谷隧道
福井県−石川県

 

 
 福井県勝山市から石川県白山市を結ぶ国
道157号線、通称勝山街道は、1000m級の
山々を間近に最も内陸では最後の越県を可
能とする重要な国道となっています。
 現在は延長1462.5mの「谷トンネル」が
高き山を容易にパスできるようになっていま
すが、谷トンネルができる1971年以前は、右
側の急坂をさらに遡上して越えなくてはならず
冬場の通行は困難を極めたのでは、と想像さ
れます。
 この最初の急坂&激しくガレた道の状態を
一目見て車での進行は諦めました。足回りの
確かな車であれば充分遡上可能だと思いま
すが。雨天時は川の流れとなって、本来の路
面を抉り取っているものと思われます。
 2、300m進むと、道の傾斜も緩やかとなり、
車が転回可能な小さな広場に出ました。
 右側に電話BOXが???
 電話BOXとしての機能は既になく、登山者
用の登記所のようになっている(た?)ようで
す。
 右側の道が今登ってきた道です。左手の道
は今回の探索外の道ですが、一応アスファル
ト敷きになっています。管理道路でしょうか?
あるいは峠へ向かう旧旧道なのかも。。。
 隧道(旧道)へは3枚上の写真の道を進み
ます。轍はかなりはっきりしており、今も車が
通ることを示しています。
 こうやってみると、どう見ても林道なんやけど
なあ。
 錆びきったガードレールの遺構が残されて
いました。旧道歩きであるとうれしい物件の
一つです。
 旧道ここまで1kmぐらいでしょうか、そろそ
ろ疲れてきたな。。。と思っていたところ、何の
変哲もない左カーブなんですが、なんか正面
が、変!?
 何と、こんな所に穴が!えらい中途半端な
場所にあるではないですか。。。
 最早道はなく、360度緑に囲まれた、自然
に還り率トップクラスの隧道と化しています。
 そりゃあ、下の谷トンネル竣工から37年経
っている訳だし、当然かな。。。
 でも、あるサイト様のHPでは、2000年代
に車で突入しているようですし。。。その時よ
りさらに廃化が進んだってことかな(単に来る
時期間違いでしょう、という意見も。。。)
 2枚上の写真左カーブすぐでチェーン封鎖と
なります。管理道か峠道か。。。行ってないの
で分かりません。
 37年という月日は、頑丈さがウリのコンクリ
隧道も退廃に抗う事ができないようです。扁
額辺りにも木々が茂ってきています。自然の
力はすごい。
 いつもと様子が違う。。。
 「いつも」とは、よととがかつて訪れてきた
廃隧道と何か雰囲気が違います。
 何かこう、靄のかかりが異常に多いのです。
靄がその場を殆ど動くことなく、漂っているの
です。
 これはあまり良い状態ではありません。何が
良くないって、空気=風の動きがないってこと
は、反対側に空気が抜けられないことを意味
しています。つまり「閉塞」しか考えられません
 片側が開いてるのに反対は閉塞?あまり
経験がありません。(京都の深見隧道は隧道
中央で盛り土されていました。)
 隧道入り口は湿り気充分を通り越してぬか
るみ状態。こんなよととの足の何倍もある植
物の葉が育っています。
 振り返って撮影。もう靄のすごいのなんの。
 早朝ということを差し引いてもかなりすごい。
洞内の撮影がかなり難しいことを予感させられ
ます。
 やはり、かなり終わってます。。。
 うーむ困った。
 黄色い光は、洞内が何段階かに分けて少し
づつ狭まっている箇所に設置されている反射
板です。
 滑らかに一直線の隧道ではないようです。
 谷隧道の「主」がご在宅でした。全く微動だ
にしないので、逝かれているのかと思いました
が、のどがひこひこ動いてました。
 どんだけ近付いても動かない。。。危うく踏ん
じゃうところでした。
 隧道でよく拝見する覆工が施されていました
この補修方法は37年前からあったのですね。
 ずんずん進むと、路面一杯に水を湛えるよう
になってきました。今回は長靴持って来てな
いし、諦めようかな。かなり進んだと思うけど
やはり、明かりが見えない。懐中電灯を奥に
向けて照らすと、微かに閉塞地点?と思しき
コンクリの照り返しがあります。
 戻ってきました。
 反対側に廻ってみましょう。
 現行「谷トンネル」を抜けて石川県に入りま
した。北上ほどなくして、右手に旧道らしき道
を発見。こちらはかなりなだらかのフラットな
ダートに感じられ、車での進入を試みました。
 石川県側の坑口は安易には発見できませ
ん。1kmほど車で進み、写真の場所以降は
急坂&激しい浸食を受ける路面となり、徒歩
で行ってみました。
 ところがところが、道は峰近くまで登ったとこ
ろで、ぷっつり。。。道がない!のである。
 道間違った?でも他に隧道へ向かいそうな
道はなかったけどなあ。
 推論。車の轍がはっきりしているのは上の
写真の待避所のような場所まで。とすると、こ
の場所付近に何か、来る人の目的のモノが
あるはず。。。
 写真を右に進むとすぐ上の待避所です。
 このカーブ怪しいかも。。。カーブの奥手は
法面ではなく、スペースあるし。
 ガサゴソガサ。。。。
 先人様の踏み分け道はないなあ。。。
 と半信半疑のまま奥へ。。。
 んん?なんかコンクリの壁が見えないか
い?
 下には水の流れもあるし、堰堤の可能性も
あるし、まだ分からんぞ。。。
 左手の法面にお地蔵様を安置するような
場所がありました。すでに不在のようですが、
隧道付近でよく見かける光景です。
 これは期待大!かも。
 路肩の遺構か?右が路面で左が路肩の水
路ではなかろうか。。。
 !!
 こ・・・これは!
 上部に扁額らしきモノが!
 きたっぽい!
 これは。。。
 坑口の面影さえも完全に消し去る最も悪しき
封鎖のされ方をしています。
 完全な要壁状態。何も知らずに訪れた方が
果たして隧道跡と推測できるのかどうか。。。
 扁額だけが、今もはっきりとコレは隧道で
ある!と強力に主張しています。
 隧道へ続く道を振り返り撮影。最早道と呼べ
る状態ではなく、川のせせらぎがごく自然で、
自然回帰がほぼ完了している感じです。
 標高高く残る廃隧道、何年も自然の力に何
とか耐え忍び、われわれにその姿を見せてく
れています。