白倉林道隧道群

三重県


その10

 

 
 先程の分岐に戻ってきました。
 第二発電所からの距離はおよそ4kmぐらい。
 県道分岐からは8km程も奥まった場所です。
 車なら大した事はありませんが、徒歩、しかも
この荒れっぷりの4kmは相当の距離です。
 忘れてはならないのは、同じ距離を戻らなくては
いけないということ。。。自動的に8km以上の徒歩
が確定しております。。。
 残り時間を逆算して慎重に判断。。。まだもう少し
進めそうです。 
 白倉林道を先に進みます。
 当初の激しい崩落は少なくなってきましたが、
急速に自然に還ろうとしているように感じます。
 また橋が出てきました!
 どうやら光谷を渡る橋のようです。
 光山林道の橋は光橋でしたが、こちらはどうで
しょうか?
 自然との調和が進む橋。。。
今や廃橋と言っても過言ではないでしょう。

 「光澤橋」ひかりさわはし 昭和40年11月竣功
だそうです。
 光山林道の光橋よりおよそ1年早い竣功です。
 橋の向こう岸は崩落しています。
 しかし、この程度の崩落なら見飽きました。。。
 橋が続きます。大きな谷ではありませんが、もは
や山肌に沿って道を確保できないようです。

 「蜩橋」かなかなはし 昭和40年11月竣功
です。蜩(かなかな)とは、本来「ひぐらし」と読み
ます。秋口に鳴くカナカナ蝉のことですねえ。
意外な風流を感じます。
 路面は元からダートなのか分かりませんが、
フラットです。縁石もいい風合いで残っています。
 またもや橋が登場です。
 
 。。。。。。。。。。。。???

 そしてその先が怪しいぞおおおお。。。
 居たっ!!!
 地図に無い隧道の登場です。
 しかしその前に。。。

「二の俣橋」にのまたばし 昭和41年2月竣功
です。二の俣という名称が出てきましたねえ。
二ノ俣林鉄は索道で、白倉林道に接続したようで
すが、接続はこのあたりなのでしょうか。
 。。。ななな、なんだこりゃ???

 突っ込みどころが多い姿形。。。
 まず、この林道で初めてのコンクリ隧道が9番目
(光山の隧道を除いて)に出てくるのが意外であ
ること。
 そして、1枚岩であろうと思われる巨大な岩壁に
穿たれていること、そして何よりわざわざ岩盤を
天井までくり抜いているこの状態が、ヘン、です。
 天高くくり抜かれた岩壁。。。
 まさか、切り通しにしようとしたのでしょうか。。。

 これ、切り通しで存在したら、この車幅に対して
切り通しの高さが尋常でないことになります。ある
意味そっちのがネタになりそうな状況です。
 ねえ。。。これ、絶対途中まで”やる気”あったん
じゃあないですか?切り通し。。。

 途中で作戦変更して、切り出し途中の部分も
含めてコンクリートで固めてしまったのではないで
しょうか。
 !!!

 トンネル名が書かれています。。。が。。。
 残念ながらさっぱり分かりません。。。

 ので、

 白倉9号隧道 1966年(昭和41年)竣功か?
 延長 16.3m 幅員、有効高 不明

 
ということにしておきました。
 9号隧道現世方面坑口の風景。
 右側の絶壁が際立って迫り出しています。
 魔界側は。。。
 なんだこりゃ。。。コンクリ巻きたてから先に素掘
りが続いとるよ。。。
 。。。延長16.3mというのは、この巻き立て部分
のみを指しているのではないでしょうか。
 魔界側。。。うおおおお。。。

 なんか今にも降ってきそうな瓦礫が岩盤に張り
付いています。
 なんかもう、レベルが違います。。。
 少し引くとすぐに緑に隠れてしまいますが、やば
さは充分に伝わってきます。実際落石あるし。。。
 首なしミラーも恐怖を誘います。
 で、前を向くとすぐ目の前にもう1本!
 ここの林道では結構ひとかたまりに隧道が存在
します。
 これも巻きたてていますよお?
 これも巨大な一枚岩をくり抜いているようです。
 いつもの白倉林道なら、掘りっ放しでもいいので
は?という所ですが、ご丁寧に巻きたてられていま
す。やや右に曲がってるし。。。
 うーむ。。。このアーチからは、こんなに山深き
場所を想像できません。
 それだけ不釣合いなアーチです。
 どうっすか、この小奇麗なアーチ。。。
 どこぞの街外れにあっても何ら不思議ではあり
ません。
 魔界方面坑口です。
 
 。。。一体本日何回この景色を見たであろう
か。。。(22回ですね!)。。。
 。。。おおお???!

 この景色見たことある!yo314氏より掲示板に
写真を載せてもらっていましたが、その1枚が正に
ここの景色と一緒です!

 やはりここまで来ているんですねえ、MTB担い
でですかねえ、すごいです。

 では、ネーミングですが、やはり、

 白倉10号隧道 1966年(昭和41年)頃竣功?
 延長、幅員、有効高 一切不明


 今回は黄色のペイント発見できませんでした。
 この佇まいです。
 隧道すぐ左側は想像を絶する断崖絶壁です。
 こんなところまで道を引いていたのか。。。!
 その気合と根性は計り知れません。
 。。。一体どこまで進めるのか。。。

 そろそろ足も限界やし、時間的にも厳しくなって
きたなあ。。。
 何かきっかけがあれば、「よしっ、引き返そう!」
ってなるんやけどなあ。。。

 。。。。。。なんて、思っていたら。。。。。。。

ぐはあ!!!
 
 ついにきてしまった、本邦最強の崩落地点。。。今回は見事に路盤が消失。。。しかも10や20mではない。。。
 谷底に向けて宙吊りになるガードレール。。。
 完全に山肌がごっそり崩れ落ちています。

 遠くに路盤が見えます。。。石積みの路盤が崩れているのが見えます。
 あそこまではざっと100mほどでしょうか。。。
 多分、探索序盤でこれに遭遇したらチャレンジしたかも知れませんが。。。もうかれこれ5〜6km歩き続け。。。
しかも帰りを含めると12km以上の激しい行軍となります。。。足も若干笑っています。。。無理や。。。これは無理。。。
 潮時でした。。。時間もいい感じでしたし、ついに撤退の判断を下しました。。。無念。。。
 ここまでのおさらいです。
 かなりの大雑把な地図ですので、参考程度
に。。。

「林鉄の軌跡」(伊藤誠一氏著、ないねん出版)より転載
因みに、コンクリ橋と書かれているのが「二ノ俣橋」です。ここから白倉林道とは対岸となり、二ノ俣林道が続いていた
ようです。
 最後の大崩落地点がちょうど第2二ノ俣林道の始り付近ではないでしょうか。ただ、索道の痕跡は一切認められません
でした。
 これがその「二ノ俣橋」
 完全なる廃橋となり、その風合いも段違いです。

 「二ノ俣林道探索」
 及び
 「第2二ノ俣林道探索」
 この2点が次回の探索対象となります。

 奥が深いぞ!!

 
第一部 完

 第二部 へ!