旧吊鐘隧道


和歌山県


後半戦

 

 玉石積み隧道(片側だけ)から伸びる謎のレール
が2本。。。振り返っても、その分岐ははっきりして
います。どうもメインで使われているのは、右側の
下降レールのようです。よく見たら真っ直ぐの方
のレールは接続していません。レールの分岐はそ
の都度手作業で行っているようです。黄色いコード
も谷を下っています。
 前にも書きましたが、隧道からの道筋は3つ。1つ
はレールなしで、この写真では右奥に進むルート、
そして谷へ下るレールルート、そして手前の平坦
ルートです。
 やっぱり行くなら平坦レールルートでしょう。
 
 均された林道の真ん中を突っ切る謎レールが1本
。。。一見頼りない橋脚たちですが、意外とびくとも
しない。地中でコンクリ補強されているようです。そ
ら強いわ。。。
 林道に沿って小刻みに曲がる謎のレール。うまい
こと這わしていますねえ。。。
 真ん中を独占しているために非常に歩きにくいの
ですが。。。
 むむ?
 隧道から2、300mでしょうか、分岐?みたいのが
現れました。
 分岐地点にやってきました。
 あれ?真っ直ぐのレールは行き止まりのようです。
 角度的には手前側よりも右斜め手前に延びる方
が本線みたいに感じますが。。。
 右斜め手前に延びる側のレールを見てみると。。。
うをを。。。急傾斜の斜面をすんごい角度で登って
いきます。
 どうやらここの分岐は鉄道でいうスイッチバック的
な場所かもしれません。
 一体どこへ繋がっていくのか。。。結局その最後を
追う事ができませんでした。
 レールはスイッチバックで登坂してしまいましたが
平坦林道はまだ先に伸びています。実際このルート
は地図にも描かれております。
 追うものがなくなったのに、何故か今回は先に進
んでみたくなったのでした。。。
 朝日が眩しい。。。
 左手の視界が広がりました。右側は相当深く切り
崩し、均されています。このことからも単なる獣道で
はないことを強く主張しています。
 左手は谷で、川床のようです。結構高さがありま
す。
 かと思えば、路面が雑草に覆われ、立ち消えてし
まいそうになります。
 一体どこに繋がるのであろうか。。。
 んんん???
 写真では見にくいですが、レールが居なくなって
から初めての人工物が見えてきました。
 。。。。。?
 岩肌に張り付く鉄格子。。。
 何か穴が開いてるような。。。。。。
 !!!
 土嚢で塞がれていますが、確かに穴があいていま
す。何の穴でしょう?こちら側は深い山であるため、
反対側に繋がる隧道とは考えにくいので、坑道の
たぐいでしょうか。。。
 上に隙間が開いてるので懐中電灯で照らしてみ
ましたが、奥の状況ははっきりしません。
 今も謎のままです。
 この林道には何かがある。。。そう思わせる謎の
穴の出現でますます引き返せなくなりました。
 このピンクテープも謎ですが。。。
 そうこうしている内に高度がどんどん下がってい
き、谷の底に下りてきた感じがします。
 もう隧道からは1km以上来ていると思われます。
 やはり!谷に下りてきました。
 そこは澄んだ水を湛える清流の溜まり場になって
いました。非常に澄んで綺麗です。ここへ来るため
の道だったのでしょうか。。。
 周りを見回します。。。うーん、ここから先は道が
なさそうやけどなあ。。。ここで探索終了カナ。。。
 と、ふと水溜りの右手をみると。。。なんか窪みが
みえませんか???
 なんか、非常に「穴」に見えて、勇んでその場に
駆けつけたのですが。。。
 ありゃ。。。穴開いてない。。。残念。。。
 でも自然にできた感じではない凹み方をしてませ
ん?
 やはり自然ではない気がします。途中まで掘った
ような感じです。その窪みは平であり、上部に1つ
両側に1つづつ穴が開いています。明らかに掘削し
ようとした跡ではないでしょうか??
 しかし、1体何の為に?ここを掘り進んでも出口は
出てこない筈です、奥は山ですから。。。
 先に出た鉄格子で塞がれた坑道のようなものと
同じものを作ろうとしたのでしょうか。。。
 謎が謎を呼びます。
 さっきの水溜りまで戻ってよく見ると、左手から
岩場を登れそうです。なぜそう思うのかと言うと、
何か岩場を階段状に加工してあるっぽいんです。
 
