(仮)鳥渡隧道
和歌山県

 

 
 未来永劫正式名称が判明しないんじゃなか
ろうか。。。そんな危惧を抱いているプチ隧道
が和歌山の奥も奥、古座川町の林道に存在
します。
 古座川町に唯一走る国道371号線(この国
道も北側は断絶。)、七川ダム付近で県道229
号線に入ります。そこから古座川に沿いつつ
北上、西川という地区に写真のような手製の
看板が見られる場所に到着します。
 ちょうど丁字路が現れる場所でもあります。
 
 丁字路を右折(東へ)するとすぐ見られるこれ
また手製の看板が。

 笠置山 鳴石 六万?石 成川の里へ
 成川かくれ滝 一の滝 二の滝 三の滝

 笠置山はここから南東の位置に聳える山、
成川はこの林道の行き着く先の地区名、これ
以外の情報に関しては全く分かりません。古
座川町関連のHPでもこの成川に関する情報
は引き出せず、八方塞りの状態です。
 そんな林道の道すがらにある隧道って。。。
 東へ。古座川を渡るとすぐ、南、北に分かれ
る丁字路に行き着きます。
 北は井谷という川沿いに進む道。南は中井
谷という川沿いに進む道。隧道は後者にあり
ます。
 中井谷沿いの林道に入ると終始薄暗い、舗
装されてはいるものの手入れが全くされてお
らずで非常に枯れ木枯葉で覆われつくした道
を辿る事になります。
 いつ舗装が途切れるか、車走行不能路に
陥るか分からぬ不安とともにゆっくり進みます。
(写真は振り向き撮影)
 距離にして1kmもないですが、非常に遠く
感じたここまでの行程。。。隧道が見えて来ま
した!
 その洞門にびっしりとこびり付く緑、この苔の
存在が、この隧道の特異性を物語っているよう
です。
 造りは何の変哲もないコンクリート隧道のよう
です。銘板はもちろん、扁額もないようです。
 やや右カーブする洞内。この手の隧道によく
見られる坑口コンクリアーチ、内部素掘りのコン
クリ吹き付け、ではなく通してコンクリアーチ巻
きでした。意外と昭和中ごろの隧道なのかもし
れません。
 反対側坑口です。
 全く変化なく同じ景色が続いています。
 延長は30mくらいでしょうか。
 夕暮れが近かったこともありますが、非常
に薄暗いです。
 アテンザ君のハイビームで応戦。
 うーん素っ気ない隧道だなあ、改めて。。。
 よく隧道上部を観察すると、コンクリ巻きの坑
口から上はすぐ整然とした石積みで構成されて
おりました。よとと的には、コストを最も抑える
技法ではなかろうか、と思っておるのですが。
滋賀県の大澤隧道もこんな感じでした。
 で、なんで仮称を「鳥渡隧道」なんて名前に
したかと申しますと。。。隧道脇に立つ電柱に
NTT様のプレートがありまして、そこに。。。
 よく知りませんが、こういうプレートに使う文字
はこの辺りの地名ではないんでしょうかねえ?
地図やネットでは一切見ることのない名前なん
ですが。。。
 常套手段をとるのであれば、地区が近い「成
川隧道」、川の名前の「中井谷隧道」ですが。。
 かのトンネルリストからは、「シラボラ隧道」が
ノミネートしております。
 いずれにしても、どの情報も一致する名前が
存在せず困窮しておる状態です。
 この南紀の奥にひっそりと佇む隧道の歴史
はいったいどういうものだったのでしょうか。
 いくら問いかけても、聞こえてくるのは風の
音だけなのであった。。。