ついに禁断の場所に手を出してしまいました。。。
ここは、和歌山県田辺市本宮町静川。本宮温泉郷から南に伸びる県道241号(静川請川線)を伝うと、途中から林道安川大塔川線
に変化します。この路線は秘境の中を通るダート林道として、休日は渓流釣りや沢登、登山などの車で賑わう有名な
スポットです。
私は上記のような趣味はありませんが、どうしても来なくてはならない理由があります。
この大塔川沿いの林道、かつては森林鉄道の軌道が通されていたといいます。「林鉄の軌跡」」(伊藤誠一氏著、ないねん出版)
によると、1910年(明治43年)に延長13.7kmで開設されたそうです。
この林鉄にも隧道は6本存在し、林道隧道として現在も活用されています。
で、本題ですが、この大塔林鉄には支線が存在したそうです。先の著書では、大塔支線、として1953年(昭和28年)に700mにて
開設されたようです。本線から遅れること43年、戦争終結から8年後、高度経済成長の過程で木材の需要が高まったのでしょうか。
そういえば相賀林鉄の支線も開設は昭和20年代だったようですから、やはり国内の需要の高まりが支線開設の要因となったのは
間違いないんではないでしょうか。(ただ、廃止は本線ともども1959年(昭和34年)ということですから、支線は実質6年しか稼動して
いないことになります。。。なんと短命な。。。)
でで、この支線なんですが、一部の電子地図には点線表記で記載が残されています。そこにはなんと。。。2本の隧道表記が。。。
そら行かんとイカンでしょう!と、いうことなんですが。。。事前の情報からアプローチについて致命的な難所がある、と聞いており
ました。。。 |
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2010年4月某日早朝。
やって参りました。安川大塔川林道。ここに来るのは
久方ぶりです。相変わらずのダート林道で、秘境の
ムードも満点です。
大塔林鉄の支線があった場所。。。おそらくはここ
以外には考えられません。
そう、「黒蔵谷出合」です。本流の大塔川から西に
支流が延びており、ここを黒蔵谷と言うようです。
この黒蔵谷には有名な鮎返滝やカンタロウ滝などの
スポットが多く、よく沢屋さんのサイトでここの紹介が
されています。しかし、肝心の隧道はおろか、支線に
関する情報は一切得られない状況です。。。
もはや自分の目で確かめるしかない! |
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地図で言えばこの辺りです。
ヤフー地図ではこれ以上の詳細は得られませんが、
別の地図では点線道と隧道を確認できます。 |
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看板に記載されている内容です。やはり一筋縄の
場所で無いことを窺わせます。
足元には新旧の黒蔵谷出合の看板があります。 |
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この黒蔵谷出合から沢に下る道筋があります。
登山者や、沢屋さんはここから黒蔵谷奥地にアプ
ローチするようです。 |
沢へは容易に辿り着けます。。。が。。。
問題はその後です。。。
対岸へはどうやっていくんですか??? |
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。。。対岸に確かに登山道らしき取り付きが見えます
が。。。
橋とかないのでしょうか。
公式にいきなり渡渉しろってことですか??? |
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。。。振り返ってみますと、おや?
コンクリの構造物とワイヤーが見えます。
(カーソルオンで場所確認)
コンクリには太いピンが刺さっています。 |
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左側に太いワイヤー構造物の残骸があります。
やはり。。。
どうやら吊り橋が架かっていたようです。
いまやその殆どが消失しているようですが。。。
いつからこんな状況なのでしょうか。。。 |
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
この水量です。。。さすがに秘境と呼ばれる大塔川。。。水量はかなりあります。
長靴でどうにかなるレベルではありません。。。 |
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。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
ご覧の映像は対岸からのものです。。。
つまり、安川大塔川林道方面を見ています。。。 |
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。。。多くを語りませんが、水をナメてはいけません。
改めて実感します。
たったこれだけの水量でもまともに受けると、
人間の力の脆弱さを思い知らされます。。。足を掬わ
れたら流されていたことでしょう。。。気をつけねば。 |
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何はともあれ対岸の登山道に取り付くことができま
した。この細道を登ります。 |
細道を登りきった場所に、遺構を発見しました。
こいつぁ間違いなく橋台でしょう。桁橋を置く段差があります。 |
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橋台跡から大塔川を挟んで林道方面を見ます。。。
。。。。。。。。。。。何にも見えません。
が、林道との高さは一致しているようです。
間違いないでしょう。かつてここには橋梁があった。
そして、かつては林鉄の支線があったのではないで
しょうか。 |
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さて、それでは支線と思しき道筋の確認と参りま
しょうか。
橋台跡から見た西側、黒蔵谷方面の景色は確か
にフラットであり、ここにかつて道があったことを偲ば
せるに十分です。
ちなみに黒蔵谷の流れは右手(北側)になります。 |
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伸びる道筋の脇に置かれている看板。2枚とも同じ
事が書かれています。
登山者向けの看板のようです。まだ吊り橋が生きて
いることを前提にしたものでしょう。
でなければ、あの渡渉に関しても何らかの言及が
あって然るべきですが。。。 |
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さあ、道筋は細くなっていますが、確実に奥に続い
ています。
長靴の内部をずぶぬれにしてまで挑んだ支線探索、
どんな成果を得ることができるでしょうか。
。。。。。。。。ああ、気持ち悪い。。。
。。。ずびゅっずびゅっ。。。
以降、 中盤戦 へ! |