前回訪問が2007年8月ですから、およそ5年!リベンジとしてはあまりにも時間が経過して
しまいました。
坑門が残るのは彦根市側。米原市側は坑門部分は埋め戻され、胸壁から上が残っています。
彦根市側のアプローチ道、坑門前は、以前から猛烈な藪地帯として知られております。
2012年5月時点では滋賀県唯一の煉瓦坑門廃隧道です。
土木学会選近代土木遺産Cランク
1924年(大正13年)竣工 延長230.0m 幅員4.5m
冠木門タイプの坑門を持ち、煉瓦と切石を配した重厚な車道用トンネル
折角勇壮な坑門をお持ちなのに、日の目を見ないのはあまりにも勿体ない!ってなわけで私と
ピカさん2名で何とかしよう!と意気込んで現地に向かいました。。。が。。。 |
よけい酷くなっとる。。。アプローチの道筋はもとより、坑門前はえげつないことに。。。
5年前の8月に撮影した写真と見比べて頂くと、ますます藪がひどくなっていることが分かります。
取りあえず坑門上からの竹のダイブが半端ではありません。。。雪の重みなどで垂れ下がってその
まま経年した結果でしょうが、大量の竹が坑門上から垂れ下がってしまっています。。。
中心の暗い所は既に隧道の口なんですがねえ。。。 |
レポはしていませんが、これは2009年1月に訪問した際の画像です。
植生が最も収まる真冬でも垂れ下がる竹に坑門全体の姿は拝めません。。。 |
坑門内部から外を確認。
こうして見るとそこまで植生が酷いようには見えませんがねえ。
やはり5年前から誰にも手を入れられていないようです。 |
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さあ。。。どこから手を付けていいのか。。。
戦闘開始!!!
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
あれから何時間経ったっけ。。。途中休憩や昼
メシの為に3度?4度かな?撤退し、気分転換。
気が付けば丸一日ここに留まっておりました。。。
途中経過の写真はありません〜。どういった作業
をしたのかも敢えて省略します。
兎に角結果をご覧ください! |
どないじゃあああああああ!!!!!
丸一日苦労した甲斐があった。。。遂にその全貌を捉えることに成功!
やっぱり素晴らしい!立派な坑門をお持ちです!この姿を見たかった。。。
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坑門前の旧道もこの通り。
10m程度ですが旧道の姿も明らかに!
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典型的な冠木門タイプ。
切石のパーツがでかいですな! |
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笠石も上部は土被りでしたが、綺麗に除去して
その装飾性が明らかに。
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向かって左手の排水樋。
丁寧に煉瓦を配して雨水を逃がす施工がされて
います。
そして驚きなのが、今もちゃんと機能しており、
水が流れています。 |
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ご覧のような感じです。
上は笠石が乗っていますが、ちゃんと煉瓦組み
で水路スペースを開けており、水が流れるように
なっています。 |
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下から。
この繊細な造形美は埋もれさすには勿体ない!
計算し尽くされたそのデザインに感服です。 |
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扁額も完璧です。
「宮容妙門」
と書かれているそうですが、「門」しかわからん!
他にも左右に刻印があります。 |
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洞内より。
ビフォーアフターでご覧下さい。
だいぶ見通しが良くなりました。 |
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内部の排水を少しでも促進させるために水路を
掘りました。
多少の水位低下にはなったかな? |
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さて。。。。。。
ここまでで体力と時間を相当かけてしまいました
が。。。
実はここまでの作業はメインではありません!
本当の目的は。。。
この姿を見て頂けたらお分かりでしょう。
そう!閉塞確認です! |
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内部はたっぷり水没。。。
しかも靄がけっこうきつい。。。
以前ならこんな所進もうなんて気は一切起きな
かったんですが。。。
そう、今年度ウェーダーを導入してからというもの
の、長靴不能区間を制覇したい衝動に駆られて
おるのです! |
ざぶ。。。ざぶ。。。ざぶ。。。ふう。。。
ここまで写真撮れず。。。
左側の陸地からすこしずつ歩を進めたわけですが、取り敢えず底が知れない恐怖がまず第一に訪れます。。。
踏めば踏むほど沈む泥濘に足を取られつつ一歩ずつ進みます。
泥濘自体が水没しているので粘着性は少なく、嵌ったら抜け出せないってなことがないのが救いです。
そして数m。。。ここまで来ました。。。水深は。。。 |
こんな感じです!
