山中隧道
福井県

 

 
 福井県の「山中隧道」といえば、大方の人が
旧北陸本線転用道に現存する隧道を思い浮か
べると思います。よとともそうです。
 しかしながら、もう一つの隧道も確かに存在
します。地図にも表記があり、現在は「山中トン
ネル」の完成により、廃隧道と化しています。
 特に目立ったネタのない廃隧道ではあります
が、ネットで検索してもでてくるのは先の山中
隧道ばかり。
 折角廃隧道として現存するんです。一発採り
上げてみようじゃあないか、ということになりま
した。
 福井県丹生郡越前町の海岸近くまで迫り出し
た山々を横切る道はいくつかあります。南から
県道19号(干飯トンネル)、県道4号(熊谷トンネ
ル)、林道厨小曽原線(別司トンネル)、県道
264号(越前トンネル)、そして最も北側に位置
する国道365号(山中トンネル)の計5路線です。
その全ての路線はトンネルを従えており、唯一
廃隧道が存在するのが国道365号線です。
 上の写真、トンネル上に見えるガードレールは
この写真の右手と同じです。東より廃隧道へ向
かう場合は、国道左手の脇道を登ります。
 先に見えるY字路はどちらも林道で、越前西部
2号と3号線です。
 では、旧隧道の道はどこだ??
 実は上の写真の手前、左手に道の先があり、
草むらの中に消えていきます。いわば、国道脇
道を真っ直ぐ進めばこの道に突入する、廃隧道
への道、ということです。
 白線のないアスファルトの道は、意図的っぽい
倒木により遮られ、雑草が覆っています。
 その先からは緑の猛威により、道は立ち消え
ています。
 結構な覆いっぷりです。
 しかし、奥には穴の気配がぷ〜んと漂ってきて
います。この程度の緑なら問題ない!
 出ました!何か半分ぐらい沈んでいるじゃない
かい?と思える姿でそこに佇んでいました。
 間近まで迫ります。向こう側は見えています。
 高さ制限3.5mにしては異様に低い。
 手前が相当盛り土された証拠でしょうか。
 特に何の変哲も無いコンクリ隧道です。

 
1961年(昭和36年)竣工 
 延長183m 高さ3.5m 幅4.5m


 だそうです。
 現行山中トンネルは、1989年(平成元年)
竣工だそうで、現役時代が28年と結構短命で
す。新トンネルは高さ4.7m 幅9mと大幅に
パワーアップしていることから、初代を掘った際
にはさほど重要視された道路ではなかったよう
に感じます。
 内部映像です。19年前に廃隧道になって、
盛られたのか流入したのか分からない土砂で
埋め尽くされ、水の通り道までできています。
 内部から振り返り撮影。
 と、余裕こいていましたが、内部の土砂。。。
これやばい!内部に至れば至るほどぬかるみ
率が増して、足が徐々に沈んでいく!!!
 慌てて外に脱出。長靴ではなかったために
大層靴と、靴下を汚してしまいました。
 ふー。。。
 これでは内部通過は叶いません。
 という訳で早々に諦めて新トンネル潜って反対
側にやって参りました。

 反対側の道は現道接続位置からすでにこの
有様で、すでに使われていないようです。
 道がおぼろげに二手に分かれますが、どちらも
死んでいるようです。右手は昔の峠道で、現在
林道となっている道に接続するようです。
 左手の先には既に隧道が見えています。

 
 やはり道は寸前で自然に還っています。
 こちらの緑も相当なもんです。幾分盛り土の
量が少なめな感じがします。
 東側では風化が進んで見えなかった扁額の
文字がこちらではなんとか判別できました。
 こちらもぬかるみ具合は相当ですが、深さは
大分低いと思われます。高さはほぼ現役並みで
しょうか。やはり土砂は東側より流入しているよ
うです。
 比較的新し目な隧道で、得になんにも特徴の
ない隧道でしたが、19年の歳月は徐々に味わ
い深くしていってくれます。