串原発電所水路隧道


岐阜県


後半戦

 

           2017年5月訪問

 暫定4号隧道…
 ここも鉄壁のコンクリ封鎖です、が!
 ようやく「らしさ」が視認できる状態に!
 おおお…
 少々いびつですが、立派に石アーチです。
 空石積みの坑門に輪石。
 残念なのはやはりこののっぺり封鎖…
 せめてもう少し後退させてほしかった(泣)
 ざっくり角を落として、後は谷積み調にパズル
のように組み上げています。個々の自重によって
お互いの荷重を分散して、目地などなくても揺るぎ
ない安定感を出しています。
 最後にアーチで両側に荷重を逃がして、この隧道
坑口は安定するわけですな。
 素晴らしいですねえ。
 この隧道脇にも巡視路がありました。
 これがないと恐らく進退窮まる切り立った断崖に
なっています。


 「落石注意」や「頭上注意」の看板がその険しさ
を物語ります。
 途中で一段上がる階段が現れ…
 沢が現れます。
 隧道の上を通っているようですが…
 すぐ吐口坑門になっております。
 横断橋と隧道坑口がワンセットになっています。
 沢の傾斜に合わせた石積み坑門。
 中が気になります。
 しかしこちらは四角封鎖で輪石が全て見えませ
ん。
 うーむ、惜しいですなあ。
  
 ここの塩ビ縦2連は下側から水が出ていたため、
ライトを突っ込めなかったので、カメラのフラッシュ
のみの撮影となりました。
 素掘りの天井は視認できますが、沢の真下は
どうなっているのか、これでは判別できませんで
した。
 暫定4号隧道吐口から下流側を見ます。
 切り込みが確認できます。
 4ヶ所目の排砂門のようです。
 で、これが表に回ると意外な姿が…
 おおお!
 こんな所にまさかの…
 巻厚3層の煉瓦半円アーチ!です。
 なんでここだけ???
 コンクリ封鎖されていますが、塩ビで水は逃がせ
るようになってます。こんなとこまで塞がなくても…

 
土岐川発電所(多治見電燈第一発電所)
導水路第3排砂門(元第4排砂門)


 てことでよいですかねえ?
 長手積みの可愛らしい煉瓦アーチ。
 左側は補修されています。
 こんな小さい煉瓦アーチでもやりたくなるのが
これ。もう病気です(笑)
 そこからすぐでした。
 遂にこの導水路最大の遺構が姿を現します。
 で、出た!
 巨大な導水路の石積みに開く2つのアーチ…
 これこそが…

 多治見電燈第一発電所導水路二連橋梁
 河川敷の駐車位置からかれこれ2時間超。
 道なき道を進軍した甲斐がありました。
 みな、思い思いにこの2連橋梁をしゃぶり尽くし
ます。
 反対側のない2連アーチ。
 似た橋梁を見た事があります。
 そう、生野銀山トロッコ道の橋梁です。
 こういった橋梁はなぜ造られるんでしょうか?
 構造的な理由なのか、地形的な理由なのか、
はたまたただ装飾的な理由とか?
 全部のっぺり石積みよりも、アーチ構造を加えた
方が、擁壁が安定するんですかねえ。
 
 岸壁の凹凸に合わせて石積みを当て込んでい
ます。
 目地なし完全な空積みです。
 これで安定するんですから、アーチ構造というの
は本当にすごいですねえ。
 2連アーチの真ん中。
 不揃いの切石をうまく当てがってますねえ。
 2連アーチの右側はかなり補修されています。
 導水路本体の石積みを除いて、擁壁の補修され
ている箇所は赤枠の中と思われます。
 違いはアーチの中のコンクリ柱、石積みの目地、
5つの塩ビパイプが修復の証でしょうか。
 そして左アーチの上部にある5列の突出した
切石。これが右側にはありません。改修時に撤去
された模様です。この突起が何の役割をしていた
のか?うーむ…庇?何なのか分かりません。
 たんまり堪能し、最終目標の発電所跡の放水口
に向かいます。
 また薄いアーチでの補修です。
 その後に暗渠が。
 ここは近代的な補修がされています。

 内部に「1000」のプレートが。取水口から1km
ということでしょうね。
 暗渠を出ると、またもやコンクリ壁に阻まれます。
 縁に上がらないと、ですな。
 袋小路から振り返り。
 通り過ぎた東海環状自動車道の橋梁が見えて
います。
 このコンクリ封鎖の向こうは、どうやらもう発電所
施設になるようです。
 唐突にゴールにたどり着いたわけですな。
 最初水圧鉄管の通り道かと思いましたが、位置
が全然違いました。沢水の通り道のようです。
 建屋があった上部には今は何も残っておらず、
このように階段がちょっと残っているだけで、鬱蒼
とした雑草に覆われています。
 階段がありますが、ここからは降りられません。
 回り込んで川面に出ると…遂に!

 最終目標 到 達 !
 さらに放水口の前に立つことにも成功!
 嘗てはここから役目を終えた水が止めどなく流れ
ていたんですね…
 さすがに発電所本体の石積みです。
 非常に丁寧な造りをしています。
 石積みがなんとフランス積みです。
 いい拘りですねえ。
 要石はなく、輪石15個で構成された石アーチで
す。
 アーチ頭頂部上部の石積みが何かいびつです
ねえ。
 最近このアングルがお気に入りです。
 丁寧な石積みが尚一層感じられます。
 他、見回りましたが、放水口左側面にあるこの
コンクリ構造物(余水吐き?)ぐらいしか確認でき
ませんでした。
 因みにここも封鎖されてます。
 対岸の県道から指を銜えて眺めていた、謎の
石アーチ構造物。
 それが発電所跡と分かり、机上調査、現地調査
とトントン拍子に事が運び、無事に目標を捕捉に
至りました。
 ご同行いただいた皆様、お疲れ様でした!

 帰りは途中の沢からエスケープして帰還致しま
した。
 ここは本当に危険な探索となります。
 慎重且つ慎重なご判断をお願い致します。