石部磯浜トンネル、横坑群


旧信越本線 群馬県横川駅〜長野県軽井沢駅間


その8

  


                  2017年8月訪問

 第八、第九隧道の間にあるのは…

 (B6)
 
碓氷第六橋梁
 
36尺(約10.91m)
 明治26年3月竣功


 おおお…これまたなかなかの大きさです。
 …むむむ?高欄部分の煉瓦…フランス積み
ぢゃないすか!?前回イギリス積みしか確認し
てないと書いたばかりですが…

 しかしどうでもいいですが、ここから下に降りる
場所がありません。
 何という事…
 坑門を正面から拝むには、一旦熊ノ平駅まで
行って車道を歩いてこないと行けないようです。
 ううむ…望む!階段!
 「碓氷第六橋梁」

 「碓氷第六橋梁は碓氷線の橋梁の中で、めが
ね橋に次ぐ大きさです。川床からの高さは57ft
(17.4m)長さは170.16ft(51.9m)あります。隅角
部に隅石を配した高い橋台と、長い側壁を持って
います。高欄はフランス積みで、現存する橋梁、
トンネルの中では唯一の例と思われます。高欄
は焼きすぎ煉瓦を巧に配置し、美しい市松模様
となっています。めがね橋と違い、山側にもピラ
スターを持っています。補強の形跡はなくよく原
型を保っています。」

 全て説明して頂けました。
 フランス積みはここだけなんですねえ。
 山側です。ピラスターがなんとか確認できまし
た。

 ここからは降りられないので、車道に回った時
の画像をお出しします。
 

 おおおおお…まさに中世の城壁やないですか!?(イヤ、中世の城壁ロクに見た事ないですがw)
 山中に突如現れた城壁と、巨大な門。観音開きの木製の扉を付けたら完璧ですね(笑)

 うーむ、見れば見る程巨大です。巻添など、補修を恐らく殆どしていない貴重な橋梁です。
 案内板にあったように、煉瓦側壁に隅石をびっ
しり配しています。
 これだけでかなり頑丈になると思われます。
 逆光と植生のため、頭頂部の煉瓦積みが確認
できませんでした。竪積みは果たしてあるのか?

 因みにここの巻厚は5層です。
 で、内部アーチを見ると小口一列分焼過煉瓦
を使用している模様です。
 よく見ると反対側にも一本ある感じがします。

 こういうのは見た事があります。
 岡山の三石煉瓦拱渠群の特徴の一つである、
コレです。
 多分同じ感じの装飾ではないでしょうか。
 何と言っても注目は高欄のフランス積みとポリ
クロミーです。
 いやあ、拘ってますなあ。
 うーむ…恐ろしい程の積み重ねです。
 一体何段あるんでしょうか。気の遠くなる作業
だったのではないでしょうか。
 第二から第六まで全て国指定重要文化財で
す。
 アーチ径間11.0m(36尺)、高さ17.4m、頂部長
さ51.9mで、隅角部を切石で補強し高い橋台と
片蓋柱と長い側壁を持っています。
 長さや煉瓦の使用量では、第2位の規模です
ね!素晴らしいです。
 軌道敷きに戻ります。
 第六橋梁のお次は隧道です。
  (T9)
 
碓氷第九隧道
 延長391尺8寸(約118.73m)
 明治25年9月竣功


 最近ピラスターに出会いませんねえ。
 シンプルな坑門が目立ちます。
 第九隧道も良い状態ですな。
 一直線の隧道です。
 振り返り。本当にトンネル橋梁連続地帯です
なあ。

 
 丁寧に造られた退避坑。
 ちゃんと奥も煉瓦積みです。
 第八隧道を出てから第九隧道の先が見えてい
ましたがその通り、第十隧道が見えています。
 石造り坑門はすっかり影を潜めましたね。
 シンプルなデザインが主流となります。
 さあ、この明かり区間には何があるかと申しま
すと…
 そう、久し振りのカルバートです。
 逆光と植生で全容が掴めませんが、綺麗な
煉瓦アーチが見えています。
  (C11)
 
碓氷第11カルバート
 6尺(約1.82m)
 煉化石アーチ
 明治25年10月竣功


 巻厚3層の煉瓦半円アーチです。
 で、細かい所ですが、熊ノ平に向かってラック
レールを使用する程の傾斜がある軌道敷き。
 その傾斜に合わせてやや左肩上がりになって
いるのがお分かりになりますでしょうか。
 コンクリ補修の全くない煉瓦アーチ
 やっぱりいいですよねえ。
 下流側です。
 やっぱり夏場は植生が旺盛ですな。
 内部煉瓦アーチが見える暗渠は久しぶりです。
 いいですねえ。
 上流側です。
 やはり坑口は下流より埋まっている感があり
ます。
 上流側も植生が凄く、ここまでしか引けません
でした。
 しかし、見事に両坑門とも煉瓦色を残していま
す。
 先に進みます。
 お次は、第八隧道前から既に見えていた…
 (T10)
 
碓氷第十隧道
 延長336尺10寸(約102.12m)
 明治25年9月竣功


 第一隧道が現れてからあれよあれよという間
にもう10本目の隧道です。
 こんな所に鉄道を通そうというその熱意と根性
には本当に頭が下がります。
 一部を除いて大した補修をすることもなく、現
役さながらの廃景を見せてくれる碓氷峠の隧道
群。本当に素晴らしいですね。
 10回目の振り返り。
 感慨深いです。
 
 振り返りからの退避坑、そして反対側坑口が
恒例となってきましたね(笑)
 100m前後の隧道で、補修も殆どない良質隧
道が故に、逆に撮影ポイントを減らしております。
 遂に熊ノ平駅構内に突入します!
 横川駅発が5時45分。現在11時25分です。
 何と5時間40分もかかっています。どんだけうろ
うろしてんだ(笑)
 さすがに足が痛い…

 次回は熊ノ平!
 以降 
その9 に続く!