林道大平線隧道群


富山県


  


                    2016年8月訪問

 今年も帰省のシーズンを迎えるにあたって、恒例
の北陸ぶらり探索の場所を模索しておりました。
 国土地理院の地図で何となくいつも見ていた
はずの場所を見ていたんですが…
 ???あれ?これ、知ってる?的なトンネル表記
を発見しました。
 富山県最東端の町、朝日。海側から新潟県との
境を南に伸びる県道115号線から分岐し、さらに
南に伸びる白表記の道。境川に沿って大平地区
内を南下します。
 その途中…トンネル表記がある!!!
 しかも…
3本!
 これは知らん!県別マップルやグーグルマップ
にも出てこないトンネル…国土地理院にははっきり
記載されております。
 これはやばい…てことで早速ネット検索。すると
唯一引っ掛かったのが、その筋の人なら知らぬ
筈のない富山の雄、険酷隧さんのレポ!
 氏は1本目のトンネルをチェックされてました。
その先は要再訪という形で〆ておられましたので、
これはグッドタイミングでは?ということで早速お
誘いしたところ快諾を頂き、合同オフが実現しま
した!

 8月某日、道の駅越後市振の関にて氏と待ち合わせ。
 ひとしきり談笑した後、早速現場に連れて行って頂きました。
 で、駐車場所がここ。上の地図の場所になります。

 ここで車両を停めた理由はこれです。
 関係車両以外は入れない状態となっております。
 ここからは徒歩での進軍と相成ります。さて、どんなブツが眠っておるのやら… 

 林道大平(ダイラ)線。関係車両がよく通るのか、落石等は殆どなく、綺麗な状態を保っております。
 大平線の起点は大平字出合向80、終点は大平字亀ヶ淵2-1となっております。 

 土地柄、お馴染みの物件が。
 冬季歩道も僅かながらに存在します。ここは階段が付いていますね。
 奥を確認しなかったのが心残りです。

 早速1本目のトンネル登場!険酷隧さんのお話でここまでは早いのは分かっておりました。 

 大平トンネル

 まだこのようなトンネルが山中に眠っているとは… 

 1991年8月竣功 延長353.0m 幅員5.3m 高さ5.25m 施工 (株)熊谷組/(株)深松組 共同企業体
 こんな山中のトンネルでありながら、まともな銘板まで備えております。

 延長353mのコンクリートトンネル。照明設備はありますが、当然ながら点いておりません。
 入り口の配電盤の様子を見ると、もう点ける事はできないのではないでしょうか。 

 振り返り。離合できない線形ですねえ。

 トンネルはやや左に折れていきます。で…暗い!
 さすがに353m。照明なしでは歩くことができません。

 振り返り。光は届かなくなっております。

 なんと待避所まであります。
 カーブしているからでしょうけど、何とも配慮に長けた林道隧道です。

 電光の待避所看板まで付いています。果たして光ったことがあるんでしょうか…

 反対側まで辿り着きました。さすがに結構な延長です。

 大平トンネル、反対側です。
 一体年に何回使われるんでしょうか、このトンネル…
 トンネルの位置です。
 駐車場所は、境川と書かれている分岐付近
です。
 ※実際の分岐の仕方と異なっています。

 以降、フラットな場所はダートになります。
 いやあ、山が深いです。

 分岐が出てきました。が、左は橋を渡ってすぐ藪です。 

 工事用の橋梁ですね。架けっぱなしです。
 対岸の山は昔、深層崩壊したような形跡が窺えます。その土砂搬出に橋が架けられたんでしょうか。
 そうではなく、別の目的かもですが…。昔、集落があった、というならヤバイですけどね〜

 そこからすぐ。おお!?トンネル?

 違いました。ロックシェッド(洞門)ですな。
 …で、ふと洞門の天井を見るとなんだか丸いものが…
 こ、これは!!!まさしくスズメバチの巣!!!しかもやべえ、絶賛棲息中です。巣の周りを数匹のスズメバチが歩きまわって
おります。
 一応、ハチジェットは用意してますが、一斉蜂起されたらひとたまりもありません。幸い高さがあり、射程圏外では?
 と勝手に判断し、右隅をそそくさと通過。偵察部隊も出てくることなくやり過ごすことができました。
 
※私は山仕事でスズメバチややつらの巣にはよく遭遇しますが、スズメバチは非常に危険な生物です。
 自己で適正な判断をお願いします。

 何とか通過して振り返り。ふ〜。

 洞門を抜けます。

 抜けて振り返り。
 延長はご覧の通りです。銘板等の情報源はありませんでした。

 どんどん登ります。時折境川のコンクリ砂防堰堤が現れます。
 水はかなり少ないですねえ。

 またしても雪中シェッドが。

 覗き込むと、すぐ先で出口になっています。
 ここだけシェッド造っても冬季は埋まって使えないような気がするんすけどねえ…?

 遠くに水圧鉄管が見えてきました。
 あそこが境川第三発電所ですな。あの辺りに2本目の隧道がある算段です。

 いつもと違うタイプの砂防堰堤です。
 石碑もありますし、帰りに寄ることにしました。

 帰りに寄った時の様子を今出してしまいます。
 
 境川第6号砂防ダム

 完成 1997年(平成9年)12月 堤高14.5m 堤長58.7m 富山県土木部


 だそうです。

 おおお…なかなかの迫力です。
 このタイプは、透過型砂防堰堤といいます。普段よく見かけるコンクリオンリーの堰堤が不透過型砂防堰堤といいます。
 数が少ないこのタイプ。採用される条件として、堰堤と人家の距離が離れている。溜まった流木や土砂を撤去するための管理用
道路が近くにある。また、生態系への配慮として生物が行き来できるようにする。などの目的もあるようです。
 こちらの資料を参考にさせて頂きました。

 そして!遂にやってきました。境川第三発電所と、境川第一発電所の取水口です。
 因みに境川第二発電所が一番北側、日本海に近い場所にあり、真ん中に第一、奥に第三、という立地になっております。

 取水堰堤の奥にこじんまりとした境川第三発電所。
 富山県下新川郡朝日町太平区亀ヶ淵3-3(ある資料では朝日町大平亀ヶ淵3-6になっています)が住所となっております。
 境川第三発電所は、北陸電力発電所ランキングで143位中65位の6.7kwです。(2016年8月29日調べ)
 意外なことに第一が72位5.3kw、第二が74位5.1kwで、第三の方が出力が大きいです。(まあ、僅かですが…)
 季節柄、水量によるものでしょうか。雪解け時期になると本来の力を発揮するのかもしれません。
 参考サイト

 こちらが第一発電所用の取水設備です。
 手前にプールのように溜め込んでいます。この季節、やはり水量に乏しいようで、大部分の水を発電用に回している
感じです。

 どうやらこれは沈砂池のようです。深いのに透明度がハンパないです。

 貯められた水は先で集約され、水路橋を通って対岸に。そして…

 隧道となってはるか下流の第一発電所に向かっています。
 よく見ると管理通路と…穴が開いています…うーむ、悩ましい…

 後ろ髪を引かれつつ、本来の目的である隧道2本へと向かうのでありました。

 以降、 
後半戦 に続く!