Get's ヘキサ
暗峠越え

 

 和歌山県紀ノ川市を縦断する県道62号線(泉佐
野打田線)別名粉河街道と呼ばれる当路線は、現
在新風吹トンネル建設真っ只中の県道62号線(泉
佐野岩出線)別名根来街道には遅れを取るもの
の、大阪と和歌山を結ぶ重要な県道の1つに位置
します。
 この県道には峠付近に、1974年6月竣工の「池田
隧道」が存在します。これより古い隧道が廃道の先
に存在する。。。。前から情報は得ていたが、漸く
探索の機会に恵まれ、行って参りました。

 旧隧道へ向かう小さな脇道から大阪方面の県道
を見ています。
 この脇道は普段はチェーンで封鎖されており、車
の進入は叶いません。(今回はたまたま早朝に訪
れて、チェーンはしてありませんでしたので、入っち
ゃいました。)
 不法投棄が多いようで、警戒のグッズが充実して
います。
 脇道入ってすぐ、真っ直ぐのコンクリ道と、右折す
るダート道に分かれます。
 真っ直ぐ進むと志野峠方面へ向かいます。(一応
向かってみましたが、狭い!3ナンバーではやばい
です。Y字路まで行って引き返しました。)
 今回の廃隧道へは右折します。
 右折してすぐ、使い古された簡易なコンクリ橋を
渡ります。

 橋を渡ってすぐ右を見れば旧道と思しき投棄物
まみれの廃道を見ることができます。
 当時はこの道が旧県道路であり、コンクリ橋は後
付けではないか、とよとと的には思いました。
 緩やかではありますが、確実に登っていきます。
 途中に木製ではあるが異様に新しい簡易橋が
ありました。どうも別の用途でこの旧道は使用され
ているようです。
ご丁寧な簡易看板が注意を促しています。

「車両による」ですか。。。では徒歩では行けます
よね???
 車両の終点です
 写真の右手に真新しい治水施設がありました。
 どうやら治水事業でこの道は使用されていたよう
ですね。
  
 で、終点と思いきや、先にかつて車道だったとは
思えない獣的な道が存在するんですよねえ。
 奥に進みます。道の半分は水流に侵食され、大
幅にへこんでいます。
 本当に信じ難い、事前に情報なければ絶対先に
進まないような道を進んで行くと。。。
 あった!

 一抹の不安を一気に消し去るあのお姿!
 旧池田隧道のお出ましです!
 総レンガ造りの1級品が現存してました!
 土砂と枯葉の流入により往時の坑口の大きさで
はないと思います。
 巻厚は3層で、要石らしきものはありません。
 3層のうち、1番内側のレンガが少し奥にずらして
配置されているところに特徴があります。
 胸壁レンガはフランス積みのようです。
 ピラスターはないものの、帯石笠石に至るまで
レンガ仕様であり、笠石には装飾的なレンガ配置
を取り入れています。(奥山田第二隧道、新和歌第
一隧道にも同じような装飾あり)
 アーチ部分は、全長のうち10分の1程度の崩落
消失箇所はあるものの、比較的よく原型を留めて
いるのではないか、と感じます。
 路面は未舗装ではあるが、水っけはなく、非常に
歩きやすく、他の廃隧道よりも状態はよいと思いま
す。
 やはり坑口は3分の1ぐらいは土砂に埋まってい
るようです。アーチ消失箇所から巻厚が見てとれま
す。
 少し手入れをすれば、「鐘ヶ坂隧道」のように管理
保全が可能と思えるほど綺麗なアーチを残していま
す。
 こちらは土砂の流入が殆どなく、鉄道隧道のよう
な、馬蹄型の坑口をしております。
 紀ノ川市側坑口。
!!扁額がある!嬉しいですねぇ
 こういったレンガ隧道に扁額がついていることが
少ないですし。
 だいぶキテいますが、肉眼だと「池田隧道」と読み
取る事ができました。
 す、素晴らしい!
 紀ノ川市側出口からすぐT字路になります。出て
左側は獣道的な道で、車両は昔から無理のように
感じます。
 出て右側が本通りであったと考えられます。
 その道も今や籔のトンネル状態で、もう少し行くと
二進も三進も全く進めなくなるぐらいの猛然とした
籔に覆われました。道は自然に還っておりました。
 それにしても廃レンガ隧道の中では、格も状態も

よとと的にはトップクラスの一品と感じました。