田烏隧道

滋賀県

  

 
 小浜市の若狭湾沿いを走る国道162号線か
ら若狭町街へ至るルートに、県道22号線があ
ります。その小浜市と若狭町の境の峰に穿た
れたトンネルを田烏トンネルといいます。
 1981年3月竣工のこの田烏トンネル以前に
も旧道が存在しました。この旧道もまたトンネ
ルにて峰を越えており、名前が「田烏隧道」で
す。
 ネットでもこの隧道の紹介は結構あるため、
あえてレポートで紹介しなくてもいい気がしま
すが、今回、どうしても試してみたいことがあ
りまして。。。

 写真は小浜市側の旧道を登ってきたところ
です。旧道はご覧のように行き止まりとなり、
作業所の敷地内のような場所になります。
 盛り上がった広めの敷地から振り返り撮影
旧道がぷっつりと途絶えております。
 その敷地のさらに奥、人為的に土が盛り上
げられたような場所があります。
 その向こう側には何かしらの構築物が。。。 
 盛り土に登ればその構築物が何なのかすぐ
に分かります。。。

 はっきりと隧道の扁額を残します。
 見た感じ完全閉塞のように見えますが。。。
 近付いてみるとこれが開いているのですよ、その
お口が。。。
 人為的に後年掘り返された感じに見受けられま
すが、さて?
 カメラだけ中に向けて撮影。コンクリ巻きは手前
のみで、奥は素掘りのようです。
 向こう側の光は見えません。
 (光っているものの正体は???不明です。。。)

 それよりか、驚いた事に水が想像していたよりも
全然少なかったです。これなら長靴でもいけるか
も。。。
 狭いスキマから滑り込み、洞底へ。
 やはり水は手前のわずかのみで、奥は陸地と
なっていました。
 素掘りではありますが、ちゃんとモルタルの拭き
付け処理がされています。
 (写真は、盛り土の上に置いて撮影したため、傾
いてしましました。)
 振り返り撮影。。。
 こう見ると、隙間は本当に僅かであることが分か
ります。結構な急斜面のため、やはり入洞はおすす
めできません。
 大木の切り株のような残骸が多数放置されてお
り、その上を行きます。
 !対岸の光が見えた!よかった〜。
 ここまで進んでまた振り返り。ああ、光が小さく
なっていく。。。
 入洞の仕方は「林鉄湯川トンネル」クラスでした
が、洞内はコーティングされているだけに、こちらの
方が恐怖感は低いです。が、風通しが極端に悪い
のか異臭が立ち込め、かなり気分が悪いです。
 照明器具の残骸?らしきものが垂れ下がってい
ます。
 それにしても、こうもりさんが騒がしくなってきまし
た。。。この辺でも数匹飛び回っている羽音が聞こ
えます。奥の方ではもっと騒がしい、キーキーと甲
高い鳴き声が多数聞こえてきます。。。
 所々にうずたかく積まれる謎の物体。土なのか
木なのか、人工物なのかサッパリわかりませんが、
全てが融合してしまった状態なのでしょうか。

 ううう。。。それにしても臭い。。。臭すぎる。。。

 こうもりさんの騒がしさMAX、見上げるとスシ詰め
に犇めき合った何十匹とも想像付かないこうもりが
天井にぶら下がって、キーキー言いながら蠢いて
います。。。

ひー頼むから飛ばないでーーー。。。

 路面には、黒く変色するほどたまったこうもりの
糞らしき物体も。。。うげー、臭いの元はこれかー
 うずたかく積み上げられた堆積物の上を行きま
す。天井のこうもりさんとますます接近します。。。
 耳元を羽音が何度も過ぎ去ります。。。ぶ、ぶつ
かるなよおおお。。。
 しかし、不思議というかさすがというか、これまで
多くの隧道で多くのこうもりさんと出逢っていますが
一度も衝突されたことがありません。
 超音波が障害物よととを感知しているんですか
ねえ、すげえなあ。
 ひいひい言いながらようやく反対側坑口が迫って
参りました。よかった。生還できた。。。
 今までとは全く違う過酷な行軍でした。。。
 若狭町側坑口は比較的大きくスキマは残されて
いました。
 コンクリ巻きも綺麗に残っています。
 黄色のバーは高さ制限ですかね。
 最後に振り返ってもう一度撮影。
 湯川トンネルとは別の意味で2度と入らんぞ!
 とにかく、こうもりの夥しい量の糞、その異臭が
えげつない。。。長く居ると病気になりそうである。
 てなわけで、脱出!
 ああ〜空気の何とうまいことか。。。自然の力に
感謝!
 若狭町側の坑門は、被さる土の量は少ないもの
の、緑の被さりは結構なものです。
 トンネルから先は。。。完全に自然に還っており
道の判別がつきません。盛り土された上から自然
が広がったのでしょうか。
 右手には大きな設備が苔むしつつひっそりと鎮座
しています。何の設備?
 道なき道をわさわさ進むと、アスファルト道が!
降り立ち、施設方面を撮影。道は左に進んでいる
ようですが、施設の手前で右の草むらに突入する
のが、正規の旧道ルートです。

 よって、よととの背後が現在の県道へ向かう旧道
でございます。
 左手の道の先はすぐダート道となっていました。
何処へ行くかは????


 この施設の実態が判明しました。
 史上稀に見る「臭い」洞内を持つ田烏隧道
 
 竣工1924年(大正13年) 延長313.2m
 限界高3.5m 幅員3.5m


 だそうです。覆工や、坑口のコンクリ巻きは後年
改修時に為された施工でしょう、おそらく。

 もう一度言いますが、入洞は、全くおすすめしま
せん!長靴洗わないと。。。。。フロ、入りてえええ
。。。