2014年12月
ちとさんより情報提供を頂いた写真を見てびっくり!なんと煉瓦アーチではないですか!!! まさかのドホームでの煉瓦アーチ情報に色めき立ち、早速机上の調査から始めました。 物件の正体はどうやら動物園の動物を入れる檻のようです。煉瓦アーチの檻なんて聞いたことがありません。 そして箕面で動物園、てのも今はないとはいえ、恥ずかしながら知りませんでした。 箕面市のホームページによると、1910年(明治43年)11月1日に開園したそうです。明治生まれの動物園!凄いです。 諸説あるようですが、日本初の上野動物園や京都の京都市(東山)動物園に次ぐぐらいの初期動物園だったそうです。 以下箕面市のホームページから抜粋 「面積がおよそ3万坪(約10万平方メートル甲子園球場総面積の約2.5倍)もある国内最大規模の動物園と宣伝されました。 山の地形を活かして動物を配置したほか、当時珍しかった噴水や観覧車、翠香殿などの施設があり、園内各所には季節の 花木が植えられていました。眺望が良かったのも人気だったようです。」 そんな大規模な動物園も1916年(大正5年)3月31日に閉園し、僅か5年半にも満たないうちに終止符が打たれます。 理由ははっきりしませんが、支線の箕面駅よりも利便性の高い宝塚などに立場を奪われたのではないか、というのが あります。 そんな閉園から98年も経った動物園なんて遺構はあるの?ってな感じですが、これがまたいくつかあるようです。 そのうちの一つが煉瓦アーチの檻です。全く信じられませんな… 情報を頂いたその日、雨のため休日となったので、早速現地に急行しました。 |
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カーソルは煉瓦アーチのある場所です。 箕面動物園は、現在箕面観光ホテルや箕面 温泉スパーガーデンに変わっています。 今回は煉瓦アーチがメインですが、他にも 気になるところがあるので、そこもチェックしたい と思います。 |
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まずは箕面滝道が箕面川を渡る場所にある 橋梁。 その名も「一の橋」昭和57年3月竣功 どうやら改修済みのようです。 |
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大正時代の一之橋の様子です。木橋かな? 下を見てみたかったですね。 |
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滝側から箕面駅方面。 ひなびた建物と橋梁がいい雰囲気を醸し出しています。 |
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橋梁は完全改修されています。 ぱっと見ですが、橋台も古いものではなさそう です。 |
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少し下流にある橋梁。 コンクリ桁ですな。 |
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対岸に何かしらの建物が見えます。 | ||
箕面取水場とあります。 取水施設はどこも厳重です。そりゃそうだわな。 |
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「名勝 箕面山」 「昭和二十五年災害復旧〜」 の石碑が。 この場所に当初の箕面動物園の入り口があった ようで、蓬莱橋という名の橋梁が架かっていた そうです。不老門も有名ですが、現在は影も形も ありません。 |
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時代の異なる遺構も存在します。 足湯施設(手前左の建物)から伸びるように階段があります。あれなに? |
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階段…の先に「いらっしゃいませ」の看板 階段の左には… |
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おおお…これは! そう、ケーブルカーの軌道です。 なんと延長100mという超短軌道ながら、ちゃん と箕面鋼索鉄道というかつての地方鉄道法に 基づく正規の鉄道だったそうです。 大阪観光の運営で1965年(昭和40年)10月1日 に開業、廃止は1993年(平成5年)7月30日だそ うです。老朽化が廃止理由のようです。 現在は代わりにエレベーターが設置されていま す。 |
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蓬莱橋に代わり現在の玄関である箕面川橋 奥に展望エレベーターが見えています。 そして橋の左手に、いいモノが。 |
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箕面川橋 どうやら先代の親柱のようです。 しかし「箕面」とは読めませんな… |
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みのおかわはし …と思われます。「みの」と「はし」しかわから ん… |
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アンダーです。現場ではあまり詳しく見てませんでしたが、このラーメン調の梁はどうやら木製のようです。 クイックさん、是非!川床にどうやって降りるんだって話ですが…(実は橋の下に階段があったりして…) |
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箕面川橋から下流を見ます。 いい感じに錆びた配管用のミニトラス橋が あります。 |
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さて、そろそろ主目的の物件にアプローチしましょうか。 1つ目の物件のアプローチは、廃物件にも関わらず容易です。右手の擁壁に隙間がありますよね…そこに… |
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階段があります。 ここを上ると… |
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ほら、すぐでしょ? どうやら好きに見てね、って感じのようです。 |
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岸壁にこじ開けられた穴に煉瓦巻きを施しています。 力学上全く意味のない施工のように感じますが… |
