(仮)円通律寺トンネル


高野山森林鉄道(和歌山県)


後半戦

  

 
 トンネルの半分までは進軍できたものの、大量
の水溜りに撤退を余儀なくされた前半戦。
 それなら反対側、西側坑口からのアプローチを
試みます。
 峰越えは容易ではなく、いつもの荒業である
坑口傍からの直登はさすがに無理でした。である
からして、結構ハードだった旧軌道を戻って振り
出しから出直しです。
 スタート地点から出直しは、結構勇気の要る
決断ですが、根拠はありました。
 車を止めてある地点からさらに奥に進むと、あ
の参拝できない円通律寺があり、さらにそこから
地図では峰へ向かう点線道が記されておったの
です。
 全うなコースでの峰越えで、体力を温存します。

真新しい道案内があります。
 案内板に従い、車道規格のダート道を徒歩で進
んでおりますと。。。おや?
 真新しい小さな橋の先は。。。
 橋の先から道は右にカーブし、道の両サイドが
丸石の側溝をあしらったものに変化します。
 そして、立て看板と石碑。。。そう、ここが
円通律寺への入り口です。
 立て看板には、
 
 「修業道場につき境内への立入を堅くお断り
致します。 円通律寺」

 とあります。
 修業道場。。。そういうお寺があるんですね。
初めて知りました。
 そのお寺の入り口から左に目をやると。。。
 お地蔵様の左脇に徒歩道があります。
 またしても道標が。。。
 現在地は「円通律寺前」。。。と。ふむふむ。。。
 奥の院方面からやってきたので、向かうは
「轆轤峠」ですな。峰まで1kmの行程です。平坦
なら楽勝ですが峰越えなんでねえ。。。 
 修験道の一つなんでしょうか。人道として峰越え
の道が続きます。
 渡された板塀は凍っていて滑ります。。。こえー
 ああ。。。やはりこの光景か。。。
 最初はすいすい、あとがくがく。。。になるんや
なあ、こーいう道は。。。
 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

 ぜえぜえぜえ。。。。。。。。。

 いかんなあ。。。体力全然ありまへんわ。。。

 やっと峰まで登ってきました。
 ここはポイントS!

 円通律寺分岐地点だそうです。
 轆轤峠まではまだ峰伝いに500mだそうです。
 ということは、峰までの登りは500mっすか。。。
 それでこのへたれっぷりはやばいなあ。。。
 
 円通律寺側から登ってきたのですが、方角的に
は轆轤峠方面ではないんですよねえ、トンネル西
側が推測されるポイントは。。。
 ここが峰伝いの道です。なんとダートながらも
車道でした。
 手前は轆轤峠から高野町街へ。左手から登って
来ました。で、奥が大滝への道です。
 頼もしい携帯地図サイト情報では、大滝方面へ
ホンの数十mも進めば、真下にトンネルが通って
いると思われる地点に辿り着きます。
 この辺から降りれまいか。。。
 。。。。。。。。。。。。。。。

 上の写真付近から下に降りる道筋がありました。
ただし、正規の登山ルートではなく、作業道ではな
いでしょうか。刈り払いはされているものの、スライ
ダー並みの急坂下りの道となっており、結構危な
いです。こりゃ帰りが心配やわ。。。
 下りきるとこのようなフラットな空間に辿り付きま
す。
 携帯地図では、下った場所からトンネルまでは
すぐの距離を示しています。
 そちら方面へ足を運びます。
 季節が季節なら相当籔に悩まされそうな空間で
すが。。。
 !!!!!!!!!!!!!
 
 いきなり眼前に現れた狭い暗闇。。。
 な、なんだこの隙間は。。。
 最初の印象はそれです。とても人工のトンネルの
姿とは思えません。
 それがトンネルの跡だと誰が思おうか。。。
 単に岩場に亀裂が入った、よく言っても洞窟止ま
りではなかろうか。
 そう思う程しか全体像は見ることができません。
 東側と同じく滝のように降り注ぐ水滴にまみれる
西側坑口。。。完全に自然と一体化しています。
 ZOOMEにて西側坑口動画配信しています。
 振り返っても往時の軌道の雰囲気は一切感じら
れず、完全なる自然回帰が為されているように思
われます。
 恐る恐る亀裂の中を覗き込みます。
 なんやこの有様は。。。
 木切れが多数、それはいいが、いきなり水の
気配が。。。?
 。。。。。。。。。。こ、これは凄い。。。

 はるか彼方に東側の坑口の光が。。。
 その手前はみず、みず、みず。。。
 天井に迫り来る水の気配は最早トンネルではな
く、海岸近くの海中洞窟そのものです。
 さらに奥を覗くと。。。
 みえますでしょうか。。。水面はフラットを保って
いるのに、洞底はどんどん下がっていきます。
 入洞後すぐに往時のトンネルの高さにまで戻って
いることがわかりますが、水、溜まりすぎです。
 水深は2mを下らないでしょう。本来のトンネルの
高さ8割近くまで水位が上がってしまっているので
す。そら通過は不可能です。。。
 トンネル半分から水が溜まりはじめ、西側坑口
で水深2mオーバーとはどういうことでしょうか。
 こんなに水が溜まったトンネルは類を見ません。
 振り返ると、開いた口はこれだけです。
 長年の風雨、風雪に晒されて、完膚なきまでに
崩されたかつての軌道トンネルの姿。。。
 往時ここをトロッコが通っていたかと思うと、年月
の経過を思わずにおれません。
 このまま自然と一体となって永遠の眠りにつくこ
とは間違いないのではないでしょうか。