旧芝山トンネル



近鉄大阪線 大阪教育大前−関屋間


 

 
大阪府柏原市、大和川を縫うように東西に走る関西
本線大和路線。大阪天王寺と奈良を結ぶ基幹路線
として、毎日多くの車両が行き来しています。
 この大和路線にも廃トンネルが存在する。。。そんな
情報を得て現地にやって参りました。
 場所は柏原市の国分市場。小高い山を回り込むよ
うに流れる大和川に対し、大和路線はその小高い山
を突き抜けて通り抜けます。
 写真は、県道183号本堂高井田線から芝山橋を
渡った先にある芝山衛生センターの前です。
 この施設の道を挟んだ先に見えるものが。。。
 こちらが現役芝山トンネル。これが確か奈良方面
行きの下りトンネルだったと思います。当然上りの
トンネルもあります。
 やっぱし味気ないなあ。。。

 
 下りトンネルは206.01m(細かい!)だそうです。
 ここを登ると旧トンネルに行き着きますが、門は
固く閉ざされています。
 その旧トンネルは、下り現役トンネルの真横に張り
ついていました。
 頑丈な鉄格子で覆われたその素顔は、期待以上の
姿を見せています。こいつはすごいぞ。。。
 かなり装飾的です。さすがのかつての国鉄路線と
いうことでしょうか。
 笠石と要石には切石を使用、煉瓦仕様の帯石下部
には雁木(がんぎ)と呼ばれる斜め煉瓦配置を採用し
ています。
 うーむ、すごいですねえ。
 帯石は、上部から煉瓦4段、雁木2段、煉瓦2段、
煉瓦2段と、合計10段分の厚みが装飾的に配置され
ています。
 笠石と帯石の間を胸壁(むねかべ)というそうですが、
そこはイギリス積み、帯石より下部にはフランス積みと
異なった積み方を配しています。
 右側は現行トンネルでなくなっていますが、左側は
角のラインも見事に確認できます。
 雁木の角ってなかなか見ません。
 角の角です。角の角は裏側なんですが、手抜きが
全くありません。
 見えないところもしっかり手を抜かずに造りこまれる
旧芝山トンネル。
 素晴らしいっす。
 洞内のアーチはフル煉瓦仕様です。
 路面はコンクリート化しており、従来の姿は失われ
ています。
 とにもかくにも坑門の素晴らしさは分かりましたが、
厚い鉄格子で中までは確認できません。

 というわけで反対側に廻ってきました。

 このプレートガータの橋げたは、現役大和路線のも
のであり、右側は大和川、左手が当然芝山トンネル
のある方向です。
 橋げた右手からトンネル方向をみます。。。が。。。
 うーん、季節柄籔がえげつない。。。
 トンネルの姿は。。。見えるような見えないような。。。
 
 こいつは接近が困難ですなあ。。。。。。。。。。。
 。。。。。。。。。。。とかいいつつ、現行路線と同じ
目線の場所まで上がってきてしまいました。

 緑の電車は子供の時分から各駅停車で、冬場隙間
風が異常に寒かった記憶があります。。。まだ現役な
んですねえ。
 奈良方面側坑口と対面する橋は、第5大和川橋梁
というそうです。
 奈良方面側の坑口です。
 こちら側は古びた開閉式のフェンスがあるだけです。

 で、やたら坑門が広く、限界まで引いて撮っても全体
を写せません。

 ありゃ?雁木がありません。違いはそれぐらいです
が、雁木がないだけで、なんかイメージが相当変わり
ます。雁木の威力はすごい。
 大阪側と違い、旧の方が迫り出しています。しかも
坑門が広い!
 胸壁がフランス積みになっています?かねえ。反対
側はイギリス積みでしたが。。。

 迫石5層なのは変わりません。しかし雁木がなあ。。。
 きれいにアーチを残します。
 高さ結構ありますねえ。
 奈良方面側の景色です。
 といっても、まだ大阪の山中を抜けきっていません
ので、前面には山が聳えます。
 左にやや曲がっているからか、反対側の光は見え
ません。現役トンネルと同じぐらいの延長でしょうから、
200mぐらいだと思われます。
 退避坑です。。。
 何か後付っぽく感じるのは気のせいでしょうか。
 コンクリでできてますよねえ?
 いい色で残っています。
 部分的に白化するのは何ででしょうかねえ?蒸気
機関車とか昔は通っていたのでしょうか。
 をを!

 これこれ!これが純正退避坑でしょう!

 欠円アーチが3つ乗って、壁にはイギリス積み、
うーんこれですよ。いい!
 反対側の明かりが見えてきました。

 それにしても、なんかアーチに打ち込まれています
ねえ、アンカーでしょうか。。。
 うむ。鉄格子である。間違いなく反対側にやって
きました。
 。。。穴が開いてますねえ。。。

 地質検査とかに開けたんでしょうか。結構な深さ
です。
 大阪側の坑口まで辿り着きました。
 当然ですが、固く閉ざされています。
 大阪、奈良を結ぶ基幹路線に遺されたトンネルは、
凄まじい存在感で、しかしながら表にでることもなく、
静かにそこに存在しました。

 余談ですが、河内堅上駅〜三郷駅間には、かつて
亀ノ瀬トンネルというのが存在したそうです。しかも
初代と2代目の2本が。しかしながら、災害により結局
2つとも廃止され、大和川対岸に迂回するルートがと
られ、3代目トンネルは造られることがなかったよう
です。その初代、2代目はもう消滅しているそうです
が。。。残念ですねえ。

 
※朝おき太氏から情報提供あり、どうも工事中に
亀ノ瀬トンネルが偶然「発掘」されたそうです!
 一般公開も検討されているようですよ!