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ちょっといびつながら立派な3層巻きの煉瓦アーチです。 左半分に檻の扉が残っています。こんなほっそい扉で大丈夫なんですかね? 箕面温泉様のSNSに動物園の手書き地図が掲載されています。これによるとここに居たのは豹だったようです。 煉瓦アーチ内は寝床で、出た先を檻で囲っていたことが想像されます。 で、今更ですが、ここに蓬莱橋と不老門の表記がありますね。 |
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穿った穴に綺麗に煉瓦を積んでいます。 何故わざわざ煉瓦アーチにしたんでしょうかねえ。 |
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側壁はイギリス積み、アーチは長手積みと、 一般的なアーチトンネル構造をしっかりと踏襲して います。 |
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煉瓦アーチ部分は僅かで、すぐに煉瓦側壁のみとなり、そして岩盤素掘りで終点となります。 距離にしても5mもないぐらいの狭いものです。 しかし煉瓦アーチの寝床とは贅沢ですね〜 |
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内部から振り返り。非常に良い雰囲気ですね〜 |
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フラッシュで内側のアーチ環を捉えます。 アーチ環と側壁の接合部分が非常に滑らかで、センスを感じます。 |
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角度を変えてもう1枚。棲家にしていた豹にとっては結構快適な空間だったのかもしれませんね。 |
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折角なんでもうちょっと先を見てみたいと思い ます。 ちょっとお邪魔させて頂きました。 豹の檻からすぐ、あの箕面鋼索鉄道の遺構が 現れます。立派なものですが、やっぱり老朽化 してるんでしょうかねえ。 |
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およそ28年間稼働していたと思われる鋼索鉄道 ですが、見た目それ程老朽化は感じません。 |
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山下駅部分から上は非常階段と軌道のみとな ります。シースルー怖いですねえ。 |
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ちょうどかつて蓬莱橋と不老門のあった場所に 着ました。 右手に厳重封鎖の取水場があります。 左手の建物は完全に廃墟と化しています。 |
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えらいこっちゃになっています。 2階建てのようで、階段もありました。 ここの付近は不老門のあった付近ですが、これ は何の建物だったんでしょうか。 |
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廃墟からすぐ、今度は階段が現れます。動物園の地図通りですねえ。 しかしまだこんな場所が残されていたとは驚きです。 |
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振り返り。正面に取水場、右奥に廃墟があります。 |
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さすがにかなりガレてきています。 しかし何かの作動音はすぐそこで聞こえてきます。 |
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音の先はここです。 現在も何らかの設備として使用している模様 です。しかし動物園時代のものではなさそうです。 温泉関連の何かでしょうか。 でそのすぐ右上に鉄塔らしきものが見えますが、 そこに… |
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おお!?檻!???いや、違うか… それより奥!煉瓦アーチが見えています! |
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ありました。本日2本目の煉瓦アーチです。 再び箕面温泉様のSNSを確認してみると、ここに居たのは…熊!クマさんです。 クマさんの寝床にしては狭そうですが… |
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これも楕円ぎみの煉瓦アーチです。こちらは4層巻き。 内部アーチは補修されているようですな。 それにしても…上から崩れた巨大な岩が鉄塔の足とアーチ部に挟まれています。凄い状態です。 |
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非常に丁寧に組まれています。 動物園の檻にしとくには勿体ない… |
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側壁はイギリス積み。 アーチは薄くコンクリが塗られています。 で、その部分にブレーカーが… 動物園が廃止になってからのものだと思います が… クマさんが自分で電気のオンオフしてたとか(笑) 扉の開閉とか、面白いっすね〜 |
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内部です。やはり素掘りですな。 瓦礫がやたらと溜まっています。内部崩落というよりは、外から入れられたもののように感じます。 |
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一応内部からクマさん目線です。 この寝床から出た先に檻があったんでしょう。因みに今ある柵は設備を保護するためのもののようです。 |
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挟まった岩が恐ろしい… それでも今なお綺麗な煉瓦アーチを遺してくれていることに感謝します! |
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この先、上にいくともう少しだけ古い階段が続きますが、やがて現役施設に遮られて終了します。 振り返り。鉄塔の建っているいるところに檻があったんでしょうな。 煉瓦アーチ2基確保。これは予定通りです。 しかし、まだ気になるところがあるんですよね。探索時にはどんなものがあるのか知りませんでしたんで、発見時には 狂喜乱舞でした。それは何かと申しますと… 続きは 後半戦 へ! |