志古1号2号隧道
和歌山県

 

 
和歌山県新宮市を南北に走る国道168号線。
熊野川に寄り添い三重県を対岸に見つつ走る
この国道には、以前紹介した現役志古隧道の
旧隧道である「志古1号、2号隧道」が、現役越
路隧道、建設中の新越路トンネルの初代隧道
である、「越路、(仮)越路第二隧道」がありま
す。
 他にも、現役ではあるが結構な年配の現役
隧道が存在します。その一つに「高田口隧道」
があります。これらの隧道にもひょっとしたら旧
隧道が眠っているかも。。。という推測を元に
やって参りました。
 写真は南側、新宮市街方面から、シェッド越し
に現役高田口隧道を見たものです。
 こちらが現役高田口隧道です。

1971年(昭和46年)竣工 延長252.5m
限界高4.8m 幅員8m
で、竣工から37年経過しています。 
 高田や口高田という地名はありますが、高田口
という地名は見当たりませんが、なぜ高田口なん
でしょうねえ。(バス停にはありました。高田地区の
入り口、ということでしょうかねえ。)
 で、旧隧道の目測は当然熊野川沿いであること
が想定されますので、脇をのぞいてみます。
 うーん。。。。。。。。。。
 いまいち緑の勢いが強すぎてはっきりしません
が。。。
 よーく緑の群生地帯を見ますと、現役隧道と熊野
川に挟まれてフラットな部分が見てとれました。
 旧道っぽい、これはいい傾向です。
 
 フラットな旧道と思しき部分は、群生振りが結構
なものなので、高田口隧道の側壁沿いの段差を
伝いながら進みます。
 途中からは側壁もなくなり、荒く削れらた法面部
分と川に挟まれた鬱蒼とした旧道歩きを強いられ
ます。しかしながら結構踏み分け跡がはっきり
残っており、籔こぎまでは必要なく進めます。
 !!見えた!!
 やはり存在しました!
 完全素掘りのまま残っております。反対側も見え
ますねえ。
 本当に素掘りですねえ。。。
 
 高田隧道
 竣工年不明  延長90m
 限界高4m 幅員4.5m


 という情報が残っています。竣工年がわかりませ
ん。。。
 ただ、同じ国道に存在する廃隧道の「志古1号2
号隧道」の竣工年が1935年(昭和10年)、「越路隧
道」は1936年(昭和11年)であり、この2つの廃隧
道に挟まれて存在するこの「高田隧道」の竣工年
は自ずと、1935年か1936年ということで間違いない
のではないでしょうか。
 延長は90mと、実際見て納得がいきます。
 素掘りではあるもののモルタルの吹き付けの
施工はされています。
 「志古1号2号隧道」も素掘り(一部コンクリ補強
有り)であり、結構な重要路線だとは思いますが、
1970年代に現役の隧道たちができるまで素掘りで
通していたようです。唯一、新宮市街に近い越路
隧道のみが扁額つきのコンクリ坑門を有していま
した。
 南、新宮市街側坑口より。
 路面は相当に均されておりフラットです。
 幅員は4.5mということで、よく国道隧道として
1970年代まで持ちこたえたものです。トラックは
間違いなく離合不能です。
 北、本宮方面側坑口より。
 両側とも緑で埋め尽くされておりました。
 北側坑口から右側はすぐ熊野川となっており、
低い縁石が備えてありました。
 旧道から熊野川を望みます。綺麗な澄んだ水面
です。対岸は三重県になります。
 見紛うこともなく一貫して素掘り。竣工からおよそ
72、3年。崩壊することなく今もその姿を見せてくれ
ることに、隧道掘削技術の高さをみることができま
す。
 結局北側の旧道は法面崩壊が著しく、路面が
土砂で埋め尽くされ、その傾斜した場所に緑が生
えております。
 往時の路面は殆ど見出す事ができず、今回は
隧道発見に至っているため、これ以上の探索は
断念しました。

 これからもう一つ、現役隧道の脇を探索しに
参ります。