(仮)円通律寺トンネル


高野山森林鉄道(和歌山県)

   

 
 関西ではかなり規模が大きいと思われる、
「高野山森林鉄道」。確かにここ、和歌山県は
高野山一帯にかけてかつて軌道が張り巡らされ
てあったといいます。
 かつて紹介した、「下古沢、中古沢、上古沢、
花坂、(仮)湯川」、この5つのトンネルもこの林鉄
トンネルであったという事です。結構林鉄の中で
も多い方のような気がしますが、実はまだあるよ
うなのです。
 今回、残された廃トンネルの内の一つを探索に
やって参りました。冬場の高野山は、和歌山県
有数の積雪地域であり、2月に訪れることはかな
り無謀ではあります。それでも何とか辿り着いた
最初のポイントは、ここです

 国道371号線は南に向かう際に2手に別れます
が、その東寄りの高野龍神スカイラインの道より
西に伸びる道に入ります。
 入り口には、このような立て札が。。。
 参拝できないお寺とは。。。?
 林道はしょっぱなからダートになります。。。
 雪が積もった跡も多く残るため、先行きが不安
です。
 やはりダート道の土は半分凍っています。橋
の上や日陰のところは雪が残ったまま凍結し、
そこを車が通るものだから、深めの雪轍レール
と化していました。車が轍レールに乗っておかし
な動きをします。こ。。。怖ええ。。。
 ひいこらしながら、ここまで来ました。
 何と写真の奥から手前に下ってきたのです。
帰り大丈夫かこれ。。。ノーマルやのに。。。
 地図ではこの辺
この辺から分岐がありそうなんですが。。。
 下ってきた(滑ってきた?)道を戻ってみまし
た。さっき車ではここを右にカーブしたのです
が。。。
 まっすぐに目をやると、一応道が存在します。
直線であるが、あきらかに支線という感じの古び
たダート道が。。。続いている。。。かな?
 振り返ると、雪氷の轍は明らかに曲線を描いて
います。そら、道なりにハンドルは切りますが
な。。。
 明らかなグレードダウンを示すダート道。。。
 もはや車が通っていいとは思えない道です。。
。が。。。方向的にはこっちなんやけどなあ。。。
 やはり。。。そう行かないうちにあっさり倒木に
遮られます。明らかな廃道です。
 しかしながら、道形は残されている感じはしま
す。
 土砂崩れなどはありますが、何とか辿れるだけ
の道筋が残っています。果たしてここが軌道跡
だったのか。。。そこは全く分かりませんし、当然
遺構も見ることができません。まさに暗中模索
状態での進軍です。
 地図上では車道扱いなのですが、すでに廃道
状態です。
 冬場だからこの程度ですが、夏場はとても進め
たもんではない気がします。
 この辺は谷筋を右に巻きつつカーブする場所
なのですが、木々が育ち、水の流れの侵食に
より道の原型を留めません。
 谷を巻いてしまうとすぐに道筋が現れてくれる
ので、彷徨わずに済みます。思いっきり廃道で
すが。。。
 ここら辺は後で植林しているかもです。
 道筋ははっきり残っています。
 。。。。。。。。。。。。。
 上の写真から100mも進んでないのにこの
変わりよう。。。どうもさっきの場所までは廃線後
もある程度利用されていたのかも知れません。
 ここは。。。まさに廃・廃道です。。。
 この進軍で初めて人工物を確認しました。
 鋼のロープですが、果たして軌道の遺物なの
か。。。?
 むむむ。。。!
 道がナイ。。。
 目の前には緩めの斜面があるだけで、道筋
がありません。初めてこういう場面に遭遇しまし
た。
 でも、終点な訳ないやろ。。。と信じつつ、僅か
に残る踏み分け道を進みます。
 何とか斜面を渡りきったと思ったら、今度は倒
木群が行く手を阻みます。
 ここまで相当進んで来ています。
 かなり不安ですが、この辺は意外と携帯の電波
が届くので、携帯地図サイトで現在地を確認。
 等高線も表示されるため、隧道の想定地をあ
る程度絞れる点で、かなり心強いです。
 ナビと自分を信じて倒木越えを敢行します。
 
 この進軍で最も苦労した地点です。
 谷筋を巻いてカーブする場所ですが、本来橋梁
がないと不自然な地形です。
 しかしそんなものは遺構すらなく、切り込んだ
地形に道が遮断され、木々が育ち、倒木が寝転
がります。
 谷筋底から見上げます。。。
 この辺一帯も植林がされたようで、奥にはいま
なお生長する木々が見えます。
 谷から這い上がると、そこにはかなり広い空間
が、そこにびっしり植林がなされています。
 倒木も相当数ありますが、切り倒されてからの
年月は相当経っている感じがします。今は人の
手が入っているようには見えません。
 その広い空間が奥に進む程に道筋に収束して
いきます。携帯ナビでも稜線が近付き、これ以上
は車道軌道では進めない地形が近付きつつあ
ります。
 こいつぁ、きたっしょ!
 道筋脇には初めてと言っていい、遺構が顔を
覗かせています。思いっきり苔むして。。。
 つららが垂れこめ、周囲が異様な雰囲気を醸し
出します。冬場ならではの廃道風景です。
 !!!!!!!

 で。。。でたぁ〜!!

 な、なんつう不気味な姿で待ち受けるのか、
この「穴」は。。。
 トンネル左上から滝のように降り注ぐ雪解け
水が凄まじい。。。
 とてもその姿はトンネルとは思えず、やはり洞
窟として見た方がしっくりきます。
 注ぐ滝の様な水は洞底左にある人工物の上に
叩きつけられています。
 これは軌道の遺構と思われます。
 頭上にもつららは無数に存在し、垂れ込めてい
ます。
 峰はそれほど高いようではなく、日の光がまぶ
しいです。
 今一度、トンネルの全景です。荒々しい。。。
それが一番の印象です。過酷な環境でも口を
開け続けるトンネルの姿に畏敬の念を抱きま
す。
 これが(仮)円通律寺トンネル東口です。
 ZOOMEで動画配信しております。ご覧下さ
い。
 振り返ってもその廃っぷりは言うまでもありま
せん。
 恐る恐る中を覗くと。。。
 !!!

 貫通してる!光が見えます。
 そして心配した洞床ですが。。。
 よかった。。。浸水していません。。。
 しかもかなり広い!湯川トンネルと同じで意外
な広さに驚かされます。
 瓦礫の溜まる入り口付近を乗り越え、内部に
入りました。
 やはり凄まじい荒れっぷりです。

 瓦礫は入り口付近に溜まっているだけで、すぐ
フラットな路面となります。
 両サイドは水の流れがあります。雪解け水が
侵入していっているようです。
 その洞床には枕木が沈んでおりました。
 こういう遺構が残っているだけでも嬉しいです
ねえ。
 辛うじて残される碍子の遺構。
 錆び切っていつつもよくぞ残っています。
 進むにつれてその洞床に異変が。。。
 入ってすぐ両脇を流れる水に行き先を危ぶんで
いましたが。。。
 やはり。。。。。。。

 その路面は急激に水に浸され、陸地が見えなく
なってしまいました。
 丁度トンネルの中間地点くらいでしょうか。
 背伸びをすれば見える対岸の明かり。。。
 しかし、陸地の姿は一向に見えず。。。
 やむなく進軍を断念しました。
 戻って来ました。
 かなり戻らないと行けませんが、通過は不能と
判断し、峰を越えて反対側へ行くことにしました。

 無事、西口の姿を捉えることができるか。。。

 以降、
後半戦へ!