(仮)中田隧道


兵庫県


 


                  2010年10月訪問

 急遽2010四国2回目オフが決まったその日、
さて、前日はどうするかと思案しておりました。
 実は近畿2府4県の中で唯一探索していないエリア
がありました。。。そう、淡路島。。。
 よっしゃ、いっちょ攻めたるかい!ってなわけで、
早速ヤフーの電子地図で隧道表記をシラミ潰し
に。。。
 そしたらちらほらあるある、ネットにも出てなさげな
物件が。。。謎の穴表記は3件。1つは東桃川隧道。
もう1件はヤタロダニ隧道。そしてもう1件はここ。。。
 はっきり言って名称不明。そして、この淡路島で
最も衝撃的な物件でございました。。。ここは房総
か。。。なんて。。。 
 さあ、やって参りました!
 ここは、淡路市の極細県道467号(木曽上中田
線)の道上です。この県道指定も大概ですねえ、
明らかな地元道。。。
 その地元道から左に折れる道筋が。。。
 反対側、民家真横からの状況です。
 竹薮まじりの決して高くない山に向かって、
確かに道が伸びているのが分かります。
 最接近!
 まさかこんなとこに穴が!?

 で。。。でーたー。。。
 車で通過しかけて思わず二度見しました。コンマ何秒かで。。。
 関西では一枚岩のような岩盤に穿つ隧道は数あれど、このような土質の場所に穿たれた隧道はほんの僅かです。
 。。。まあ、関西と言えど、海を隔てた淡路島なんですが。。。

 もうちょっと接近して。。。
 ねえ、この危うさが関西では珍しい。。。質的には三重県の土井竹林の隧道が近いか。。。

 実は、この隧道に関する、と思われる情報が隧道データベースに載っております。
 
 無名隧道  1887年(明治20年)竣工 延長37.4m 高さ1.9m 幅員2.2m
 当時の路線名 一般県道:木曽上中田線 個所名:津名郡津名町(現淡路市)中田〜木曽畑


 です。場所的に、スペック的にこれで間違いないと思われますが。。。
 ただ、現在の木曽上中田線はこの隧道を通りません、旧路線がここを抜けたのか?ただし、現在の地図では
この反対側へ抜ける道はどこにも繋がっておりません。
 国土地理院の地図ではこの隧道表記はなく、代わりにここより南西すぐの県道上に隧道表記があります。しかしこの
隧道表記の箇所は現在コンクリボックスカルバートとなっており(上に道が通っている)、よく分かりません。
 ぶっちゃけ、単に個人で穿っちゃった物件の可能性もありますが、今のところ夢のあるこの推定で通そうと思います。

 
2014年1月加筆↓
 上記の通り推測していましたが、このほど有力な情報を頂きました。その方の情報によりますと、何とこの隧道はその方の
曽祖父様が個人で穿ったとのこと。すごいですね!関西圏で個人掘りはなかなかお目にかかれません。
 かつて大雨で入口上部が崩れ、路面が水びたしになることが何度かあって、自治体の補助を受けて開削して掘割構造にする
検討もされたそうです。しかし親族で話し合った結果、一家のシンボルとして残そう!ということになり、反対側から町道を通すこと
により存続させたそうです。
 
 隧道データベースの「無名隧道」は、やはりかつて現在の県道にあったそうです。
 なくなったのは20年程前だということで、1990年代あたりでしょうか。お話によると隧道は煉瓦巻きで、両坑口から10mは煉瓦
巻きで、中ほどの10mは素掘りだったそうです。高さ・幅員ともに不足していますから、開削されてしまったのではないでしょうか。
 実に惜しいです。
 以下の文章は当初のレポートのままですが、最新の情報は赤字の部分となっております。
 隧道寸前より振り返り。
 少しの間、切り通しとなっております。
 県道で完全な丁字路に。。。旧指定も不自然か
なあ。。。
 隧道の真上には竹林。
 こんな地質でも崩れない要因でしょうか。

 さあ!洞内!!どないです?これ?
 うーむ、まさに胎内をイメージさせるような洞内です。
 路面はダート。。。ってか、なんだか粘土質。この洞内も粘土質っぽく見えます。 

 アンダーから。
 粘土質。。。ではなさそうですねえ。なんか砂粒のようなものが側面を中心にびっしりです。
 で、地層的な模様も見られます。
 ちょっと触ってみました。
 。。。こいつわやばい。。。ざらっと手の感触。。。
その後に砂粒がぱらぱらぱら。。。
 。。。おいおいおい。。。
 よく無事ですよねえ、この隧道。。。

 県道側の坑口より。
 うーん、この土質でよくぞアーチを保っています。
 道幅は。。。2.2m納得、3ナンバーでも行けるかもです(とてもやってみる気になれず。。。)
 しっかししわしわですなあ。
 掘削の手法はどんなのだったんでしょうか。
 あっという間に反対側です。
 こっちはえらいいびつな形をしてますなあ。
 路面には何か敷いてあります。
 おおお。。。
 どでかい切石が3枚と少し。。。
 滑り止めでしょうかねえ。

 県道とは反対側の坑口です。
 向こうに民家が2軒見えますなあ。
 新旧2軒の民家が見えます。
 見える建物は以上!地主さんの家と、その息子
家族の家、ってな感じでしょうか。
 道は民家方面へ右折する側と、真新しいコンク
リート道路で左よりの登り直進する側に分かれて
います。
 ただ、民家の方からさっきからわんこに吠えられ
まくっています。。。
 残念ですが私有地っぽいですし、これ以上道の
追求はやめときます。

 民家側の坑口。
 ダートに小高い山。そこに穿たれた素掘り四角と思いきや、実は素掘りアーチのこの趣。。。

 
素晴しい!!!

 と、声に出して言っちゃいました。

 うーーーむ、変わった造りですなあ。。。
 庇(ひさし)のような切り込みを入れた後に、アーチの素掘りを掘ってあります。
 これが、果たして素人に造れるか。。。否!だと思いますが。。。

 さあさあさあ!
 なんだこの芸術は!今まで拙い眼ながら数多くの隧道トンネルを見てきましたが、こんな異形は初めてです!
 手掘りを感じさせる無数の窪み、地層のライン、そして手前の天井の平たい部分。。。
 しばしこの場所でボーゼンとしてしまいました。。。
 路面はよく見たらちょっと下りになっています。
 アーチの天井部分にも独特の地層?ラインが
入っております。
 洞内の側壁に錆び錆びの釘が刺さっています。
 電線を通していたのでしょうか。
 これも古い隧道の証拠物件?

 関西随一と言っても良い姿形を成す(仮)中田隧道。
 さあ、この隧道の正体は。。。