松迫隧道
滋賀県

  

 
 ピカ氏よりご推薦頂いていた「ミニマム穴」
の探索。ようやく訪れる機会を得てやって
参りました。というか、一度この辺りにやって
きていたのですが、情報をうろ覚えで発見で
きず退散していました。。。
 滋賀県は西浅井町を斜めに横切る国道8号
線とJR北陸本線。お互いが余大川に寄り添う
ように西浅井町を通過します。ただ、南西側
は国道8号線は南へ、JR北陸本線は余呉ト
ンネルを潜って東へと、お互い袂を分かつこと
になります。
 そのちょうど別れるポイント付近に国道8号
線から東に伸びる名も分からぬ町道がありま
す。その町道には塩津小学校と数軒の民家
があり、300mほども進めば、ご覧のように
北陸本線下のボックスカルバートトンネルに
行き当たります。
 銘板が付いていました。
 「新塩津中函きょ」とあります。函きょ??
かんきょ、ですか?何、函きょって。初めて
見ました。きょ、「渠」かな?函渠?暗渠とか
溝渠とかに使う漢字がありますしね。
 帰ってネットで可能な限りで調べました。
 合っているかどうかわかりませんが、
 函渠=現場打ちのカルバート全体を指す?
ようですが。。。あんまり自信ありません。
 カルバートには、ボックス、門形、アーチなど
があるそうです。これはボックスか門形でしょ
うか。
 竣工は1964年3月でしょうか。
 
 少し入って振り返り。
 見えるのは民家数軒とJR湖西線の高架が
遠くに見えます。あの湖西線と、この上を走る
北陸本線は間もなく北側にて合流します。
 鉄道高速道路等の高架下にてよく目にす
る光景です。その大方の名前は、○○(地名)
4、とか素っ気ない名前が付いています。ただ
これにはしっかりとした名前が付けられていま
したので、嬉しかったですね。
 で、このトンネルは「新」と名前がある訳で、
当然「旧」もあるはずなんですよね。それこそ
追い求めているトンネルに間違いない!
 高架を潜り抜けました。
 我が愛車があんなところに。。。実は写真撮
影前に中間地点まで先にやってきていまし
た。
 新塩津中函渠を抜けると、すでにダート。
 轍はくっきりと付いており、出てすぐ右に舵を
取ります。その先は少し広場になっており、
特に何もありませんでした。
 振り返ると左が函渠。右側はコンクリ舗装
されており、その先にはお墓がありました。
 反対側とその趣は全く異なります。
 緑に覆い被さられて、不気味さアップしてい
ます。
 で、肝心の「旧」はどこにあるのか。
 「新」の上を走る北陸本線は単線のようで、
複線化の過程で新たに造られた路線のようで
す。「新」でも1960年代ですから、48年前から
複線化しているようです。
 では複線化する前の初代路線はどこにある
のか。新函渠を潜った後、じっくり上を見上げ
ると僅かに見える架線。緑の猛威でほとんど
構築物が見えないが、新線と平行して存在す
るようです。
 ということは必然的にこの下にトンネルがあ
るはずですが。。。
 右側に濃い轍を備えたダート道がやや高度
を上げて、新線と同じ高さまで上ります。
 左側はコンクリ舗装。。。では、真ん中。。。
轍もなんもないですが、なんか暗い闇が先に
見えますが。。。

 実は到着してすぐ、この暗い闇に気付いて
いましたが、本能的に避けていました。何か
無性に避けたくなるこの暗い塊。。。それ程
不気味な存在です。なんなんだこの有様は。
 構築物はおろか道すら緑に多い尽くされて
おり、まさにグリーンホールです。怖すぎ!
 フラッシュ撮影!
 トンネル発見!今まで隠されていた構築物
がようやくその姿を現しました。
 この函渠はアーチカルバートのようです。
 しかしあまりに狭い小さい「穴」です。ピカ氏
はここを車で通ったそうですが、とても車を入
れる気になりませんでした。うーむすごい。
 銘板は発見できませんでしたが、恐らく
 「塩津中函渠」に間違いないでしょう。
 竣工時期は不明ですが、改修は絶対入って
いると思います。
 中に入って振り返りました。
ここからだと外の様子ははっきり分かります。
 外から見たらそら恐ろしかったけどなあ。
 真っっっ暗です。
 コンクリのアーチが非常に綺麗に残ってい
ます。内部には住人のこうもりさんが2名おり
ました。お邪魔しまっす。
 反対側に到着です。長さは。。。うーん、50
mくらいでしょうか。人工的な音が全く聞こえ
ない静寂の空間です。
 反対側、最も俗世から離れた位置にあるこ
の穴の姿は、とても日頃使用されている感じ
はありません。
 最後の出入り口から先の風景です。意外と
道のラインは短く刈り払いがされているようで
す。ただ轍はなく、人がまれに通るぐらいでは
ないでしょうか。
 いったいどのくらいの人がこの「穴」の存在
を知り、年間何人の人が通るのでしょうか。
 それほど、一般生活には程遠い存在に思え
るそのお姿に心躍らせてくれました。