唐尾隧道
和歌山県

  

 和歌山県は印南町と田辺市にかけて東西に
走る国道425号線。特に印南町内は道が狭い
酷道である箇所が多く、つい最近大峠トンネル
開通、高串地区で仮称切目川1号トンネル掘削
中、という発展途上国道でもあります。
 その国道の印南町、田辺市境に存在する唐尾
トンネルがこれなんですが。。。
 
1966年(昭和41年)10月竣工 延長168m
 高さ3.4m 幅6.0m

 と、特にレポするトンネルではありません。
 問題は、かの隧道リストにある情報です。。。

 1939年(昭和14年)竣工 延長87
 高さ3.6m 幅3.8m
 まず、年代が大幅に違う(27年の差)。これは
初代があった可能性が濃厚ではありますが、拡
幅されて消滅した可能性もあります。
 しかし!延長を見てください。現トンネルの延長
は168m。旧隧道が87mと半分の長さしかありま
せん。写真の唐尾トンネルを見る限り、前代が87
mで存在したとはとても考えられません。
 この机上の事実に居ても立ってもおられず、現
場に急行しました。
 前代隧道は旧道に存在する。という仮説を元
に、まず旧道の探索から開始しました。
 探索すること15分。。。ナイ。。。ないよ。唐尾
トンネル東側、北の山手は法面が続くのみで道
の取り付く島がない。南は川床という感じで窪地
、峠へ向かいそうな道がない。よくあるパターン
の現トンネル脇からの取り付きもない。では西側
はどうか。
 西側、南はやはり川床で可能性は低い。残る
は北なんですが。。。
 写真の場所は
←この辺です。
 窪地と法面が交互にあり、やはり旧道らしきも
のが見当たりません。なかなか一筋縄では行き
ません。しかし、ないわけはナイ!ハズ。。。
 で、異変に気付いたのはこの場所です。コンク
リで覆工された法面に注目頂きたい。途中で段
差が発生しており、自然の地形としては少し変
だと思いませんか?
 現行トンネルに背を向けて(西)撮影。段差が
徐々に高度を上げていってます。これって旧道
の遺構ではないんですか???
 にわかにテンションが上がります!
 段差の先から北を向いて撮影。ちょうど法面が
途切れ、窪地との間ということになります。
 写真では見にくいですが、中央一段上がった
所にフラットな空間が見えます。国土調査のカラ
ーテープも見えます。
 上写真の段差部分とこの場所は元は繋がって
いたのではないでしょうか。意図的か自然か手
前は完全に消え去っていると思われます。
 フラット部分に登ってみました。うーーーーん、
今のところ獣道のようにしか見えませんが。。。
とりあえず他に目ぼしい地点がないので、進んで
みます。
 現道に向かって撮影。さあ吉か凶か!
 獣道ではないかも、現場その1
 法面部分の岩盤が削られています。明らかに
人工的に削られているっぽいです。獣道を造る
のに岩盤削ります??
 獣道ではないかも、現場その2
 これは決定的ではないでしょうか。コンクリの
橋が架けられています。相当な年代物と思われ
ます。
 
 その橋の反対側です。丸石積みの法面補強
に排水溝の施工。ここで確信に変わりました。
 ここは、国道425号線の旧道である!!!
 次々に見つかる道路遺構たち。
 路面自体はすでに自然に還ってしまっています
が、こういった人工物は長い間残ります。

 残る法面、フラットな路面を進みます。
 スタート地点からちょうど窪地を大回りし、また
現道に近付きつつあります。しかし高さは最早
降りる事はできない高さに登ってきています。
この辺から現道と平行して進みます(高さが違い
ますが)。至るところで法面が崩れて、道が傾斜
した状態になっています。
 現道がトンネルに突入します!
 あの道でうろうろ旧道探ししていたんですねえ
こんなとこに道があるなんて思いませんでした。
 現トンネルのちょうど上にある旧道の最大崩落
地点登場!瓦礫ではなく、さら砂っぽい細かい
砂粒が傾斜45度で過去の路面を覆い尽くし、現
道の法面にまで達しています。
 こいつはやばい。。。取り付く島がないってのは
このことやなあ。
 高巻き作戦で、ずるずる落ちつつなんとか対岸
に到着。やれやれ。
 現道はトンネルに突入しましたが、旧道はまだ
変化なしで右にカーブしていきます。
 道はこれ以上登ろうともせず非常にフラットで
す。峰はまだまだ上空であることを考えれば、
隧道で峰をくぐるしか方法がない気がします
が、さて。。。
 ありゃ???
 道が。。。ない???
 右にカーブした先で袋小路?に出てしましまし
た。ちょうど現行トンネルの真上あたりではない
でしょうか。。。。
 こりゃあどういうこっちゃ。。。
 どうなる、隧道探索!後半戦に続く!