旧奥野々トンネル


福知山線 谷川−柏原間


 


 兵庫県は丹波市を縦断するJR福知山線。丹波市でも
山あいである山南町奥野々には、県道86号(多可柏原
線)とともに福知山線の奥野々トンネルもあります。
 数多く残る福知山線の廃トンネルですが、ご多分に漏
れずこのトンネルにも廃トンネルの存在が疑われており
ました。
 初めて訪れたのが、2008年の梅雨の時期、まずは柏原
駅側(北東側)の探索を進めました。
 降り立ったのは現行奥野々トンネルに程近い場所、ここ
から左手に旧路線は伸びていたと思われます。
 現行トンネルの姿は、兎に角シンプルです。本当に機
能のみ重視した感じで、何の纏いもありません。つれない
なあ。。。

 距離は。。。意外と長い855m。。。旧があるとすれば
これに匹敵するのでしょうか。。。
 。。。入る前から分かっていましたが、どえらい籔の猛
威。。。視界不良も甚だしい。。。
 押し退け押し退け漕げ漕げ。。。ざぶざぶ。。。
 左右には擁壁が苔むしつつも残っています。
 ここが旧線跡であることは疑いようがありません。
 。。。。。。。。。。。。。ありゃ???

 旧線跡の路面が斜面に遮られ、当然そこにあって然る
べきトンネルの坑門がありません。。。なんで???

 旧線跡は間違いないはずですので、こりゃあ、埋め戻
された?
 終息した旧線跡から振り返る。。。柏原駅側閉塞。。。

 だったら当然反対側、谷川駅(南西側)坑口の確認に
行くのが本筋なんですが。。。

 反対側はご覧の状況なのです。奥野々踏み切りから
北東方面、奥野々トンネルの方向を見ています。
 左手が県道86号線が緩い峠を登り、右手には山が迫
り出している状況。唯一平坦なのは福知山線なのです。
ゆえに自ずと谷筋に鉄道路面は吸い込まれていく訳で、
そこに目測される旧トンネルを探索するには、ある程度の
リスクが想定されます。
 しかも間が悪いことに、県道と鉄道の間にあるフェンス
に巻きついた雑草を除去している作業員がいて、ちょっと
探索には不向きな状況。
 今回は断念して、別地点の探索に向かいました。。。
 。。。。。。。。あれから半年。リベンジに参りました。

 冬を間近にしつつもまだまだ緑の濃い山々、それでも
早朝ということもあり、少し肌寒く靄も薄くかかる奥野々
地区。今回は周辺で作業している人もおらず、探索に
踏み切りました。ついでに踏み切りも渡りました。。。あう。
 もう行くにはここしかないでしょう。
 右手に歩くスペースがあり、県道が登っていくのに比し
て線路と高さを同じくしてくれます。
 しかし、それも長く続かんのです。。。
 数分後、谷筋深くで分岐する旧線跡に突入成功。。。
 暫くしてJRの快速?でしょうか、轟音とともに通過して
いきました。
 旧線路面はフラットを保っており、その面では歩きや
すいですが、やはり籔化は避けられていないこの状況。
ただ、葉は枯れ落ちたのかハダカの幹、蔦が気持ち悪く
蔓延るぐらいで、多少は歩きやすい状況です。
 少し進むと何かが旧線跡を跨いでいます。車道はもち
ろんのこと、人道橋としてでも不自然な。。。手摺ないで
すもんねえ。水路橋かな?
 見上げると、水がそこかしこから漏れている感じです。
間違いなく水路橋でしょう。
 春日さんのHPで種明かしがありますよ。
 水路橋が遠のきます。枯れてはいるものの、その籔の
猛威は凄まじいものがあります。
 布積みの法面をコンクリの枠で補強している擁壁で
す。廃線から幾十年かわかりませんが、揺るぎないです
ねえ。
 。。。!!!現れました!!!

 現行路線が早々とトンネルにて姿を消していたので、
もうそろそろと思っていた矢先に現れた黒い影。。。
 不気味にも枯れ籔の中に沈んでおりました。。。
 片側が埋っていたので心配しましたが、残っておりま
した。よかった。。。
 これぞ福知山線の旧トンネル!という感じで、やはり
共通ですねえ。やはり山陰本線の坑門の方が凝っている
感じはします。
 坑門前から振り返り。。。帰る道ある?と不安になる
この有様。。。いつも思いますが自然の回復力は凄い
です。
 中を覗きます。。。
 うーん。。。やばい雰囲気です。。。風の流れが全くあり
ません。。。反対側の閉塞は確実でしょうから当然なん
やけど。。。
 それでは、閉塞地点の確認に参ります。。。浅倉トンネ
ルといい、十二越トンネルといい、閉塞地点の確認は
やっぱり萎えますねえ。。。やっぱり対岸の光を拝む進軍
の方が希望があってよいです。
 。。。いつもより足元が悪いですなあ。。。
 結構ぼこぼこです。
 天井アーチは早速白化が進んでいます。。。
 暗闇に潜む退避坑。。。
 錆びに錆びきった鉄道遺構の代表格。
 しかしながら大概は朽ち果て落下してしまうのですが、
よく残っています。
 枕木跡に黒くなるバラスト。見た感じ枕木はない気が
しますが。。。枕木が朽ち去った後の名残りなのでしょう
か。。。
 でかい退避坑も完備しております。
 あの矢印は何を示すのでしょう。。。?
 気が付けば入り口がかなり遠くに。。。
 結構延長のある旧トンネルです。。。でも、閉塞。。。
 !これはまた珍しい遺構が残されていました。
 こういうものがまず朽ちてしまいそうですが、奇跡的に
生き残っておりました。
 しかし長い。。。現行トンネルが855mで、それ以上
長いはずは絶対ないので、そろそろ閉塞でもおかしくな
いんですが。。。
 。。。。。。。。んん???薄っすら何かしら見えるよう
な。。。
 明度あーーーっぷ!!
 をを!!!
 きました閉塞地点!ついに到達です。
 結構深かったなあ〜。。。
 これが”かべ”の本来の色です。
 トタンのような波型の板塀がアーチの形ピッタリに蓋を
しています。
 間近でみるとかなり頑丈そうなトタン(とは言わない
か。。。)で蓋をしていますねえ。
 長く地下水が染み出しているのか、石積みが赤茶けて
テカッています。相当の年月が経過している証でしょう
か。
 上もぴっちり密閉状態です。
 閉塞地点から振り返り。
 かすかに生還への光が見えています。
 やはり安心感が違います。
 戻って参りました。
 片側閉塞の旧トンネル。永劫に光を当てる日は来ない
のでしょうか。