1日目
2016年1月訪問
2014年9月、初の遠州オフが叶い、菊川市、掛川市、袋井市を中心に遠州ブランドの隧道達を鑑賞していきました。 レポートが完成する頃には、未だ周辺に眠る遺構群があることが明らかになり、第二弾構想は2015年実現に向けて検討しておりました。 2015年は第二弾実現には至りませんでしたが、2016年早々、大崩海岸遺構群を中心としたオフ会が実現しました! オフ3日目の大崩海岸遺構群のレポは既に報告済みですので、初日単独オフ、2日目合同オフのレポートをしたいと思います。 初日は金曜日。本来はこの日は仕事で、夜乗り込む予定でしたが、雨で仕事が休みになったので急きょ予定を捻じ込みました。 主な行程は、浜松市天竜川駅から掛川市掛川駅までの東海道本線煉瓦アーチ探索、掛川市周辺の車道隧道巡り。 この中でレポートにできる物件はない予定だったんですが、終盤に訪れた、「そこ」は…当方の想像を超える物件だったので、今回 レポさせていただくことにしました。 |
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場所はここ。 掛川市入山瀬の小笠池。 ネットでは心霊スポットでもあるらしい此の場所。 ここに遊歩道の隧道が3本あるらしいのです。 |
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小笠池には駐車場があり、トイレも完備されています。 そして、このような案内板が。 「小笠山ハイキングコース案内図」 |
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ハイキングコースの案内板にもしっかり載ってる隧道たち 3本。 私の狭い見識であれば、こういった隧道の殆どは無機質な コンクリートアーチトンネルなんですが… ネットで見る限り様子が異なる…? とはいえ、そこまで期待はせず、あくまで関西隧道集の 遠征編に入れる目的で訪れました。 |
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小笠池からの流れは下小笠川となり、菊川に注ぎます。 下小笠川最初の橋梁を渡ると、ハイキングコースが始まります。 |
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こんな小さな橋ですが、ちゃんと名前があるようです。 「佐房」という文字が見えます。 河川名ではない文字です。「佐房橋」なのか「佐房○○ 橋」なのか分かりませんが、立派な名称があることに感銘を 受けました。 因みに普通のコンクリ桁橋です。 |
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竣功年度も記載有です。 1961年(昭和36年)完成のようです。 さるサイト様情報によると、小笠池着工が1952年。完成が 1964年ということですんで、小笠池造成と同時に造られた 橋ということになるんでしょう。 因みに因みに、反対側の欄干2か所には銘板は見当たり ませんでした。(ていうか、親柱がなかったかと。) |
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遊歩道に入りました。一応車両の規制はなかったので、車で入ることも可能かもしれませんが、当方は自粛しときます。 |
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少々の登りがあるものの舗装されており、なんの苦も無く隧道が現れます。 |
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やはりコンクリートポータルです。 ここまでは他の遊歩道トンネルと大差ないんですが… |
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ポータルが妙に前後に傾斜しているものの、いたって普通のコンクリアーチトンネル。 名称は不明なので(仮)小笠池1号隧道と致します。 …しかし…意外と延長があるな…。それと、この長さで照明なし!??? |
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振り返るとこんな感じになってます。 きついものの至って普通の林道ヘアピンカーブ。どうやらこの遊歩道ができた当時は隧道がなかったのではないでしょうか。 |
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誰がこんな場所に隧道を掘ろうと計画したんでしょうか。 遊歩道なら普通に小笠池天端に向かう道だけで十分な 気がしますが… 兎にも角にも内部調査に参りましょう。 少しコンクリアーチがあるものの、先はどうやら素掘りの ようです。 それにしても、暗い!遊歩道トンネルがこんなんでいい の!? |
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おおおお!? なんだか凄い光景が… |
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これが遊歩道トンネルの洞内か!? ありえん…。こういったトンネルの少ない、一般の関西人なら確実に二の足を踏むこのフォルム…遠州では普通なのか??? 曲がりなりにも千を超える隧道を見てきた当方でも、このフォルムは気軽なハイキングトンネルではありません! それも照明なし。うーむ…。懐中電灯が必要とも何も書いてなかったけど…。 うーむ、想定の上を行く遠州ブランドの穴たち…恐るべし! |
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振り返り。 因みに洞内にはダブルトラックがあります。 軽トラクラスなら入れるかと。推奨はしませんが。 コンクリ部分だけでも計測しとけばよかったすね。 |
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土質はこんな感じです。 触ればボロボロ崩れます。が、これでも崩壊しないんです よねえ。不思議なもんです。 |
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微妙に登って曲がってる感じもします。 国土地理院の地図計測ではおよそ140mです。しかしそれ以上の長さを感じます。 |
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土質なんでしょうか、やたら白い洞内。 しかしよく掘りぬこうと思いましたねえ。 |
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この辺は砂利が敷いてあり、少しは遊歩道らしくなり ました。 真っ暗ですが… |
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反対側が近付いてきました。 内部はずっと素掘りですが岩盤ではなく、綺麗なアーチ状に成形されています。 |
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やはり反対側の坑口もコンクリ巻きのようです。 | |
振り返り。 こちらから見ても異様な姿は変わりません。 |
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反対側の坑口から2本目の隧道の坑門がちらっと見えています。 それだけ明かり区間が短いということですな。 |
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1号隧道と2号隧道の隙間は谷筋になっており、簡易な砂防堰堤が新設されておりました。 看板には「平成27年度 県単治山(県営)入山瀬工事 工種 流路工(L=36.0m)」とあります。 施工から1年も経ってないぐらいですかね。 |
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(仮)小笠池1号隧道の西側坑口です。延長はおよそ140m |
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こちらが(仮)小笠池2号隧道です。延長は地図計測でおよそ38mです。こっちは遊歩道トンネルらしい? 延長ですな。 で、南側は27年度竣功の堰堤。北側が… |
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???道っぽくなっています。 |
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道ではないですね。堰堤造成時に資材置き場にしていた平場かもしれません。 その先はすぐに小笠池の湖面です。 |
