串原発電所水路隧道


岐阜県


後半戦

 

           2017年5月訪問

 小里川第三発電所は、発電所建屋のあった
場所は水没しているものの、水圧鉄管橋梁や
上部水槽三連橋梁、上部水槽横断橋などの遺構
が確認できました。また、発電所への人道橋であ
る與運橋は道の駅に移設されており、合計4本の
石アーチ橋梁が残存することになります。
 小里川第二発電所は、おりがわ湖に完全に
沈んでいる模様で、ここには石アーチの人道橋
や、第三から第二までの導水路に2本の石アーチ
橋梁があった模様です。ここは大渇水でもなけれ
ば視認は望めません。大体原形を留めているのか
も分かりません。
 で、今回は小里川第一発電所(多治見電燈第三
発電所)の探索になります。ここは建屋や水圧鉄
管、上部水槽が残存しております。導水路はダム
に遮られるため、望み薄です。
 で、やってまいりました。
 小里川ダム下流、小里川の南岸に建屋が残って
います。
 北側からの橋は一応通行禁止になってます。
 が、南側の道から行くと、建屋に近付けます。
 裏側から回ってきました。
 この水路は沢水を逃がすためにあるようです
が…
 …???
 この枝分かれはなんなんでしょうか。
 右側は暗渠、左側は開渠。その用途は同じで、
沢水を小里川に誘引するため…と思われます
が…
 何故開渠と暗渠に???片側暗渠にしたなら
もう一方も暗渠にして2連石アーチ橋梁にしたら
良かったのでは…
 惜しくも2連橋梁になり損ねた単石アーチ橋梁
 
 
(仮)小里川第一発電所(多治見電燈第三
発電所)橋梁
としておきます。

 ちょっと不揃いの輪石を使用しています。
 開渠との間には階段状の水切りが付いていま
す。
 やや下って左に微妙に曲がる絶妙のラインを
描いています。
 偶然なのか必然なのか…
 アーチの切石はやや不揃いな印象ですね。
 振り返り。
 沢側の様子です。増水するとさすがにこの暗渠
一基だけでは処理できないでしょうね。
 ので、開渠が隣にあると…いうことすかね。
 こちらが吐口です。
 やはりただ、沢水を小里川に逃がすだけのよう
です。
 (仮)小里川第一発電所橋梁の吐口
 発電所の基礎と一体化しています。
 で、これが有名な銘板です。
 ものすごく綺麗に遺されてますね!
 どアップ!

 
夛治見電燈

 
第三發電所

 大正 九年八月十五日起工
 大正十一年四月十五日竣功


 日にちが微妙ですが…
 庄内川水系小里川
 国土交通省 川折(かおれ)水位観測所

 どうやら第二の人生は観測所のようです。
 ちゃんと日々刻々計測しておられます。

 そして気になる右側の廃墟。石積みですね。
 おおお…
 天井がアーチになっています。そこはコンクリで
すが、内部側壁は谷積みの切石積み。
 アーチに対して側面の壁は布積みの切石積み
です。上部と下部で切石の大きさが異なります。
 反対側には配線用の穴が6つ開いています。
 変電設備が入っていたんでしょうか。
 反対側にはフェンスに囲まれた構造物が。
 こっちのが変電設備っぽいですね。
 上部には配線が残っています。
 で、謎の物体が3基。
 これが変圧器でしょうか。
 で、一応北側からは渡れないことになっている
「ふる里橋」です。川折水位観測所として機能して
いるので、この橋も現役ということになりますね。
 で、発電所から水圧鉄管、上部水槽方面です
が、このようにフェンスで封鎖されています。
 ので、ここからは上に行くことはできません。
 が、送電線の巡視路をうまく辿ると、フェンスを
越えることなく階段に辿り着くことが可能です。
 隣には水圧鉄管が残ります。
 長い切石階段を延々と登って行くと、上部水槽
が現れました!
 水圧鉄管は刺さったままです。
 「水槽」のプレートがある上部水槽です。
 導水路の吐口が見えます。
 上部水槽、角度を変えて。
 さらに角度を変えて。
 内部から見上げます。
 側壁の切石に比して随分と小柄な輪石です。
 全部で15個で構成されます。
 内部です。
 おおお、いいっすね!床面以外オール石積み
です。
 左に折れていってますね。
 いずれ小里川ダムに阻まれるわけですが、どこ
まで続いてるんでしょうか。
 残念ながら追いかけることは叶いません。
 吐口から振り返り。
 除塵用スクリーンのある方が水圧鉄管方面
です。
 隙間から水圧鉄管の口が僅かに確認できまし
た。
 そのスクリーンの右手にはこのような小さな水門
が。
 余水吐きというか、排砂門と言う方が正解です
かね。
 高い位置にバルブがあります。
 中を覗くと…
 むおっ!?
 ヒト型のシルエットが???
 ああ…あなたでしたか(笑)
 いたく満足げな氏の笑顔が確認できました。
 私も行きたい!
 上部水槽と水圧鉄管の付け根です。
 で、この右側には…
 このような奇跡的な円形石積みアーチが現れ
ます。
 おおお!いい!!!
 新円ではなく、下部がやや尖った逆さ滴型とで
もいいましょうか。
 非常にユニークな形をしています。
 で、よく見たら要石がありますね!
 
 小里川第一発電所上部水槽付属余水吐口

 ということにしておきます。
 視点を下げると、上部水槽からの呑口が見えて
います。
 外から見ると逆さ滴型でしたが、内部は少々
いびつながらも円形ですね!
 おおお…いいっすね!
 この辺は綺麗に真ん丸に見えます。
 床面に相当するインバート部の輪石が6個、
天井に要石が1個、側壁天井を構成するアーチ部
が10個で構成されていますね。
 お約束の吐口からの廃景です。
 こうして見るとやはり円形に見えます。
 切石アーチの余水吐き口を出ると、あとはウォー
タースライダーです。
 隣の水圧鉄管と共に斜面を駆け下って行くこと
になります。

 これで、小里川第一(多治見電燈第三)発電所
の探索は完了です。

 残ったのは、小里川第三発電所上流の5号開渠
から取水口までの間、超渇水になった時の第三
発電所跡付近が確認可能か?ぐらいでしょうか。
 また折を見て探索したいと思います。