Get's ヘキサ
暗峠越え

続編

  


                    2008年5月再訪

 前回探索が真冬の盛りであったこともあり、和
歌山といえどもアスファルトにこびりつく氷のよう
な雪には抗えませんでした。
 あれから数ヶ月、季節はそろそろ梅雨の時期に
入ろうかという爽やかな青空が広がる中、やっと
行けていなかった場所の探索が叶いました。
 それは、高野山森林鉄道探索で湯川トンネル
西側坑口を発見してからの目標となっておりまし
た。
 写真は、高野山のちょうど背中側と申しましょう
か、南方にある内子谷という川筋に沿う一般道
の八号橋(だったと思います。。。)の付近です。
 あるサイト様情報によりますと、湯川トンネル
東側坑口は、現道に程近く存在するといいます。
しかし、高野山の緑は既に大層な生長を進めて
おり、場所は皆目見当付きません。
 しらみつぶしに脇道を覗きます。
 脇道は内子谷の橋があるたびに大抵存在して
おり、どうやら橋が出来る前の旧道がうねうね谷
筋に沿って存在するようです。橋の竣工は平成
8年のようで、12年前の旧道ということになりま
す。 
 どの旧道もそうですが、アスファルト敷きはわず
かですぐ鬱蒼とした廃道となります。ここもそうで
したが。。。
 他の旧道と違う点は、どうも人為的に土を高く
盛り上げているように見えます。明らかに通って
ほしくない道によくされる行為です。
 怪しい!
 うず高く積まれた土はまるで昔からそのような
地形であったかのように緑に覆い尽くされていま
した。しかもとげとげ植物大量で、苦戦を強いられ
ていましたが。。。

 
!!見える!!
 予想外に苦戦しましたが、ようやく発見できま
した。この「絵」は他サイト様でも見かけた光景
です。やはりその殆どが人為的に埋められてい
ます。こんだけ埋まってたら先は当然閉塞やろ、
さあ、次の物件へ。。。。。。。。。。。。。。。んん?
 ガサガサガサ。。。。風が枯れ葉をなでる音が
足元から。。。トンネル付近から聞こえる。。。
坑口付近の枯葉をじいっと観察してみると。。。
!!!!トンネルの中に向けて風が入って行く、
いく、イク!
 閉塞してるなら当然風が入り込む空気の隙間
はない。空気が流れるからこそ風の動きが生じ
るもの。空気が流れるには当然出口がなければ
流れないのである。
 どんな形か分からぬが、とにかく貫通している
可能性は極めて高くなった。。。。。。。。
 どうしよう。。。こんな狭い「穴」には今まで入っ
たことありません。「山行が」様クラスではなかろ
うか。。。
 中を恐る恐る覗いてみる。。。
 真っ暗。。。目が慣れないので奥までわからな
いが、何か異様に広いのでは。。。いや、元のサ
イズの「穴」がそこにあるのか。。。
 手前には大量の朽ち木が入り込んでいる。そし
てコンクリ巻きだが、すでに剥離が始まっており
広範囲に傷跡が残っています。
 奥はすぐに素掘りとなっているようです。そして
床面は。。。水が溜まっているような気がします。
 取り敢えず長靴に履き替え、ライト装着で出先
を窺うことに。朽ち木は完全に「実」がなくスカス
カで、踏めば踏むほど沈み込む状態。
何とか足がかりを得て奥へ。。。
 振り返ると、脆い砂状の土肌が見えます。 
 朽ち木群はすぐに姿を消し、路面と思われる床
が薄く10cmほどの水を湛えつつしっかりしてお
りました。
 それにしても広い!何と入り口だけが盛り土で
埋められていただけであって、内部は何も手を
付けていないようです。
 んん?何かあるぞ??
 。。。。。。。。

 決してこんなとこに居ていい奴ではないのだが
現役でも廃道でもお呼びでないものがここに。
 でもゴミがちゃんと一つ入ってます。利用されて
るよ。。。そう、ポイ捨てはいけません。
 水深10cm程の水辺です。光も差さぬ地底の
水辺ですから、「春日野隧道」の水辺のように「
主」はおりません。
 水は湛えられてますが、歩くのには全く支障な
しっす。
 入洞から50mもいったでしょうか、目の前に洞
内の半分ほどを塞ぐ暗い塊が現れました。
 目線を上に。。。。。。背筋が凍るその光景を
目の当たりにし、文字通りたじろぎました。
 大規模な天井部の崩落の跡が残っています。
 通常のアーチ部分から上に深さ1mくらいは
いってしまっているのではないか、幅は3mくらい
で、崩れた土は洞内を半分埋める量ですから、
相当なもんです。
 いくつかの大小崩土を恐る恐る乗り越えて、も
う距離が分かりません。が。。。。
 んんんんん??


 光が見える!!

 この辺りはほぼ中間地点ではないでしょうか。
両側に崩土があって、直線トンネルであるにも
拘らず出口が見えなかった理由が崩土であるこ
とがほぼ確実です。
 この辺りは水もなく、比較的平静さを保っていま
す。
 所々の側壁には、コンクリで補修されたような
跡があります。現役時に崩れた箇所を補修して
いたのでしょうか。
 湯川トンネル入洞後、初めての大規模な遺構
が出てきました。天井崩落を抑える、というか落
石を取り敢えず避ける為だけの最も簡易な鋼
アーチ支保工といったところかな。「最も」という
理由は、そりゃあ板切れ?を使った支保工なん
て他では見ません。
 ほらほらあ、これが板切れでなくて何だって言
うんですか。しかも隙間だらけで、アーチ側面部
分は脱落してるし。。。これが現役時代の支保工
っすか?怖すぎっす。
 ほらご覧なさい!崩れてるぢゃないですか。。。
しかもここは、オール木材使用の支保工だったみ
たいですね。そりゃあ無理ですって。
 まあ、廃されてからの崩落だとは思いますが。
 この写真だといまいち分かりづらいと思います
が、木材+鋼アーチ支保工の上に崩落で発生し
た、大量の石が乗っかっています。トラップだよ
トラップ、下通ったらドカーンとかいきそう。。。
 その後も幾度となく続く崩落箇所と、天井から
漏れる水滴(レベルでなく、結構ボタボタ落ちて
いる箇所もあり。)の雨をかいくぐり、ようやく反対
側坑口がはっきりしてきました。
 冬の探索で発見した湯川トンネル西口に間違
いないでしょう。
 出口まであとわずかの地点でまたも水辺に遮
られました。今度は深く、長靴以上の水深があり
そうです。まあここまできたら踏破ということでい
いじゃありませんか!一度向こう岸には行ってい
るので、止めときました。
 それにしても、冬、あの入り口からこちら側を見
た時は、まさか踏破できるとは夢にも思ってませ
んでした。
 で、またあの危険地帯を足早に抜けて参りまし
た。ああ恐ろしかった。今回はちと無茶しすぎか
な、と反省してみたり。
 トンネル延長は体感と地図でのおおよそで、
500〜600mくらいあるのではないでしょうか。
 とても長く感じました。
 無事生還しました。
 取り敢えず大部分が素掘りであるため、崩落
がハンパなく多かったです、ので、


 大変危険ですので、訪問は
入り口のみにして下さい!

 
よととも2度と入洞は致しません。