奥羽本線庭坂~関根間現役暗渠、廃線構造物群


奥羽本線(山形新幹線) 福島県庭坂駅~山形県関根駅間


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                  2018年8月訪問

 さて、恒例のヨメさんの実家がある富山に帰省するお盆休みがやって参りました。
 2017年は念願の旧信越本線碓氷峠の廃線跡構造物群を探索することができました。
 2018年はどうしようかな、と思案しておりました。
 富山県まで行くなら、どうせなら普段行けない遠方を選びたいと思っておりました。
 海水浴シーズンであるため、なるべく海側は避けたかったので、内陸側で、しかも丸一日かかるような大物物件を…と、目に入ったのはここ!

 
奥羽本線の廃線トンネル、構造物群!

 既に多くの情報がネットに出ており、改めてレポを出すような場所ではないのですが、探索は全く別物です。やはりこの目で、五感で感じないと納得
できない性分です。
 ネットで拝見する限り、やはり探索困難度は私の経験からしてもかなり上位に位置すると見られます。
 さらに私の目的はもう一つ、現行路線(或は廃線)の煉瓦、石アーチ暗渠探しです。廃線巡りでも困難なのに、これらを加えるとさらに難易度が上がり
ます。
 しかも、当然のようにネットには出てこない、あるのかないのかも分からない未知の物件探しです。まあ、既出より自身で発見する喜びは感じられるん
ですがね!逆にその分、ハズレも多分に存在します。地図上で当たりを付けた自分のチェックポイントに○を付けるか×を付けるか…それも愉しみの内
なのです。マニアック過ぎて申し訳ありません…(笑)
 待ちに待ったお盆の6連休。
 初日の午後1時に出発。グーグル様の見立てで
は総距離777km、8時間43分の行程です。
 いやあ、えげつない…結局10時ごろに漸く到着。
 明日に備えて速攻就寝です。

 で、翌日。朝練を庭坂の大築堤でこなし、予定通
り秘境駅である赤岩駅へ。
 さて、一体どんな場所なのか…期待が膨らみま
す。
 大平地区から赤岩駅への分岐道。
 左下が赤岩駅へのアクセス道です。駅前ロード
とは思えない山中で、ダートです。
 最初ここに駐車しようと思いましたが、意外と降り
て行けそうなので、また車で降りて行くことに。
 どこまで行けるかな…恐る恐るガタガタ道を下っ
て行き…結局ぎりぎりまで降りて来てしまいまし
た。
 転回スペースを残し、他に余ってる路肩があった
のでここに駐車。
 ここから先も行けそうではありましたが、夏場の
植生が車道に被さっていたのでやめました。
 車は転回させ、赤岩駅方向に背を向けていま
す。
 駐車場所から少し降って振り返り。
 おお!これは有名なトンネルですな!
 赤岩駅のスイッチバック用の突っ込みトンネル
です。平坦な敷地が確保できない場合に昔はよく
採用されていたようです。碓氷峠にもありました。
 スイッチバックの軌道敷き跡まで降りてきました。
 …えらい植生ですな。
 まあ、ここは特に無理していく必要はないかな…
 ということで、パス。
 スイッチバックの軌道敷きがそのまま赤岩駅への
アクセス道になっています。
 真新しい設備が出てきました。
 当然スイッチバックが廃止されてからの設備で
しょう。
 
 「JR東日本 赤岩き電区分所」

 だそうです。「き電」は「
饋電」と漢字で書き
ます。
 饋電とは電車に必要な電力を供給することをい
います。「饋」には「おくる」という意味があります
が、何故こんな難しい熟語になったんでしょうね
え?
 駅舎やホームは最初スイッチバック線側にあった
ようです。
 夏の植生の中、一部視認することができました!
 ありがたいですねえ。
 右側にも石積みのホームがチラ見できます。
 むむ!?レールでできた看板が。
 これは駅名標でしょうか?
 …うーむ、錆びっ錆びで全く読めませんな…
 現在の赤岩駅はもう少し西寄りにあります。
 …が…何か様子が変…ホームへの道が封鎖さ
れている???
 !?

 お知らせ

 赤岩駅通過(
通年

 平成29年3月4日(土)ダイヤ改正から
 山形線内 普通列車(福島~米沢間)
 全ての上り・下り普通列車が
 
通年 赤岩駅通過となります。

 福島駅長

 なに~!???通年通過ってなに!?
 それって駅の役割が…。事実上廃止ってことで
しょうか。でも「廃止」と書かずに「通年通過」とする
理由は何処に…?業務車両が停車できるように
しているんですかねえ。
 秘境駅としてかなり有名のようですんで、その点
も影響しているかもですな。
 旅客鉄道が停車することのなくなった秘境駅。
 