 しかしかつてない程、奥を目指そうとしています。
新しい発見の確証は何もないのに。。。それだけ
少し違和感を感じる林道だったからでしょう。。。
 岩場を登って振り返り。水は岩の隙間を縫ってこ
の水場に流れ込んでいました。もはや小川のせせ
らぎぐらいの水量しかありません。
 本当に綺麗。この川の源流が近いのかもしれま
せん。
 その小川のせせらぎ上に丸太の橋が架けられて
いました。相当古いもので、完全に腐っています。
とても渡ることはできません。
 ローアングルで撮影。
 たくさんの岩で埋められた清流の上にかかる丸太
橋。。。歩けるのは動物くらいでしょう。
 丸太橋から先はおおガレです。両サイドの山肌が
崩落して川床に流れ込んだのではないでしょうか。
 それでも左手に人が歩ける道が続きます。
 また景色が変わりました。。。
 もう相当奥まで来ていますが、川床の広い場所に
植林が現れました。
 やはり林業用の道がここまで続いていたようで
すね。
 川の方はというと。。。完全に干上がっています。
川の筋はありますが、涸れ川となっています。大雨
とかないと上を流れず、伏流となって地下を流れて
いるのかもしれません。
 もはや川筋と道の区別がつきませんが、辛うじて
左手に道筋が見えます。
 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

 !!!!!!!!!!

 それは何の前触れもなく現れました。。。

 もはや道が川筋と一体化し、もう引き返さないと
キリがないなあ。。。なんて思っていた時、目の前に
それは突然現れました。。。
 穴。。。開いてるよな。。。
 間違いなく開いています。。。
 なんでこんな所に。。。洞窟という感じでもなく、
まさしく人工的に造られた穴っぽいです。
 振り返れば伸びる川床が、水を欲しています。
 雨が降ればその様相は一変することでしょう。
 完全に人工の穴。。。最初はどこかに抜ける隧道
ではないかと思いましたが、よく考えたらここは深い
谷。。。どこへも抜けられるはずがありません。
 ではこの穴は一体何者なのか。。。実はこのよう
に塞がれていない不明の穴を発見するのは初めて
で、少々たじろいでおります。。。
 。。。。。。。。。。。。。

 クマが冬眠から出てきやしないかと不安になりま
す。。。
 なんなんだ、人工物は周辺にも一切見られず、
何の穴かまださっぱり分かりません。
 少し入って振り返り。
 謎の穴入り口です。
 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

 いつも入る洞内と比較しても圧倒的に狭いその
洞内に息苦しさを覚えます。少しでも異変があれば
脱出するつもりで前に進みます。。。
 うう。。。怖い。。。
 洞内はそれほど長くはなく、少し先が行き止まり
のような感じがします。距離にして20m程度では
ないでしょうか。天井にはこうもりさんがいらっしゃい
ます。
 長さ20mと言えども曲がっている為に振り返って
も明かりは見えません。。。
 それにしても、さっきから地面にロープ1本這って
いるのですが、これは何のロープでしょう。。。?
 んん???
 よく見たら少し先は十字路になっている感じがし
ます。単なる突き当り終点ではありませんでした。
 十字路から右を見ますと。。。こちらも少し進んだ
先で行き止まりのようです。
 内心ほっとします。。。あんまりぐねうねされたら
抜けられなくなりそうやし。。。
 じゃあ、左は。。。と、振り返ったその視線の先に
あるものは。。。

 !!!!!

 お、落とし穴!!?
 ななななんと、穴が下に続いています。。。
 ふ、深いぞこれは。。。
 限界まで前に出て覗いて懐中電灯照らしても底
が分からない。。。
 よとと史上初の竪坑に遭遇してしまいました。。。
 このロープを伝って降れというのでしょうか。。。

 コレは完全に降参です。。。
 地下に潜るというのは、平坦の坑道に比べて圧倒
的に危険度が上がります。まず酸素が薄くなるか
も、そして有害なガスが沈殿しているかも、という
のがあります。これは、もう気が付く前に失神して
そのままあの世行きという事態に陥りかねません。
 あとは墜落する、物理的に登って来られなくなる
かも知れない。。。
 いくらなんでもこれはダメです。退散だ。。。
 しかし、不思議な事に、風があります。。。なんと
この地下に向かって風がかすかに流れています。
どういうことなのでしょうか。。。地下水脈があり、そ
こに空気が誘われている。。。という仮説ぐらいしか
素人には分かりません。
 潔く還って参りました。
 結局この穴が何だったのかは分かりません。まあ
何かの坑道で、何かを採掘していたのか。。。?そ
の程度しか追えません。

 実は涸れ川はまだ坑道を左に見つつ続いている
ようでしたが、さすがに断念しました。ひょっとしたら
まだ先にこのような坑道が存在するかも知れませ
ん。

 帰ってから、いろいろ調べてみたのですが、どうも
この辺はさる製紙会社の管理内にあるかもしれませ
ん。それが坑道とどう繋がるかは皆目見当がつき
ませんが。。。

 まあ、このような状況ですから、具体的な場所は
お教えできません。いつの日かこの坑道の素性が
明らかになる日が来るのでしょうか。。。