旧三尾隧道


兵庫県


  


 兵庫県北西部に位置する新温泉町。その町を東西に
横切る国道178号線からさらに北に向けて県道261号線
が伸びています。
 その県道261号線が赤崎という地区で西から来る県道
260号(三尾浜坂線)と合流し、北東へは県道260号線
が伸びていきます。
 県道は三尾地区で終点で、この三尾トンネルは三尾
地区の人々の為に穿たれています。
 
 実は今回の来訪は2回目です。1回目は、関西トンネル
巡りの一環です。本来はそれで目的達成なのですが、
実は「ある」んです。気付いていませんでした。。。「旧」
の存在に。。。
 写真は現役三尾トンネル南口です。1回目は愚かにも
南側しか撮影せず、三尾地区側には回りこんでいません
でした。南口には「それ」と分かるものをみつけられず、
完全スルーでした。
 で、今回はピカ氏のご紹介もあり、存在を認知するこ
とができ、なんと同行までいただきました。
 ありがとうございます。

 今回は海沿いの細道より三尾地区に到着、いざ、初の
北側坑口へ!到着してみると左手になんとも怪しい
スロープが伸びているではありませんか。。。
 こっち側に回っていたら、1回目でも気付いていたかも
知れません。つくづく詰めの甘さを痛感したりして。。。 
 奥を覗いてみますと。。。ある!
 夏場の籔がお盛んな時期でもこんなところからでも
口を開けている姿をはっきり捉えられます。
 うーむ。。。いい!!

 緑に埋め尽くされつつも必死に我が身を沈ませんと
するそのお姿。。。実にいい。
 三尾隧道
 
 隧道データベースから、

 1955年(昭和30年)竣功  延長237m
 限界高2.3m 車道幅員1.8m

 
トンネルリストでは、

 1950年(昭和25年)竣功  延長235m
 有効高2.4m 幅員2.6m


 と2説確認しています。
 どちらにしても高さ、幅員ともトラックなどが通れない
不便な隧道のイメージです。

 
 緑の海の対岸に佇む車両2台。
 フラットそうですから、車でも泳いで来れそうですよ♪
 何か謎の遺物が点々と。
 配線設備等の名残りでしょうか。

 そして、扁額などはありません。
 そして入洞。
 200m級と、そこそこの延長と、その細長い身なり、
そして大量の流水、まさに水路隧道です。
 向こう側の光が見えており、冷風も吹き抜けていま
す。
 緑が眩しい北側坑口。
 左下に横たわる俵はなんだっけなあ。。。

 コンクリの巻きたてが綺麗なアーチを描いています。
 巻きたては数mで終わり、モルタル噴き付けの素掘り
となります。

 海に関係しそうなロープが放置されています。
 ところどころに巻きたてがされています。

 。。。何かまっすぐではないですねえ、この隧道。
 ちょっと測量ミスかな?
 さっきからずっと気になっていた、トンネル上部の配線
ですが、照明の配線だったようです。
 これって、ガチで車道用の照明設備ですよねえ?
 大きな車道トンネルでもよく見る気がします。
 この狭い隧道にこの照明は、相当の明るさを洞内に
溢れさすのではないでしょうか。
 振り返り撮影。
 相当なでこぼこ具合の洞内。そして、無尽蔵に流れる
水が涼しい風を運んできます。
 思いのほか水路として機能しているようです。
 南側坑口までやってきました。
 こっちは結構な荒れっぷりです。川の如く流入する水、
左法面から滑り落ちてきたと見られる「土台」付きの木、
そして鬱蒼と茂る緑の群れ。。。
 コンクリアーチも痛みがすすんでおり、これらが逆に
廃景を際立たせます。
 いいっす。
 360℃真緑です。
 隧道直下には轍はありませんが、その先にうっすらと
轍を確認できます。
 おお!現道が見えます。
 えらい高低差があります。
 南側現役三尾トンネルからの分岐する道。1回目の
訪問時にこの道も当然見ていたと思いますが、この
急勾配からか、全く旧隧道の存在を疑えませんでし
た。。。と、必死に言い訳で納得しようとする自分が
おりました。。。
 少々の靄と光、そして緑に沈む廃隧道。
 んんん?

 北側では気が付きませんでしたが、南側坑口には
模様が見えます。ちょうど迫石にあたるラインです。
 コンクリ隧道には変りありませんが、少々の拘りを
見て取ることができます。
 日本海の小さな港町に必要不可欠だった、旧三尾
隧道。今は、現役を退き、静かな余生を送っています。