熊坂隧道


富山県


 

 富山県下新川郡入善町。この町は海沿いに位置
するため平地が多く、隧道、トンネルの存在する
余地がない。。。と、思っていましたが。。。
 ありました!1本だけトンネル表記を地図より
発見しました。
 入善町の南東、朝日町と黒部市に挟まれる位置
に標高およそ240mの舟見山があります。山頂に
には舟見城が古くからありました。今は憩いの
広場、舟見城址館などがあります。
 この舟見山の北側の先っぽ辺り。。。地図でご覧
になってすぐ分かると思いますが、ここにトンネル
表記がありました。
 
 国道でも県道でもなく、細い線で描かれた道に
挟まれたトンネル。。。一体どんなトンネルなんで
しょうか。
 やって参りました。場所は地図の通りです。
 西側のアプローチが分かりにくかったので、東側
の朝日町方面からのアプローチです。
 すでに国道でも県道でもなく、名も分からぬ町道
の分岐地点。
 地図ではここを右に入っていくようです。 
 右側の路線には林道標識がありました。
 林道「花房熊坂線」とあります。

 右手には「花房溜池」というのがあり、「花房」と
いう地名はこの辺りのことを言うようです。
 溜池からすぐ!
 あああ、いきなりダートになってしまいました。
 地図ではまあ、点線ですし、こういう不安があり
ましたが。。。 
 ダートながらもしっかりと固められたフラットな
道。特に点線道と思われる状況には至っていない
ようです。
 ありゃ?
 舗装が復活します。
 ダートである部分はそれほど長くはなかった
ようです。
 なんでここだけダート?
 緩い右カーブを辿った先で分岐します。
 こりゃもうそろそろやなあ。

 電子国土webシステムを利用してみました。(使い勝手はこれから勉強します。。。)
 赤玉が出発地点、上記の分岐地点が青玉です。
 分岐地点、右手の細道が、林道「花房熊坂線」
です。
 舗装や白線を見る限り、メイン道は手前から左
カーブに向けてのようです。

 。。。。。。。。。。。。。。

 しかし、なんか植生濃すぎではないですか?

 !!!!?
 ななななんだこれはぁ。。。
 一瞬何がなんだか分かりません。これ。。。トンネル???
 ありゃあ〜。。。

 入善町唯一のトンネルは廃隧道となっておりま
した。しかも完全封鎖っぽい。
 籔に覆われすぎで、全体像が分かりません
な。。。
 坑口直下に潜り込んでみると、うまい具合に
扁額部分が確認できます。
 ここで初めて「熊坂隧道」という名前であること
を確認しました。
 トンネル内崩落あり
 通行禁止 入善町

 とあります。
 まあ、ご忠告頂かなくてもこの封鎖の仕方なら
どうあがいても中には入れません。。。
 振り返り。。。
 アスファルト以外は緑しか見えませんな。。。
 内部です。
 全体がコンクリート巻きのようです。
 崩落は。。。確かに奥の方で崩落しているような
感じがしますねえ。
 この道幅、高さだったら、普通車でも通り抜けは
できそうです。

 熊坂隧道東側坑口
 最大限全体像を写す努力をした結果です。

 
 。。。では、反対側に廻りましょう。
 西側に廻ってきました。
 西側は周囲が開けており、意外とあっさり発見
できました。
 この、舟川を渡る「熊坂橋」の奥に熊坂隧道が
あります。
 この熊坂橋、竣工は1997年(平成9年)10月で、
比較的新しいです。
 奥の隧道も当時は現役だったのでしょう、その
為に造られた橋でしょうに、今は農作業以外で
渡る人は殆どいないのではないでしょうか。
 通行禁止の看板が出てます。
 恐らく完全封鎖前に立てられたんでしょう
ねえ。
 出ました!西側坑口!
 道幅が隧道に向けて一気にすぼんでいます。

 こちらははっきりとその面構えを拝むことができます。
 おそらく東側よりも坑門は立派であると思われます。

 で、実はこの隧道、例のトンネルリストや、全国隧道リストにも記載のない一品です。
 これでは竣工年度とかわからんではないか!。。。と思ったんですが、よおおおっく坑門を見てみると、扁額の他にも
文字が見えません?

 中央には「熊坂隧道」の扁額
 右手には「林道熊坂線」の文字
 左手には「昭和26年3月竣工」(判別しにくく、昭和26年ではない可能性もある。)

 「熊坂隧道」 1951年(昭和26年)3月竣工 延長不明(地図からのおおよそで160m程度)
 限界高、幅員 ともに不明

 
 以上が、現在判明している箇所です。
 入り口封鎖に関しては、平成13年ごろ、住民の意見(人が入り、危険)により実施された模様です。
 内部です。
 こちらもコンクリート巻きですが、ひょっとしたら
中央部は素掘りかもしれません。
 目一杯ズームで。。。
 やっぱり素掘りですねえ。ほぼ中心部で結構な
量の崩落が起きているようです。
 コンクリート隧道ではあるものの、坑門に3種類
の情報を入れている熊坂隧道。
 滋賀県の谷出山隧道松迫隧道を思い出し
ます。
 地元密着隧道として穿たれたのか、その情報の
一切を封じ込められた熊坂隧道。
 道路が綺麗なだけに、崩落場所さえ巻きたて
補修を行えば復旧可能と思われます。が、その
費用対効果に見合う利用者がいない、ということ
なのでしょうか。。。