武田尾廃線トンネル
兵庫県 武田尾−道場間


後半戦

  

 前回、衝撃の穴を発見したよととでありま
したが、そこに辿り着く術を模索しておりま
した。川を渡るのは不可能。対岸左方面を
なぞっていくと、武田尾温泉の棟々があり
ますが、そこから道がトンネルまで続いて
いる可能性はほぼない。とするとやはり反
対側へ廻り込むことがもっともベターと思わ
れました。
 写真は「草山トンネル」道場側坑口の真
上の落石避けと使用されなくなったダート
道です。ここを川沿いに進めばいつか橋が
出てきて、対岸に移れるのですが。。。
 橋までが遠い!!!ざっと橋まで3km、
渡ってからまた対岸を戻って2km近くある
この工程は、とても徒歩ではムリ、と判断
しました。
 結局、県道を北に戻り「玉瀬」地区から川
下川沿いの林道を南西に下り、川下川貯
水池を過ぎて県道327号に出て橋に至る
ルートを取りました。これが恐らく最短ルー
トです。
 いざ、反対側へ!
 橋まで辿り着いて少しうろたえました。県
道とクロスする地点、廃線跡と思われる入
口は大きな鉄扉で封鎖されておりました。
赤猫氏の仰る通り、さる業者の私有地と
なっておるようです。
 しかし、今は全く使われているようには思
えません。人の気配、物が動いた気配が
感じられませんでした。
 であるので、鉄扉左手の空き地から少し
通らせていただきました。しかるに私有地
内の写真はございません。
 左の写真はすでに通過後、ようやく廃線
跡らしくなってきたところからのスタートで
す。
 その途上にある錆び尽くしたマイクロバス
?が安置されておりました。

 でも普通のバスには見えません。窓全面
に金網が入ったバスって。。。警察車両??
みたいに見えましたが。。。
 橋の袂から結構歩きましたが。。。!!!
見えてきました!穴があいとるぞお〜
 しかし、思ったよりも早く穴が出てきました
 この時は知りませんでしたが、あの岸壁に
聳えていたトンネルとは別物です。
 名前は「野田尾トンネル」というそうです。
 武田尾駅から下流の6つのトンネルは結
構有名ですが、この「野田尾トンネル」につ
いてはネット上で殆ど見かけません。すっか
りこの世から忘れられたトンネルとなってお
ります。
 巻厚は6層あり、草山トンネルよりも一重
厚いです。忘れられていても、しっかり崩れ
ることなく存在している点で、当時の技術の
高さは十分見ることができます。
 内部に侵入です。
 アーチはしっかりしていますが、どうも路面
の状態が芳しくない。。。サイドの側溝のが
高くなっています。
 あるブログ様の情報では、どうも風水害時
に浸水している模様。その時に枕木ごと流
失しているのではないか、と推測。
 長さはどのくらいでしょうか。。。2、300m
くらいでしょうか。やや右カーブしている為、
少しの間、両側の出口が見えない箇所があ
りました。やっぱり真っ暗の懐中電灯だけは
怖いっす。
 武田尾側坑口に近付くにつれて、路面の
抉れ方が一層ひどくなります。このあたりで
は、右側は削られた岩盤がムキ出し、左側
は、なんとレンガ床になってます。これは珍
しい。枕木、バラストの下にレンガ敷きがあ
るとは、流されてないと分からない事実がこ
こにあります。
 武田尾側から先は完全に路面が消え去り
自然へと還りつつある景色を目の当たりに
しました。最早ここを訪れるのは鉄ファン様
かトンネル好きしかいないでしょう。
 路面が武庫川方面に向かって削られてい
るのがよく分かります。大量の水がトンネル
を通過してななめ左になだれ込んでいたそ
の爪跡を今もはっきりと残しています。
 自然の緑が優しく、そして力強くトンネルを
包み込んでいこうとしています。数年後は本
当に訪れる事ができなくなるかも知れませ
ん。
 さあ、ここからがもう大変!
 まともに歩けるスペースが殆どなくなり、
すさまじい植物の威力に圧倒されつつの
進軍。剪定ばさみ大活躍。
 気が付いたら、軌道跡を外れて山手との
隙間の窪みを軌道跡と間違えて歩いている
始末。左手に見えた暗渠で初めて気付きま
した。どんだけ〜!
 兎に角何がムカつくかって、とげとげ植物
が多いのなんの!
 何回ズボンを皮膚ごと引っ張られて、
「いってーな!このやろおおおおお!」と
一人でキレたかわかりません。無意味にと
げとげ植物を大量伐採してしまいました。
 この区間で唯一最強の癒しスポット発見!
コレはいい風景だなあ〜
 何にもない、自然の植物たちに囲まれて
居心地悪そうにややかたむきつつあるその
お姿は、何とも言えません。
 トゲゾーの攻撃を耐え忍び、癒しの標識で
HPを回復したよととは、ついに最終目標を
発見しました!きたああああ!
 特段他となんら変わらないお姿をされてい
る、名前を「大茂山トンネル」と申します。
 ただ、あの崖っぷちの穴の前に立つことが
できる入り口の場所であることに、特別な
感情を抱かせてくれます。このやろう、焦らし
やがって!←バカモノ
 いざ進入!
 このトンネルは「野田尾トンネル」と違い風
雨には晒されなかったらしい。綺麗に路面
を残し、沈んでいるものの枕木も現存します
 このトンネルも2、300mほどでしょうか。
途中真っ暗闇に支配されつつも、とうとう反
対側の日の光りが迫って参りました。
 ついに辿り着きました!!!
 なかなか叶わぬこの景色。
 大茂山トンネルから、草山トンネルを臨む
ことが!!
 限界一杯まで出て、一枚。
 対岸から見たらこんなとこに人がいること
に驚愕して頂けるかも、と期待したが誰もい
ませんでした。。。ちぇ。
 高いタカイよおお。前にあるのは橋脚を乗
ていたであろう部分のみ。
 目一杯身体を反って全体像を撮影。こ、こ
れが限界や!


こちらの錆びきった看板には、かすかに「大
茂山」の文字が見えました。
 どうしてもあの崖っぷちに立ちたい!という
強い欲求が満たされて、満足して帰路につく
ことができました。
 残るは生瀬駅付近の「城山トンネル」と「当
田トンネル」の2つだけとなりました。しかし、
城山は不可能に近いという話も。。。さて、
いつかレポあげられればいいな。。。