遠州遠征オフ 2014


静岡県


その3

  


                       2014年9月訪問


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 遠州ブランドの素掘り隧道を初めて堪能し、ほくほくで
次の物件へ。
 次は!これまた遠州ブランドで素掘りとの双璧を成す、
煉瓦!
煉瓦隧道です!
 同地域に素掘りと煉瓦隧道があるなんて…なんと羨ましい
地域なんでしょうか。
 遠州上陸初煉瓦隧道、それは…
 

 こやつです!県道38号線の旧道、になるんでしょうか。
 その旧道に静かに、それでいて特有のオーラを放つメジャー物件!

 その名も「
巖井寺隧道」です。
 車道煉瓦隧道を訪問するのは久しぶりです!いやあ、やっぱりいいすねえ〜
 立派な扁額付です。
 竣功当時のものと思われます。
 煉瓦巻厚は4層、坑門、胸壁ともに煉瓦イギリス積み
です。帯石、笠石を備えるスタンダードな煉瓦隧道です。
 

 そして内部!
 …うーむ…ちょっと残念なペイントがされています。
 側壁からアーチを少し跨いで白いペイントがされています。
 このペイントは煉瓦隧道、暗渠でしばしば見られます。目的が未だに分かっていません…
 上部だけ残すのも謎ですねえ。
 こういった窪みが等間隔でありますが、初期の電燈設置
跡でしょうか。

 巖井寺隧道南側坑口です。
 取り付き道路はやや左に曲がっており、見通しがあまりよくありません。

 家庭的な蛍光灯の光とのコラボレーション。
 いい雰囲気ですな。この白と茶色のコントラストも妙な味を出しています。
 北側坑口までやってきました。
 隧道内の見通しは悪くないですね〜

 北側からの洞内の見通し。
 蛍光灯の密度がいい雰囲気です。

 北側の坑門です。苔むし具合がいいですねえ。

 
がんしょうじ
 
巖井寺隧道 
 隧道データベース    
1895年(明治38年)竣功 延長137m 幅員3.6m 高さ3.2m
 全国道路トンネルリスト 
1895年(明治38年)竣功 延長137m 幅員4.0m 高さ3.2m
 

 幅員が微妙に違うだけで後は同じですな。
 扁額ですが…
 うーむ、判別不能ですな。
 辛うじて「井」と「道」ぐらいは何とか。

 遠州初訪問の煉瓦隧道!堪能させて頂きました!

 それでは次の物件へ。

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 次は巖井寺隧道と目と鼻の先、風吹隧道です。
 ここには2本隧道が存在するようですが、果たして…
 北側から旧県道249号線?なんでしょうか、そちらに進行。
 砕石関連の専用道化している道を少し行くと、簡易な
ゲートに阻まれます。
 モルタル吹き付けの垂直壁。
 かなりの圧迫感がありますな。
 ここが旧道だったのか…

 現れました。
 見た瞬間にこの立地の特異さを感じ取れます。
 とりあえず、見通しが最悪です。
 片側だけだったそそり立つ壁は両側に及び、尚且つ隧道
を穿つ正面の山塊もほぼ垂直です。
 この圧迫感極まりない場所に空く穴、さらに道も真っ直ぐ
ではなく、隧道も右寄りに穿たれています。
 …うーむ、これが現役ならかなりの険道ですな。

 コンクリート隧道ですな。
 後ほど分かりますが、後年改修物件でございます。
 ちょっと見にくいですが、アーチ環はコンクリートブロックの2層巻きとなっています。
 風吹隧道の扁額が。
 扁額の下に、「昭和四年九月竣功」の文字が見えます。

 隧道データベースでは、第一風吹隧道となってます。
 1931年(昭和6年)竣功
 延長127m 幅員4.5m 高さ3.6m


 全国道路トンネルリストでは、
 1929年(昭和4年)竣工
 延長127m 幅員5.0m 高さ3.6m

 
 竣功は現地とトンネルリストが一致します。 
 内部です。
 アーチ環がコンクリートブロックですね!
 昭和初期の改修ということで、こういった希少性のある
巻き立てとなったんでしょうねえ。

