武田尾廃線トンネル
兵庫県 生瀬−西宮名塩間


最終決戦編

  



                 2008年7月訪問

当田トンネル編
 秋になるまで待とうと思ってました。。。激籔
との死闘が予想されたのと、この日も京都は
35℃の猛暑日。。。
お前はアホか、という声で耳が痛いですが、待
ちきれずにやってきてしまいました。
 武田尾ビッグマーケット、廃トンネル総数12
本!その中で10本この目で見てきました。
 残るは生瀬駅に程近い城山、当田の2本。
 当田はともかく、城山はイカン。。。今行くトコ
やないやろ、冬場でもどうなの?って感じ。
 この2本訪問では、ここしかないでしょ、という
駐車スペース、国道176号線から県道51号線
への入り口、太多田川沿いに車を停めます。
 頭上には現行福知山線のトンネルとトラス橋
が見えます。
 旧城山トンネルは現行トンネルの左手の崖っ
ぷちに口を開けており、季節が季節ならよく確
認できるのですが。。。うーむ。。。
 。。。
 ま、まずは当田トンネルの訪問を致しましょう。
 当田もご覧の有様。橋台の下部は辛うじて見
えていますが、ここからでも見えるはずのトンネ
ルの坑口すら見えません。
 しかし、橋台の上に登る踏み分け道はこの季
節でもしっかり残っており、簡単に上がる事が
できました。
 当田トンネル前橋台から武庫川方面を望む。
3つの橋梁が見えます。手前が国道176号線の
太多田橋。赤い橋梁が青葉台という住宅街へ
向かう西宝橋。山手の巨大な構造物は、中国
自動車道です。
 当田トンネルは橋台からすぐです。最強に籔
支配を受けていますが、その坑口だけは見るこ
とができます。
 誰を迎えるでもなく今でも口を開け続ける、
当田トンネルです。
 国道と現行福知山線に挟まれて尚揺るぎな
く存在し、今でも愛好家に親しまれて?います。
 やや右にカーブしており、反対側の光は届い
ていません。
 アーチ下側は切石ではなく、そのまま使用し
ているようです。上部は変わらずレンガアーチ
となっています。
 んんん?
 何かあります。
 生瀬駅方面坑口です。鬱蒼とした緑の他は
人工物を何も見ることができません。
 まさか住んでいらっしゃる方がいるのか、と
恐る恐る中を覗いてみましたが、誰もいません。
遺棄されてから大分経つようです。
 確かに風雨も凌げるし、何となく涼しいし、居
心地いいのかも知れませんが、出て行くときは
綺麗にしていってもらいたいものです。
 ちょうど中間付近です。意外と長いトンネルで
す。
 大き目の退避口もあります。
 ここにも寝床跡のようなものが。。。
 反対側坑口が見えてきました。
 武田尾側坑口に辿り着きました。生瀬側と同じ
く柵がありますが、中央の扉は開け放たれてい
ます。こちらも緑の猛威は相当なものです。
 生瀬側と同じく、武田尾側も坑門全体を一望
することができません。 
 巻厚6層の強固なアーチを施してあります。
 今度は武田尾方面武庫川を望みます。
 やはり中国自動車道の武庫川橋が一番目立
ちます。 
 武田尾方面は暫く激籔区間が続きます。とて
も通り抜けは耐えられないし、城山攻略に体力
温存のため、ここで引き返しました。
 さあ!次は城山要塞の攻略編です!これが
本当に武田尾廃線跡最終回!(でしょ?)
2016年11月再訪

 2008年7月初訪問から早、丸8年以上…月日が経つのは早いすな…
 およそ8年ぶりに当田トンネルを再訪したのには理由があります。
 国道176号線を宝塚に向けて東進していたんですが…この辺りの4車線化工事は着々と進んでいます。
 名塩工区はトンネル2本使い既に供用済みです。残る難所はこの生瀬工区。
 この工区に遺される旧福知山線の旧トンネル2本が、城山トンネルと当田トンネルです。城山トンネルは既に閉鎖。
 東側坑口は消滅。西側坑口も一部削られコンクリ封鎖。恐らく擁壁の一部となり、内部も完全に埋められたのではないで
しょうか。これはもう不変の事実として諦めざるをえません。
 で…当田トンネルです。このトンネルは2016年11月現在、未だ手つかずで生き残っております。
 ただ、176号線4車線化工事が進めば確実に影響を受ける立地となっております。
 ある所からの情報では、増設される国道176号線の2車線はトンネルになるそうです。現行車線の真横に増設される
ということで、上部にある当田トンネルはどうなるのか…非常に気になる所です。
 地図でも分かる通り、東側坑口はやや外れていますが、西側坑口は確実に被ります。

 工事が進み始めているのを感じ、急遽再訪を決めました。よって撮影機材はスマホのみです。
 こちらが東側坑口。11月でもこの有様です。

 少しだけ坑門の石積みと煉瓦アーチが見えていますね。

 さすがはiPhone6s 画質が8年前の写真よりもいいです。

 内部はさすがに光量不足で撮影不能ですんで、すぐ西側坑口までワープです。
 8年前と比べて植生が薄い気がしますね。
 このようなものが遺されていました。
 いい錆び具合ですな。
 往時の設備跡と思われます。

 切石乱積みの側壁が特徴的です。

 西側坑口からの廃景。因みに懐中電灯がないと抜けるのは無理です。
 私はスマホアプリで足元照らして何とか抜けることができました。

 そして!西側坑門!
 素晴らしい!まさかの全容が把握できます。是非2008年の坑門と比較してください。
 今が見ごろかもしれませんねえ。

 6層の多層巻き煉瓦アーチ。坑門の石積みはアーチ状に1層のみで、後は岩盤と一体化しています。

 福知山線3本目のトンネル「当田」の証である「3」のペイントがはっきり。
 しかしこうしてみると、6層の煉瓦巻きの外側に1層の石巻きがあるように見えます。
 なかなか珍しいですな!
 ほら。
 同じ側壁の土台に乗っています。
 実に面白いですね!

 西側坑門からすぐ目の前もまだ手が付けられておりません、が…

 100m程でしょうか。進んでみると様子が…

 こうなっておりました…
 やばい…やばすぎます。これは間違いなく開削されていく流れです。

 鉄柵は間違いなく旧福知山線のものでしょう。
 これもいずれ消えていくものと思われます。
 西側坑門の命は最早風前の灯火といったところでしょうか。
 路面はこのフラットな部分のままいくんでしょうか。とすると、当田トンネルの開口部分を利用して拡幅するのかも
しれません。
 いずれにしても暫く目が離せない状況です。進展がありましたらまたレポするかもしれません。