 しかしこんな所を山形新幹線が通るんですか?
 なかなか信じ難いですな。
 結局今回新幹線を拝むことができませんでした。

 …さて、私の目的は赤岩駅ではございません。
 本日のメインディッシュは、庭坂~赤岩間の廃線
構造物群です。

 がしかし。
 私の目的はそれだけではありません。
 明治竣功の鉄道の暗渠には煉瓦や石造りの
拱渠(アーチ)が、ひっそりと今でも沢や川の水を
通す役割を人知れず粛々とこなしています。
 その造形は水路暗渠にしとくのは勿体ないぐらい
に流麗で重厚な物件が多いです。
誰に見せるでもない水路でここまで意匠を凝らす
とは…。国の威信をかけた鉄道建設はどんな日影
部分でも手を抜かないようです。

…と御託を並べつつ、国土地理院の電子地図で
見定めた暗渠ポイントに当方も粛々と向かうので
ありました…。真夏の盛りに何やってんだか…。
 はっきり言ってここは微妙でしたが…
 線路と平行に、やや下の方は杉、檜林であり、
何とか藪地獄を回避して移動。
 現行の駅が全く見えないので暗渠探しはシラミ
潰しとなっています。

 …そして!いきなり煉瓦構造物が現れます!
 これにはびっくりです。
 これは…当たりなのでわ!?
 当たりです!
 いきなり立派な煉瓦坑門の登場です!
 苦労が報われる瞬間です。

 手前の杉は木片で養生してワイヤーを巻いてい
ます。鉄道構造物の何かしらを支持しているものと
思われます。

 赤岩駅構内西寄りの暗渠。立派な翼壁です。
 ねえ!ただの水路のはずなのに、何故このような立派な坑門にするんでしょうか。
 もうブラボーとしか言いようがありません。
 名称不明の為、(仮)赤岩橋梁とします。
 リンクをクリック頂くと、この橋梁の詳細写真に飛びます。
しかしこの坑口の大きさで6層巻きとはこれ如何
に。
 なかなかお目にかかれません。
 因みに開口は南側。
 北側は竪坑のようになっています。
 四方をコンクリで固められた竪坑…
 途中で土管、最上部に向けてステップがありま
す。
 要するにあの高さがホーム付近の高さということ
でしょうね。
 しかし、これらの構造物は後年物でしょうから、
元々どんな状態だったんでしょうか。想像が付き
ませんな。
 想定地はあと2ヶ所あります。
 ので、さらに法面をずりずり西寄りへ。

 その内、線路敷きの方面に異変が現れます。
 現行路線がトンネルに入ったのですが、その脇
にスペースが…
 むむむむ!?
 こ、これは…架線!?
 ということは…
 線路だ!!

 期せずしてスイッチバックの西側折り返し線の
到着してしまった模様です。
 これで斜面を無理矢理歩かないで済みます。
 ここを辿ることにします。
 昭和43年9月の銘が入った、外灯付きの電柱
や、信号機?などの構造物がそのまま残されて
います。
 その先に第2のチェックポイントが。
 …やはり鉄橋だったか~
 おおお…
 線路と共にまんま残っています。
 橋台はコンクリのようですな。

 銘板を探しましたが、どうやら錆びて朽ち消えて
しまった模様です。
 北側を見ると、真新しい鉄橋が見えます。
 あちらが現行路線ですな。
 鉄橋、コンクリ橋台でも下に廻ってみないと気が
済みません。
 保線用の人道橋がレールを転用した方杖を使っ
ているのがいいですねえ。
 西側の橋台の横。
 ちょっと意味深な形をしています。
 自分が踏んで降りてきた東側を見てみると…

 !!!
 煉瓦だ!
 これだから下に降りてみないと分からんもんで
すよねえ。
 ちょっとお掃除。
 おおおお…

 これは明らかな橋台。どうやら元祖の折り返し線
はこちらを通っていた模様です。
 アングルを変えて。
 いやあ、立派な橋台です。
 いま線路を通している橋梁よりも1~2m程低い
位置を折り返し線は通っていたようです。
 錆び錆びの鉄橋。
 四角い錆びが見えますが、あそこに銘板があっ
たんではないでしょうか。
 現行線の方にも行ってみました。
 お!銘板がある。

 「第2下赤岩橋梁」

 と書いてあります。
 ということは、さっき見た煉瓦アーチの暗渠が
第1下赤岩橋梁でしょうか。
 まだちょっと判別が付きかねます。

 で、さらに北側には…
 実は現行路線は2本あります。
 …って、周知の事実ですよね…スンマセン。

 現行路線南側の線は明かり区間ですが、北側
の線はトンネル真っ只中です。
 で、これはそのトンネルを潜る暗渠のようです。

 ???こちらは「第1赤岩橋梁」となっています。
 むむむ…名称がバラバラです。
 奥はまた竪坑になっている模様です。
 沢の上流に繋がっているのでしょうが、本当に
一般の人に知られる事のないこういった仕事が
世の中を回しているんですよねえ…改めて感動。

 ポイントはあと1ヶ所。
 
 以降、 
その2 に続く!

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