松迫隧道
滋賀県


後半戦

 

 
 西浅井町の北陸本線下トンネルで、もう一つ
気になる場所があって、先の塩津中函渠より
も数ヶ月前に探索をしておりました。その時は
塩津中函渠見つけられず仕舞いでした。。。
 この県道は、知る人はよく知っていますが、
二ケタ県道分断路線です。県道33号(西浅井
余呉線)は番号が示すとおり主要地方道では
ありますが、その延長は5.5km程と短く、しか
も山間部は道の整備が全く行われておらず、
なぜ主要地方道扱いなのか全くわかりません。
 単にダートとかではなく、獣道、なんですよ。
うーむ、謎だ。。。でも面白いですねえ。
 西浅井側からこの県道に入るとすぐ超目立つ
黄色に赤字看板がいやでも目に入ります。まあ
文字通りっすよ。
 県道は獣道ですが、ちょうどそこに北陸本線
の余呉トンネルが通っており、鉄道だけは何不
自由なく通過しています。
 この北陸本線を潜る道の記載があるのです
よ、地図では。そこで主要地方道の緑色路線
は途絶え、トンネルから先はいきなり点線道に
早変わり。どうなっているか見に来たのです。
 県道は民家の間を縫い、あっという間にこの
ようなフェンスに遮られてしまいます。よく掲示
物を見ますと、立ち入り禁止という意味での封
鎖ではなく、野生動物除けのフェンスのようで
す。驚愕の県道ですなあ。
 お邪魔致しまーす。道はY字路で、左に進み
ます。 
 左の道、轍がはっきり残るダートを辿ると、あ
りゃ、北陸本線と同じ高さに上ってきてしまいま
した。これが、「新余呉トンネル」だそうです。
 天下の北陸本線ですが、単線トンネルです。
ここより左上に「余呉トンネル」が走り、2つあわ
せて複線を形成しております。
 これが車道トンネルであるなら、あっという間
に余呉湖に辿り着けます。 
 ちょっと戻りました。Y字路左折は正しかった
ですが、そこから少し、更に斜め左に消え入り
そうな轍を発見しました。その場所に立った瞬
間に、暗い「穴」の姿を発見!
 四角い!
でもまあ新線の方は先の函渠では四角かっ
たため、想定通りです。
 轍は殆どありません。
しかし、ここが県道だとでも言うのでしょうか。
 新塩津中函渠は正方形っぽかったですが、
この函渠は長方形に見えます。やや広めでしょ
うか。
 ここにも銘板が。「祝山函渠」だそうです。
 読みは「ほりやま」です。まず読めません。
 竣工は「新塩津函渠」より1ヶ月早いようです
 建設が東側より進められていたことをうかが
わせます。
 ところで、「新」ではないんですか????
 その理由は入ってすぐ理解できました。
あー!くっついてる? 
 なんと一体型です。しかも普通のアーチカル
バートではなく、これはさしづめ釣鐘カルバート
でしょうか(そんなの聞いたことありません。)
 しかも、微妙に斜坑という感じで、レンガ積み
であれば「ねじりまんぽ」になりそうな、非常に
惜しい珍品です。

 しかし、一体型という点が非常に不思議です。
 この釣鐘トンネルの上が恐らく先にできた路
線で、ボックストンネルの方が新線だと思いま
す。土寄せの高架線で、東海道本線などでは
片側がボックス、もう片側がレンガ隧道という場
所は散見されますが、それは土寄せを拡幅し
た結果だと思われます。
 しかし、ここは山林に程近く、山を切り開いて
線路を敷いたのではないのでしょうか。切り開
いた場合は下のトンネルは一貫して同じ形に
なるはずですがねえ。。。わかりにくい表現で
申し訳ありません。
 形が違うという事は、新線を敷くために新たに
土寄せをした、というのが理論上最も整合性が
ある気がします。この釣鐘トンネル、改修前の
素顔が絶対あると思います。どんな顔してたの
かなあ。レンガだったのかなあ。今は知る術が
ありませんが。
 なんやかんやで反対側に到着!
 左手は側溝になっておりました。トンネルの中
はフタがされておりました。
 道幅は、車は無理ではないか?
 トンネルから先の風景。
 季節が春うららであったため、道筋ははっきり
確認できますが、これ、夏の盛りだと全く道の
判別ができなくなるのでは?
 しかし、本当に地図は正確です。確実に点線
道らしい道筋、獣道ですな。 
 振り返り撮影。トンネル直前で、車道である
権利を完全に捨て去っております。知らずにこ
こまで突入してしまうとトンネルバーーックする
ハメになります。
 全通県道に昇格するが先か、町道に格下げ
になるが先か。。。明らかに後者な感じがします
寂しい道です。それ以前に忘れ去られている
のではないでしょうか。
 いつか日の目を見ることを切に願います。