結構沈んどるがな!!!臀部近くまで水位がきています。。。
ここまで水位があがって分かること。。。それは水圧です。。。下半身がピターっと吸い付かれる感覚が実に
気持ち悪い。。。水の圧力の凄さを感じます。。。 |
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靄がすごい。。。
水深はこの辺りが最も深く、ここから徐々に下
がっていきます。
そして底は固い所までたどり着いていることから
どうやら路面を踏んでいるようです。 |
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遂に陸地が!
目出度く上陸です。
この景色を見るまで足かけ5年。。。長かった。 |
2012年5月、上陸記念!
貴重な車道用煉瓦隧道、廃されて尚、美し! |
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上陸地点から振り返り。
結構遠いですな。。。隧道延長230mの半分
近く来ているんではないでしょうか。 |
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現れた路面はコンクリートブロック舗装でした。
しかも結構初期的な混ぜ物の多いコンクリート
ブロックです。 |
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側溝も完備です。
竣工年は大正13年。コンクリート技術はもう入り
始めている時期ですんで、初期からこの舗装の
可能性もあります。 |
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通電の証、碍子と木組みです。
ちゃんと照明はあったようです。 |
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相変わらず靄っ気が多い。。。
しかしこんなに水気がなくなるとは思ってません
でした。 |
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そして。。。
来ました!閉塞地点!
完全に埋没している模様です。 |
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っと、天井にこうもりさんの一群が。
驚かせてしまったようで、この後根こそぎ乱舞
し始めます。。。
驚かせてすみません。。。 |
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完全閉塞。
これは落盤ではなく、外から押し込まれた土砂
であることが分かります。 |
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落盤ではない証拠がこれです。
しっかり迫石と要石が残っています。
ここまでできっちり230m延長あるようです。 |
閉塞地点から振り返り。
230mは長いですなあ。全て完璧に煉瓦巻きです。複数巻厚の230mアーチ。。。一体煉瓦何個使ってんだ。。。
それにしても、靄がなくなりましたな。。。こうもりさんが乱舞してくれたお蔭で靄が消し飛んだ模様です。ありがたし。 |
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ちゃんと点検は入っていたようですね。
ヒビにチェックが入っています。 |
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等間隔に残る照明配線設備。 |
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また水没地点に戻って来ました。
ここからまたあの水圧地獄に戻る訳ですな。
うーむ、慣れんな。。。 |
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水没地点から振り返り。
靄がない分、先ほどの画像よりも随分クリアに
なりました。 |
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それでは、ここからピカさんの撤退の様子を見て
参りましょう。
この辺ではまだ水没は股下ぐらいですな。 |
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ずんずん進んでいきます。
あ、当方撮影している辺り、足元に四角い穴が
開いてますよ!ご注意ください。 |
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で、あの辺から足元が覚束なくなってきます。
泥濘が多くなるんでね。。。 |
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恐らくこの辺がMAXだと思われます。
もう下半身の締め付けがすごいことに〜 |
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最後、この編から急速に泥濘が多くなり、非常に
歩きにくくなりますが、陸地に向けて一気に登り
始めます。
この泥濘地帯を乗り越えればゴールです!
まあ、逆に言えばこの最初の泥濘をいかに恐れ
ず前進できるかが踏破できるか否かの分岐に
なると思われます。
ただ、闇雲に泥濘に突進すると本気で生死に
関わる事態になることもあるのでご注意を! |
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無事帰還したわけですが、ピカさんはさらに限界
にチャレンジ!
坑口前の最も深いと思われる場所の完抜けに
挑みます!(←無駄では?って?これが重要や
ないっすか!!!) |
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もうすぐに警戒水位(臀部付近)に達します。
恐らく坑口直下から2、3mが最も深そうですが
大丈夫か!? |
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「アカンアカン!もうやばくない!?」
ピカさんが叫びます。
後ろが見える私が「あと10cm?いや5cmか
!?」と声を掛けます。
あのウェーダー、ちょっと胴回りに余裕がある
仕様で、細身のピカさんだと少したわむんですよ
ね。。。そのたわんだ所から水が入らんとも限ら
ないですからね。。。 |
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恐らくここがMAX地点です。
もうウェーダーあと5cm!って所でしょうか。
この先大丈夫か!? |
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脱出まであと半分〜がんばれ〜といいつつ
写真撮るだけで傍観する人(悪) |
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無事完抜け成功!
すげー、本当にキワキワでした(汗)
排水作業してなかったらアウトだったかな。。。 |
5年越しで佐和山隧道彦根市側攻略成功!
坑門も綺麗にできましたんで、できたら維持していきたいですね〜。
そして、できたら土木遺産としてしっかり市か県に管理して頂きたいものです。
次回は米原市側を攻略だ! 続く! |