秋町隧道、六厩川橋、小蓑谷隧道


岐阜県


その4

next  


            2018年6月訪問

 想像を超える巨大吊り橋を渡ることに成功
した8名は、最後の目標である小蓑谷隧道を
目指します。

 さあ!行くぞ!と気合を入れて歩き始めたの
も束の間。すぐその姿が現れます。
 おおお…今までの行程からは想像もできな
いぐらい至近距離にありました。
 六厩川橋からほど近くにそれは取り残され
ておりました。
 小蓑谷隧道

 第四目標にして最後の目標物件です。
 こんな山中にまだこのようなコンクリ隧道が
残されているとは…
 この隧道のデータも確認できておりません。
 唯一の情報は現場のこの扁額。

 ここで名前が分かるわけですが、ちょっと微
妙な点があります。
 それは「簑」です。「ミノ」で検索すると「蓑」と
いう字も出てきます。
 「
」も「」も同じ使われ方をし、ミノムシ
やコシミノなので使われる漢字です。が、一般
的には蓑が使われているようです。

 私は「簑」を使っていました。根拠は、この六
厩川を遡っていくと、県別マップルでは「大簑
谷」と「小簑谷」があります。はるか上流の、し
かも小さい方の小簑谷の名前を何故この隧道
の名にしたのか分かりませんが、県別マップル
では確かにタケカンムリになっていたので、そ
ちらに倣いました。
 ところが、地理院地図ではその谷の名前は
「小蓑谷」になっているのを後で知りました。
 結局どっちを使用しているのかはわかりませ
んが、多数派の「小蓑谷」をこれから使ってい
こうと思います。
 まっ直線のコンクリート隧道。
 意外と延長があります。
 オールコンクリと思いきや、少しだけ素掘り
区間がありました。
 ???なんでここだけ素掘り???
 モルタル覆いもありません。

 お陰でここは崩落し放題です。
 うーむ、謎だ…
 素掘り区間は2ヶ所ありました。
 ホントよく分かりません。
 お陰でこの有様ですよ…節約?
 南側の坑口が見えてきました。
 って、こっちは結構土砂が迫ってますな。
 おおお…
 こっちはただならぬ雰囲気を感じます。
 一体外はどうなっているのか…
 おおおお…
 ヤバいことになっています。
 かなりの急流すべり状態になっております。
 
 水面に波紋が広がっていますが、ここの斜面
にぐらぐらの丸太があって危なかったので落と
してみたところ、すんごい勢いで滑り落ち、一
回バウンドした後、水面直前の岩場で粉砕、
その後水面に着水…
 我々も落ちるとこうなるのか…ゾゾゾ…
 恐る恐る斜面を渡り振り返り。
 振り返って衝撃…

 なんと坑門がありません。
 ゆたさん曰く、でかい落石で吹っ飛んだよう
です。恐ろしい場所ですな…

 (またカメラの中に湿気が籠りました…。中心
の靄、ご容赦下さい)
 斜面にへばりつき、辛うじて残っている隧道
の坑門らしきコンクリートのカタマリが…

 裏向きであれば、ひっくり返せば扁額が出て
くる!?これに食いつくアルプさんは執拗に
ひっくり返そう!と仰います。
 いやあ、これは無理でしょ。ロープでこう、
くいっと、と身振りで仰るんですが、いやあこれ
は相当重たいです。仮に動いたとしても、その
まま斜面に滑り落ち、どかーん、ばりーん、ど
ぼーんですよ…
 というわけで諦めて頂きました…
 落石に気を付けつつ、反対側に移ります。
 もう道路としての機能は一切ありません。
 皆様続々とこちら側に。
 もうこの先道はなくなっているんですがね…
 後方も崩れていて、この視点の高さまで登
ることになります。
 この先はあんまりはっきり見ていませんが、
道は終わっていると思われます。
 ひとしきり感嘆に暮れた後、皆さん撤退して
いきます。
 ここが折り返し地点です。

 只今の時刻12時47分

 この季節、撤退には十分の時間が残されて
います。
 小蓑谷隧道の上部…
 崩落が激しく、南側坑門の崩壊が危惧され
ます。
 それと、アルプさんの「ひっくり返そう」の
図です(笑)
 粉々に砕け散ったと思われる、南側坑門。
 2009年11月に探索されているヨッキさんの
ホームページの写真を拝見すると、確かに扁
額がある!
 この10年余りで粉砕されてしまったのか…
 恐らく同じ小蓑谷隧道と書いてあると思い
ますが、残念ですな…
 スライダー部分が見えません…
 それ程の急角度です。
 おちたらもう、どかーん、ばりーん、どぼーん
です。
 ピカさん撮影です。
 私も撮ってもらっておりました。
 嬉しいな♪
 ここからは撤退画像大放出です。
 コメは少なめで…
 
 

アルプさん、ピカさん提供写真

名残惜しい、六厩川橋…また来るからな! 
 もう皆さま慣れたもんです。
 でも、ご安全に!

