千苅堰堤水路隧道


兵庫県


  


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 神戸市の水瓶であるこの千苅貯水池。
 千苅堰堤の竣工は1919年(大正8年)5月10日
だそうです。昭和に入ってから水需要の増大に
より堰堤本体の嵩上げもされています。
 表面石張りの見た目は重厚かつ壮大で、ダム
ファンならずとも一見の価値がある物件です。
 私は基本ダムは範囲外なんですが、ダムに
付き物のある物件を求めてやってきました。
 
 国道176号線から県道327号線を東へ。
 福知山線の道場駅東の踏切を渡り北進します。
 県道は長尾川から武庫川に沿っていましたが、
道場駅から暫く進むと波豆川に。
 この波豆川こそ千苅貯水池の母体となっており
ます。実際はこの波豆川と羽束川の流れから
構成されています。
 で、車ではここまで入ってくることができます。
 神戸市水道局 千苅貯水場
 ここは一般人の立ち入りはできません。
 春に千苅桜まつりと称し、一般開放することも
あるようです。
 千苅堰堤へは、貯水場の脇を通ります。
 一応公式な道で、近畿自然歩道(太陽と緑の
道)に位置づけされています。
 フェンス沿いを歩きます。
 早速橋が見えますね。
 残念。コンクリートです。
 ちょっとアーチがかっている所はいい感じです
が。
 因みに奥の敷地内のもコンクリート橋です。

 水路にも柵がしてあります。
 ぬかりないですな(笑)
 この貯水場には公衆トイレがあります。
 ちゃんとこちら側からも利用できるようになって
います。利用時間が設定されてました。
 敷地内からも利用できるようですが、当然なが
ら施錠されています。
 公衆トイレを過ぎてすぐ。。。
 
 むむむ!なんかある!

 
 こ、これは!煉瓦か!?
 うおおおお!煉瓦アーチだ!
 これは思わぬ拾い物!

 。。。。。。。。。と思ったんですが。。。

 下に降りてがっかり。。。
 1層の煉瓦下はコンクリート巻きになってます。。。
 これをどう表現したらいいのか。。。せめて煉瓦アーチが下にきてたら、煉瓦アーチ橋としてカウントしたんですが。。。
 これはカウントできませんな。。。

 。。。うーむ。。。
 後年コンクリート増ししたってわけでもなさそうです。下のコンクリートと煉瓦の目地が一体化してます。
 上部のコンクリート桁部分にも煉瓦が使用されてます。
 あきらかに装飾のみ!って感じです。
 一応内部から振り返り。
 目線の先はすぐ波豆川です。
 さらに進むと、波豆川が真横になります。
 
 。。。。。。。。。で、ふと波豆川の対岸に目を
やると。。。
 むむむ!?
 なんか見える。。。

 アーチが見える!!!
 しかも2連。。。水路暗渠ですな!後は素材が何かですが。。。確認は後のお楽しみにしときます。

 おお!千苅堰堤のお出ましです!しかも放水中ですな!
 これは楽しみです。

 むむ!目移りしてしまいますな。
 ダムと橋梁、そして隧道のトリプルコラボです!すんばらしい!
 階段を下りて隧道を見に行きます。
 隧道の背後にまた門が。
 スタート地点にあった千苅貯水場の裏門って
感じですな。

 切石の隧道!これが今回目的の物件その1です。
 ダム関連なのは明白ですが、水路ではありません。
 うむ。見紛うことなく切石です。
 よく見かけるコンクリブロックの存在があるので
じっくり見ないと分かりません。
 施錠されているので中に入れません。
 隙間から。。。うーむ。。。
 向こう側の光が見えますが、あっちも封鎖され
ている模様です。
 反対側に回ってみましょう。
 波豆川に張り出した絶壁を巻く感じで歩道が
設置されています。
 明らかに後年設置された感じがします。

 千苅橋から千苅堰堤を望む。
 堰堤手前のアーチ状のパイプは、下流の千苅浄水場に送水するためのものです。
 
 文化庁指定の登録有形文化財 第28-0035号    経済産業省指定の近代化産業遺産
 他に土木学会選近代土木遺産Aランクに指定されています。
 足元の千苅橋もCランクに指定されています。

 千苅橋を一旦やり過ごし、隧道の反対側にやってきました。
 下に隧道が見えますな!
 これで何となくわかった気がします。左側の通路(千苅橋から向こう側)がなかった頃に通路として使用していたのでは
ないでしょうか。
 こちらも階段で下ります。

 北側のポータル(坑門)です。
 特に扁額とか見られないのが残念です。しかしながら総切石造りは見事です。
 うむ。何度見ても切石です。
 そして。中央に僅かながら大きい切石、そう!
要石だけはちゃんとありました。
 それだけでもまあ、いいかなって。でも正直いっ
たらもうちょっと主張してほしかったですが。

 内部撮影に成功!
 内部は素掘りでございました。石ポータル+内部素掘りの隧道です。
 これ、かつての状況を知りたいですよねえ。

出典:神戸市 千苅堰堤の歩みより
 神戸市のサイトからお借りしました。
 これは南側からの写真のようで、工事中のもの
です。
 左側の隧道が正にこれだと思われます。
 工事用のトロッコレールを通すのに穿たれた
ようですね。ただ、工事中には絶壁の右側にも
軌道を通していたようです。

 

出典:神戸市 千苅堰堤の歩みより
 大正8年4月、完成時の千苅堰堤の姿です。
 やはり。
 下部の千苅堰堤の左に繋がる道は、堰堤側
しかなかったようです。
 よって、完成後は軌道を取り払い、人道として
隧道を利用していたことを窺わせます。
 振り返り。
 堰堤ははるか上空に霞んで見えます。

 そして!
 今回の本命はこいつです。いろいろなサイト様既出のこのアングルですが、どうしても間近で見たい!
 これは後でトライします。

 堰堤からの放水はありますが、こちらからの放水はありません。
 オーバーフローした千苅貯水池からの余水を吐き出す隧道と思われます。

 詳しい堰堤のことはここに書いてあります。
 あの余水吐隧道は「越流トンネル」という風に
紹介されています。
 赤色のはハイキング道です。

 うーむ、圧巻の17門総吐出!
 以降 
後半戦 に続く!