武田尾廃線トンネル
兵庫県 武田尾−道場間


続編

  

 武田尾−道場間の探索は完了した!と
勝手に思い込んでいたよととでありましたが
赤猫氏から思いもよらぬ情報を受けました。
 それは、道場よりにもう一つある、というも
のでした。前回探索後、道場経由の国道
176号線で帰ったのですが、全く気が付きま
せんでした。
 大茂山トンネル探索出発地点の踏切り跡
(県道327号線との交点)から道場方面に
向かいますと、武庫川が大きなS字カーブを
描いた後、道場駅の前を通過致します。
 県道も武庫川に寄り添うようにいびつなS
字カーブとなります。現行の福知山線はS字
を良しとせず、道場駅から東へトンネルを駆
使して突っ切ります。では旧線はどうだった
のか?
 中央の白い建物は「武庫川上流浄化セン
ター」という施設で、一般の方は入ることがで
きません。ちょうどS字カーブの中に入り込み
背後は山と、まさに地の利を活かした要塞の
ようになっています。
 現在、かの要塞に至るには、1本の橋しか
ありません。道場よりにも橋(??)は一応あ
るのですが、ご覧のありさまです。気合の入
った車であれば通過できそうですが、残念
ながら、要塞側は大きな鉄扉により封鎖され
ています。
 肝心の旧線はどこにあったのでしょう。単
純に考えれば、この県道と同じくS字を描い
て通過していたのでは、と思えるのですが、
実は違いまして、どうもこの要塞のすぐ真後
ろを通過していたようなのです。要するに、
2本の橋を使って、踏切り後〜橋〜要塞裏〜
橋〜道場駅、という風に続いていたようなの
です。
 で、道場駅寄りの橋跡を探すのですが、ど
うも分からない。どことどこが繋がってたの?
さっぱり分かりません。
 こりゃあ意外と苦戦しそうな。。。
 現行福知山線が武庫川を高い位置で通過
して、トンネルに入っていきます。技術の進
歩は凄まじいですな。
 武田尾側がさっぱり分からないので、道場
方面を見つけることに。
 県道と福知山線が斜めクロスする場所が
あり、旧線が現行路線に吸収されているので
は、という推測を元に高架下を伝うことに。
 あまり古さを感じない高架下を伝います。
まだ県道が左にあるので、トンネルがある
可能性はありません。
 さらに進みます。
 1段下がりました。写真は下った後に振り
返った所です。
 あり?ここから先は会社の敷地内のようで
す。これ以上は進めないなあ。
 ふと、左を見ます。
 。。。。。。。。。。。。。。。
 上の方に県道のガードレールが見えます。
 この高架と県道の隙間にさらに1段下がっ
た窪地がありそうです。
 怪しいな。。。
 木々の隙間から見えるのは、投棄された
ゴミ。明らかな平地も見受けられます。
 大量の毛虫軍団に気を付けつつ、ゆっくり
下っていきます。
 下っている途中、ふと頭を上げると、
!!突然の大きな口にびっくりしました。
やはり、予想は正しかったです。
 遂に発見!
 凄まじい緑の侵食です。全容がいまいち
掴めません。
 しかし、このトンネルの位置はすごいと思い
ます。このトンネルの上に県道が斜めクロス
しており、その上にはさらに現行福知山線
が走ります。
 よく潰れずに残っているものです。
 巻厚が5層のレンガ仕様、胸壁は石組み
の定番のスタイルです。周りの自然は物凄
いですが、全く揺るぎない姿を見せています
 内部はひんやりしており、真っ暗。トンネル
は右へカーブしています。ルート的には想像
通りで、反対側に抜けた先ですぐ橋を渡って
いたと考えられます。
 道場側坑口を振り返ります。
 すでに路線跡は存在せず、人為的か自然
なのか周囲からの土砂により完全に塞がれ
、自然に還っておりました。
 坑口から降りてきた場所を見上げると、
現福知山線の高架が見えます。
 現代から完全に置き去りにされた場所だ
ということがよく分かります。 
 アーチの一部がレンガからコンクリ巻きに
なっています。恐らくレンガ剥離等を補修し
た後だと思いますが。。。
 武田尾廃線跡ではこの補修はここだけで
はないでしょうか。
 振り返って床面すれすれ撮影。
 枕木は撤去されたか埋まったかで全く見る
ことができません。粒の大きいバラスだけが
残ります。
 ゴミが結構散乱しています。昔ながらの
ウィスキーの空瓶が特に大量にありました。
なんで??
武田尾側坑口です。こちらは草木の侵食は
激しいものの、現役当時の路面を想像でき
る状態で残されています。 
 よい味を出しています。
 
 このトンネル名が「植山トンネル」と、初め
て分かりました。「12」の数字は・・・生瀬駅
からのトンネル数でしょうか。。。
 一応計算合うっぽいです。
 何かの標識です。「L 10」。。。
 左に10度曲がりますよって意味でしょうか
 ここにもありましたねえ、癒しの標識が。
 今回は「60」だそうです。
 でんしゃみちはここで途絶えておりました。
 どうも県道よりも上を走っていたようです。
 武田尾側は県道、武庫川をまとめて橋で
越えて、対岸に辿り着いていたようです。
 道場側は県道の下を通っているのに。。。
なんか不思議です。両側で県道と鉄道路
が上下入れ替わっているという珍しい(?)
所です。

 こっち側の坑口を見つけられなかったのは
上を走っていた、という推測ができなかった
からですね。。。
 結局どっちもすごい籔化が進行していまし
た。県道に程近いのにこの籔のすごさは、
やはりどちら側の坑口も県道と高さを同じく
していないことが要因でしょうか。
 これで武田尾−道場間のトンネル数は4つ
になりました。本当に驚きの多い関西が誇る
べき廃線跡ではないでしょうか。