 アルプさん提供写真
 14時12分。無事に秋町隧道東側坑口前に
辿り着きました。
 小蓑谷隧道撤退開始が12時47分。
 1時間25分で帰ってこられました。

 秋町隧道東口到着!ここからはボート撤退班と山越え撤退班に分かれます。
 私が山越えしてみたかったので、名乗りをあげたのですが、行きしなに山越えしたアンシャイさんが道案内して下さることに。助かります!
 隧道右手に石積みが。
 どうやら排水樋になっているようです。
 ここを登って、隧道真上に出ます。

 まず目標は山腹にある点線道です。
 そこまで辿りつければ、後はその点線に沿っ
て西側に降り、レベル3の道に合流する予定
です。
 隧道の上に沢筋があり、そこを登っていきま
す。
 こんな真上に沢筋があるのも珍しいですね。
 それが原因で、秋町隧道東側の道が消滅し
てしまったのではないでしょうか。
 隧道が無事なのが奇跡的です。堰堤のよう
な感じになっているのかもしれません。
 そして秋町隧道の水没もこの沢が原因では
ないでしょうか。
 比較的緩やかな沢筋を上がっていきます。
 これだったらみんな降りてこられるのではな
いでしょうか。

 しかしいつまでも沢を登るだけでは点線道
にはたどり着けません。
 この右側の斜面でどこか緩やかな所を見つ
けて登攀しないといけません。
 振り返り。
 この沢を登ってきました。
 で、視点が変わってこの左側。この辺りの
斜面が緩やかそうです。
 ここを斜めに登っていく事にします。
 斜めに上がっていくと、上手い感じにトラロー
プが出てきました。
 それがずっと上まで続いています。
 このトラロープを頼りに点線道に向かいます。
 (写真は下を向いています)
 ずっと辿って行くと、無事に点線道に上がる
ことができました。
 ここはいいポイントになりそうです。
 次回使いたいですねえ。
 林道にあった石杭。
 丸に井でしょうか。どこかの社章?
 なんだかんだで道は続いております。
 ただ、小さいながらも木々が生えてきており
ますんで完全な廃道状態です。
 なんと九十九折れが出てきました。
 これは点線道表記にはなかったものです。
 綺麗に残されています。
 おおよそ道筋を見失うことなく、レベル3の道
に降りてきました。
 最後の所がかなり植生も多く分かりにくい
ため、初見で辿るのはかなり困難と思われま
す。
 しかもこのレベル3の道と点線道の接続部分
は、とても車両が上がれないような盛り上がっ
た地形になっており、ここを道と判断するのは
難しいと思われます。
 大体こんな感じでしょうか。
 このルートだと西口をスルーしてしまいます
が、その分、緩やかに山を登ることができま
す。
 (あくまでこれで山越え出来ました、という
報告です。推奨するものではありません。)
 全ての懸案事項をクリアできて大満足です。
 しかしさすがに疲れました…
 ここからまだ2kmほど歩かないといけませ
ん。
 この行程が本当にしんどかったです。

 最終的に無事全員下山完了!
 本当にお疲れ様でした!
 ゆたさん、デスさん、ボートの運搬本当に
お疲れ様でした。ありがとうございました。
 ぶれっぶれですが、居酒屋シーンです。
 明日が仕事のYO314さんを除く7名と
おろろんさん、デコぴんさんが加わった9名で
居酒屋を開催。
 しかしピカさん、アルプさんが到着したのは
かなり遅い時間…なぜ?
 担架で担ぎ込まれるハリアーさん。一体
何事!?
 大きな運搬車で搬送されたハリアーさんの
容態は…
 状況は如何に…
 こちらは行きしなにやられた左前輪のタイヤ
交換後の姿。そして…

 写真提供ピカさん
 なんと帰りの道中、右前輪もやられてしま
い、ジ・エンドです。
 まさか2本もやられるとは…レベル2の道は
それぐらい悪いです。
 何度も言いますが、この道の車での進入は
おススメ出来ません。

 JAFにお願いしたところ、下請けの地元の
業者さんに委託され、ハリアーさんの救出活動
あたってもらったようです。
 その業者さんの親身な対応に夫妻はいたく
感激しておられました。

 写真提供ピカさん
 無事にタイヤ交換されたハリアーさん。
 他に異常がなくて良かったです。

 翌日が日曜日なのが良かったですね。

 写真提供ピカさん

 魅了して止まない六厩川橋。帰りついた時は、もう行くのは暫くいいな、と思っていましたが、もう再訪したくなっています。
 それほど惹きつける魅力があります。
 秋の紅葉の季節にもう一度訪れてみたい、そう思う今日この頃です。

 以上 

next