 振り返り。
 煉瓦巻きではないですが、このブロックシルエットは味がありますねえ。
 コンクリートは最初だけで、あとは普通のコンクリ巻き
です。
 オールコンクリブロックだったのが改修されたんでしょう
かね。
 反対側に来ました。
 コンクリブロックではないですね〜

 反対側の坑口です。
 日の光がきつ過ぎてうまく撮れてませんな…
 扁額があります。竣功年度も扁額に納まってます。

 …って、ええ?竣功年月が違う?

 昭和六年六月竣功に見えますが…
 向こうは
 昭和四年九月竣功になってた気がしますが…?
 ここの扁額の竣功年月が

 で、反対側のが

 ねえ?違うでしょ?どういうことなんでしょうか。
 昭和六年だと隧道データベースと一致します。昭和四年だと全国道路トンネルリストと一致します。
 隧道完成時期か供用開始時期か、のちがいなんでしょうか。
 こちらも掘り割りが深いですなあ。
 
 で、もう一本あるはずの隧道に向かいます。
 途中、現道にもどってみるとこのようなモニュメントが。
 「風吹トンネルの由来」
 だそうです。
 抜粋しました。
 どうやら初代は素掘りだったようです。しかも3本!
 知っている風吹隧道は2本ですが…
 
 初代は起工が1900年(明治33年)、竣功が1902年
(明治35年)でしょうか。
 延長の記載はないですが、幅員2.0m 高さ2.0mの
相当小さい隧道だったようですねえ。

 で、改修年月日ですが、ここでは昭和6年と昭和32年
になっています。
 昭和6年が風吹隧道の南側坑口の扁額と一致します。
 うーむ、やっぱりこっちが正確?

 新道開通は1999年(平成11年)ということで、お役御免
となった模様です。
 初代素掘りから数えて97年目で引退したようですね。
 隧道自体は2014年で112歳ですな!

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 で、こちらが2本目の風吹隧道の位置です。
 3本目は見当たりません。
 おろろんさんが探してくれましたが、どうも新道開削時か
それ以前に消滅してしまった模様です。
 現道から回り込み、南側から旧道へ。

 お、見えてきました。あれが第二隧道でしょう。
 いい雰囲気ですねえ。 

 綺麗な坑門です。そして近代的なコンクリートポータルを有しています。
 明らかな戦後の匂いがします。
 第二風吹隧道
 昭和三十二年二月竣功

 とあります。
 改修年度として、先程のモニュメントの表記と一致
しますな。


 第二風吹隧道
 
 隧道データベースでは、
 1957年(昭和32年)竣功
 延長39m 幅員5.3m 高さ3.7m


 全国道路トンネルリストでは、
 1957年(昭和32年)竣工
 延長38m 幅員5.6m 高さ3.9m

 
スペックは微妙に違いますが、竣功年度は一緒
ですな。
 内部です。
 うむ、近代的なコンクリトンネルですな。
 現役でも何の違和感もありません。
 南側坑口方面を振り返り。
 一方、北側の坑口です。

 北側坑口です。
 こちらにも扁額があり、第二風吹隧道の文字と、同じ竣功年度の文字がありました。
 どんな山奥の隧道か、と思えるようなこの2隧道の立地。
 実はそうでもないんですよね。
 初代が穿たれた明治期では本当に山奥だったんで
しょうねえ。その雰囲気を今でも十分感じ取れます。

 結局3本目の所在は不明です。どの時期にどうなった
のか、知りたいですねえ。

 さあ、次は巖井寺隧道を含めた3兄弟の煉瓦隧道です!
 
(このペースで更新するといつまでかかるんだ…)
 
 以降、 その4 に続く!