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ここから見るとちゃんと流路になってますね。 では2号隧道に入りましょう。 |
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およそ38mと短い隧道でしたが、内部はやはり素掘りのままです。 これだけ短い隧道なら全部巻いてもよさそうですが、内部の安定度がそれだけ高いってことなんでしょうか。 |
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振り返り。2号から1号の坑口が見えますな。 |
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これでも素掘りです。まるでモルタル吹き付けでもしたかのような滑らかなアーチです。 安定感が半端ないですな。 |
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あっという間に反対側に。 | |
道はすぎに左に折れます。 | |
振り返り。どこから見ても綺麗な洞内です。 床面には重機の通った跡があります。小型のユンボでしょうね。 |
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(仮)小笠池2号隧道西側坑口です。 |
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2号隧道から左に折れた、と思われた遊歩道ですが… | |
沢に当たって途切れていました。 先程の轍の主が均したようですね。 |
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正解は隧道出て右側のか細い道でした。 ここから突如本来の遊歩道に戻るような感じです。 |
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遊歩道は途中、橋を渡ります。 |
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この橋の銘板等は見られませんでした。 橋脚が2本の桁橋です。 |
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小笠池の湖面が広がっています。 |
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橋からすぐ。分岐が現れます。 |
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出ました。3本目の隧道です。 |
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隧道の上部から山手へ向かうハイキング道は閉鎖されています。 そういえば、入り口の案内板にも×印がありました。 |
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こちらが3本目の隧道!(仮)小笠池3号隧道と致します。地図計測で96mです。そこそこの延長です。 しかしあのか細い遊歩道に似つかわしくない大きさですな。 1号、2号は前後の道が同サイズでしたんで気になりませんでしたが… |
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こちらもやはり内部は素掘り。 1号隧道とは違い、見事に一直線です。しかし本当に綺麗に成形してますなあ。 |
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本当に不思議です。脆いのに安定している…。遠州特有の地質が成せる業ですな。 |
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うーむ…何枚でも写真を撮りたくなります。 |
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反対側の坑口が迫って参りました。 |
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3本とも両坑口コンクリ巻き確定です。 | |
(仮)小笠池3号隧道、この隧道は方向が変わって、ここが北側坑口です。 |
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このような遠景になっております。 奥は小笠池。手前に向かって、池に流れ込む沢が続きます。沢の対岸が遊歩道(周遊道)です。 |
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対岸へはこのような簡易な橋が。 隧道は3本ということなので、ここから先には進んでおりません。 |
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橋は渡ってませんが沢にそっても道があり、気になる地形があったので、少し鑑賞。 |
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一瞬隧道があるんぢゃね???と思えるような地形が広がってました。 しかし隧道はなく、天然の切り通しのような状態になっておりました。 |
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なかなかの切り通しぶりです。しかし、沢の流れがあるので人工ではないでしょう。 長い年月を経て、沢の水が岩を削っていった結果でしょうか。 |
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切り通しを抜けるとコンクリの堰堤が。ここで引き返しました。 |
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帰り。なかなかの切り通しっぷりです。右が道、左が沢になってます。 |
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道と沢がはっきりした場所。 いやあ、いろいろ堪能しました。 一応レポはこれで終了。と言いたい所ですが、最後に小ネタを。 この小笠池。下小笠川への排水方法は、堰堤からの小規模越流式です。しかし、実はもう一か所排水場所があります。 それが… |
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これです! おおおおお!?かなりびくっとなりました。 まさかの石積みアーチ隧道!? |
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ぬおおおおおおおお…なんちゅうフォルムやああああああ… ある意味施工者 good job! 明らかなコンクリート坑門。そこに輪石、笠石、扁額の装飾が!これはまた見事な疑似っぷりです。 |
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ただ惜しむらくは扁額!何か書いていてほしかった! 因みにこの坑門は水路に入らずなら誰でも見れます。駐車場からすぐ右上にありますよ。 |
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内部は…やはりコンクリ製です。 果てしなく続いています。方向的には小笠池の真下だと 思いますが… |
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何でもかんでもやりたくなる振り返り(笑) |
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で、穴があったら入りたくなる性分www 何の変哲もないと分かっていながら、先がどうなってるの か知りたくなります。 腰を屈めて進んでいきます。結構長い…。腰痛い… が、先が見えてきます。 |
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やはりこのパターンです。 水門でぴっちり蓋をされておりました。 |
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上に謎の穴が。 そこから水が滴っています。 |
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最深部より振り返り。 小笠池の余水吐き設備でしょうか。清掃などの目的で池の水を空にする際に開門されるのかもしれません。 これにて遠州オフ2016 1日目レポ完了です! 次は2日目合同オフの様子をお伝えします。 以降 その2 に続く! |