遠州遠征オフ 2014


静岡県


その4

  


                       2014年9月訪問


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 風吹隧道を後にし、あのシリーズに戻ります。

そう!
煉瓦隧道です!

 巖井寺隧道の次に訪れる物件もすぐ近くにあります。
 

 そう!こいつです!
 明らかに短めの隧道。これが煉瓦なんですか?

 因みに北側の坑門です(南向き)
 明らかな煉瓦フォルムが見えてきましたねえ。

 おお!いいですねえ。巖井寺隧道とほぼ同じフォルムを有しています。
 煉瓦4層巻。坑門、胸壁が煉瓦イギリス積み。笠石と帯石を備えるスタンダード物件です。
 で、よーく見たら要石があります。 
 扁額もしっかり完備です。
 ちょっと読み取り辛いですな。
 
 左側の法面にこのような面白い構造物が。
 どうやら排水樋のようですが、円柱状になっています。
 右手石積みの上にも煉瓦樋が続いており、坑門上部に
流れ着く水をここを伝わせ排水していた模様です。
 これが石積みの上の樋です。

 内部です。暖色の照明はいいですねえ。ただちょっと明る過ぎですが…
 そして!ここは全面オリジナルのままのようです。いいですね!全面煉瓦隧道です。

 で、側壁煉瓦ですが、色の違う煉瓦を規則的に配列するポリクロミーという技法を使用しています。
 焼過煉瓦と通常煉瓦なんでしょうか?色褪せが強いのか、いまいち分かりません。
 振り返り。
 ポリクロミーのラインがよくわかります。

 ちょっと明る過ぎの暖色照明ですが、それでもいい雰囲気を醸し出してくれます。
 恐らく、バイパストンネルなど近代的な大口径トンネル用の照明ではないでしょうか。オーバーワークっすよ、抑えて抑えて…

 南側坑口までやってきました。
 日当たりの良さから煉瓦のいい色合いが出ています。
 で、出た瞬間に県道にぶち当たるため、「止まれ」の看板が寸前にあります。

 おお!非常に綺麗な色合いを残しています。
 アーチ環は焼過煉瓦を使用しているようです。そして!アーチ環には希少な技法が使われていました。
 竪積みです。竪積みとは小口並びのアーチ環において、
一部に長手を挟むことによる補強方法の一つらしいです。
 1つのアーチ環につき4か所程施工される例が多いよう
です。
 また竪積みパターンも数種類あり、その種類を確認
するのも面白いですね。
 関西方面では大阪府の鴨沢橋梁、岡山県では三石の
煉瓦拱渠群として土木遺産になっている、三石架道橋、
三石避溢橋、野道架道橋、寺前川橋梁などがあります。
 檜坂隧道

 隧道データベースでは、
 1895年(明治28年)竣功
 延長47m 幅員3.6m 高さ3.2m


 全国道路トンネルリストでは、
 1905年(明治38年)竣工
 延長48m 幅員3.9m 高さ4.2m


 うーむ、かなりの誤差がありますな。
 特に竣功は困りものです。
 隧道データベースでは明治28年が青田、檜坂の2本で、
巖井寺だけが明治38年になってます。
 全国道路トンネルリストでは明治28年は青田だけで、
檜坂、巖井寺の2本は明治38年になってます。

 巖井寺隧道との違いは要石と竪積みの施工があること。
 この拘りが竣工10年の違いにでているんでしょうか。青田の施工次第で竣功年度の謎が解けるかもです。

 自転車が通り過ぎていきました。
 南側から洞内を撮影すると、煉瓦の自然な色合いが確認できます。いいですね〜

 それでは、次の物件に行きましょう。

 お次も煉瓦別件!3兄弟の長兄と目される、青田隧道です!
 南側からのアプローチです。

 南側の坑門です…って、ありゃあ〜。えらいことになってます…
 かなりの部分がコンクリート張りされています。しかも坑門、弟2本に比べて低いですねえ。
 僅かに残された煉瓦部分。
 アーチ環の両側、坑門下部の両側。
 全面コンクリ張りされなかっただけでも幸いでしょうか。
 内部です。
 これは…凄まじい補修のされ方です。
 煉瓦部分がかなり隠れてしまっています。

 ただ、上部の補修はメッシュ状の部材が使われており、煉瓦を視認することができます。
 せめてものはからいでしょうかねえ。

 中間地点部分ですが…おお!ここはボードが開いています!

 おおお?何だこりゃ?
 煉瓦巻きの真ん中がくぼんでる?と思ったんですが、どうやら、両側のふた巻きが出っ張っている模様です。
 こんな感じです。
 ちゃんとイギリス積みで、両端部の煉瓦処理も忠実に
守られています。
 この厚みは…煉瓦巻きを煉瓦巻きで補強したってこと
でしょうか。

 いい雰囲気です。白色電燈もいい味を出してくれます。

 そして北側坑口です。おお!煉瓦坑門が残されています。
 うーむ。先の巖井寺、檜坂とはかなり雰囲気が異なります。まず坑門上部がそっくりありません。
 上部とは帯石から胸壁、笠石までにかけてですが、その部分がありません。よって扁額もありません。
 これは後年消失したというよりは、元々ないって感じです。

 
アオダ
 青田隧道


 隧道データベースでは、1895年(明治28年)竣功 延長224m 幅員4.0m 高さ3.0m
 全国道路トンネルリストでは、1895年(明治28年)竣工 延長224m 幅員4.5m 高さ3.0m

 
 おおよそ誤差はありませんな。
 で、この3兄弟、あきらかにこの青田と、後の檜坂・巖井寺とは時代が異なる感じがします。
 青田隧道が明治28年。檜坂隧道、巖井寺隧道が明治38年竣功、で間違いないのではないでしょうか。
 そんな10年早生まれの青田隧道ですが、ちゃんとこの
ような煉瓦樋が施工されています。

 遠州煉瓦隧道3洞堪能させて頂きました。
 わかることは、一洞一洞全く同じではなく、それぞれに
個性を出していること。
 当時の隧道にかける思いの強さをうかがい知ることが
できました。


 さあ、次行くぞ!

 以降、 
その5 に続く!