
 ここはプチネタです。
 何故かと申しますと…

 これでございます。
 普通に大池公園の駐車場に駐車し、遊歩道の階段を上る事数分…
 すぐにそやつの坑口が現れます。

 あっさり到着。人道の短い名無しコンクリトンネルの登場です。
 古墳の丸いものを「円墳」といいますが、まさにそんな形状の小さな山に穿たれた謎のトンネル…
 あっさり右側から反対側に回り込む遊歩道があり、必要性は全くありません。
 そう、このトンネル、実はこの大池公園がこのように整備される前から存在していた模様です。しかも素掘りで…
 大池公園がこのように整備される前は、もっと山が左右に大きかったと思われます。そう、隧道があって然るべきなぐらい…
 大掛かりな整備の結果、公園内のお遊び的なトンネルと化してしまったのではないでしょうか。
 はい。内部もいたって無機質なコンクリの穴。
 ふ〜。

 出た先もこんな感じです。思いっきり公園の中です。
 ただ…ここで違和感を感じる場所が分かりますでしょうか…この時点で分かる方は相当な変態です(笑)

 一応振り返り。
 ばちっと改修です。
 …で、これが昔からある隧道という推測に自信を持っているわけは、ここから先にあります。

 ここから見ると分かりますね!怪しさ満点のフェンスと暗い影…

 おおおお…
 整備された大池公園の雰囲気から逸脱したこの禍々しき暗い穴…
 そう、この隧道と、先程のコンクリトンネルは恐らく兄弟ではなかろうかと…。

 中を覗くと、真の隧道の姿が…
 これがこいつらの本性か〜

 いつもの遠州ブランドの素掘り隧道…。中に入れないんですが、対岸の光は漏れています。
 しかし…実はこの素掘りの方は、遠州オフ2014で入洞しておりました!
 そのレポがコチラ
 その時の仮称をそのまま使い、(仮)大池一号隧道と致します。
 で、公園内のコンクリトンネルを(仮)大池二号隧道と致します。

 振り返り。ここも往時は山道だったのではないでしょうか。で、先に見える穴も素掘り…
 逆に埋め戻されなくてよかったです。
 どんどん行きます。
 次は掛川市高瀬地区にある一洞です。
 ここも前回は知らなかったんですが、なんと車降りて
数秒で訪問できる激近物件にも拘わらず、たまたま
発見困難度AAAの物件でもあります。

 写真を撮ってませんでしたので、ストリートビューの画像で…
 県道38号線から西に入った市道ですが、この右手に隧道がある! …なんて誰が思います???

 半信半疑で竹藪の中に目を凝らします。
 むむむむ!?
 あ、あれは!


 やっぱりあるんすね〜

 平地の竹藪地帯。特に山肌が大きいわけでもなく、狭隘部でもなく…なんか忽然と穴が開いているって感じです。
 うーむ、謎だ…

 もうちょっと中に入ってみると…
 おおお…なんか切り込みが入って、その奥に穴が開いています。
 なんだかコンクリ構造物のような施工の仕方です。とても素掘りとは思えません。

 こちらが南側坑口になります。そして反対側が見えています。
 なんだかこの切り込みを最後まで続ければ切り通しできるんぢゃ?てなくらいの土被りです。
 うーむ…何度見てもこれが素掘りとは思えません…

 やはり把握している掛川市。
 徐々にこのように封鎖されていくんでしょうか。フェンスってのがまだ良心的だと思います。

 比較的短めの隧道です。
 当然ながら完全素掘り。

 フェンスが写らないように撮影成功。
 お馴染みの地層の雰囲気がいいですねえ。

 振り返り。
 この先にも道がちゃんとあって、市道に繋がっていたんでしょうねえ。
 その面影は市道には一切残っておりません。

 北側に回ってきました。もう歩いてもすぐ回って来れます。
 真っ直ぐ行くと八相寺というお寺です。(仮)八相寺隧道の名前の由来はこのお寺になります。
 この場所から左に向くと…

 むむむむむ…なんちゅう立地でしょうか。
 使われていないはずの路面は刈り払がされているような感じがします。

 どうやら八相寺の敷地の一部として管理してるみたいですね。
 こちらとしてはありがたいです。

 うーむ。なかなかいい雰囲気ですねえ。

 (仮)八相寺隧道と呼ばれるこの隧道。
 しかし、都市建設部維持管理課の資料によると、市道トンネル調査結果表の中に、番号13、八相寺線、西之谷隧道というのが
あります。昭和3年竣功、素掘り、出入り口封鎖済みとあります。
 さらに、道路トンネルリストには西之谷隧道 昭和3年竣功 延長29.0m 幅員2.3m 高さ2.0mというデータがあります。
 これらのことから、この八相寺の隣にあるこの隧道は、市道八相寺線の西之谷隧道ということで間違いないのではないでしょうか。

 北側からの洞内の様子。
 …随分南側からと見え方が違いますねえ…

 隧道の形にみっちりと封鎖してあるので、フェンスを写さないで撮ろうと思うとこんな角度になってしまいます。

 振り返り。廃化しても尚、道の形が維持されています。いいですねえ。

 まだまだいきますよ!次は煉瓦!

 以降 
2日目 その3 に続く!

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