(仮)高津気隧道


和歌山県


後半戦

  


 地図では間もなくのはずです。
 ちゃんと存在して頂けるのか。。。
 ぬぬう????

 道がなくなっとる!
 本来穴があってしかるべきの地点に穴が見え
ぬ。。。
 こりゃあ、消失なのか。。。?
 
 。。。なんてこった。。。

 おそらく間違いなく、隧道表記ポイントだと思う
のですが、姿がない。。。
 前方の山肌が崩れている感じがするので、
穴が塞がってしまったようです。。。

 残念ですが、とりあえず反対側に廻ってみます
か。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。んん???
 ああああああ!!!!

 なにげなくさらに接近してみると。。。。開いとる
がな!!!

 崩土にもめげずに僅かながらに穴が開いており
ます!間に合った(?)か!!
 穴場から振り返り。
 木漏れ日の中に薄っすらと残る道筋。。。
 そう遠くない所から車の走る音が聞こえてきま
す。ここには絶対にやってきませんが。。。ね。
 。。。さて、と。。。この現実とどう向き合います
かね。。。

 開いているのは僅かにこれだけ。。。くるまみち
史上最狭かもしれません。。。
 これは逝ったらアホでしょう。。。
 ま、まあ、取りあえず内部を覗いてみますか。
 うぬうううう。。。

 狭い区間が長いので手を突っ込んでフラッシュ
しても奥が写せませぬ。。。

 んんんんん。。。。。。。。。。。!

 ぬおっ!
 。。。ひいいいいいい。。。

 見てはならぬものを見た?かも???
 マグライトだけでは光量不足です。
 フラッシュを。。。
 ぬおおお、足元からすぐ水溜りやし!
 
 まだ空洞は残っていますが、満面の水、そして
土の堆積も半分ぐらいいってます。
 水面すれすれで撮影。
 結構奥まで続いているようですが。。。向こうの
光は見えません。
 やはり、地図は正確です。しっかり隧道が存在
しました。
 しかしこりゃあ末期も末期。。。もはや私では
手の施しようがない有様です。そう思わせた最大
の要因は、水よりむしろ堆積した土。泥濘と化し
た土が踏み込む長靴ごといくらでも飲み込んでい
こうとします。こりゃあかん、即座に撤退を判断
しました。。。無念。。。
 完全に人一人分しか口を開けていません。
 今までで最も狭い坑口であることは間違いありま
せん。
 しかしながら、そんな苦労も報われず、1mと進め
ずに泥濘の海。。。
 ぶはっ!

 入洞わずか数分であえなく撤退。ああいう
パターンはほんま危険です。

 仕方ない、今度こそ反対側に廻ってみますか。
 で、またしても安易な方法に出ます。そう、直登。
 鞍部までがけっこう緩斜面に見えたので、いそい
そと登りを開始します。

 
 。。。しかし、トンネル掘るぐらいですから、そんな
甘いわけありますまい。。。
 何とか鞍部を越え下りに転じると、山の雰囲気
が変わります。こちらは竹林になっていました。
 斜面も緩やか、雑草の生長も殆どなく、人が手を
入れている感じがします。
 むおっ!?

 穴が開いとる!?
 見事にぼっこり陥没していますが。。。炭焼き
跡とか?
 廻り込んでみると、おお!人工的な石積みが。
 切り込みもあるし、焼き場のような所だったよう
です。
 そこからすぐ、道筋が現れました。山肌に沿う
ように伸びる道。
 山肌と道を挟んで反対側には田畑と、古民家の
姿も見えます。
 恐らくこの辺に出てきました。
 地図には道がありませんが、実際には存在
しています。
 上の地図の通り北側に向かいます。
 おっ!

 きたな、分岐点。
 まだ山肌は右手にあって開けようとはしていない
のに、右手に道が伸びています。
 これは臭うぞ!
 いざ右へ。。。
 うむ!間違いないぞこの光景。。。しかしまたも
穴が見えん。。。
 また近付いたら穴見えるやろ。。。なんて思って
いましたが。。。甘かったです。
 こいつは相当の延長が崩落している感じがし
ます。そう、5、6mくらいは。。。
 崩落したところから竹が生えているので、結構
な時間が経過している模様です。
 崩落地点から振り返り。
 これ、あきらかに車道規格ではないですか?
 この均された路面、左右の法面ともに、人の手
で成された物に間違いないでしょう。
 そして、隧道があった場所もここ以外は考え
にくいです。
 掘れば穴が出てくるかもしれませんが、さすが
にそこまでは。。。
 残念ですが、こちら側は完全閉塞です。

 高速側も殆ど埋りかけですので、もう闇に閉ざさ
れつつある隧道であることは疑いありません。
 で、戻るわけですが、ただ直登しても面白くあり
ません。実は上部に迂回するような表記が地図
にはあります。
 そこを辿って戻る事を考えます。
 あの隧道想定地からの道はどうも狭い。。。
 右手の斜面が崩れてこの状態になったので
しょうか。。。?
 分岐と思われる場所まで来ましたが。。。
 うーん、どうやらここまでずっと人道ですねえ。
この分岐地点はどうひっくりかえっても車道になり
えません。
 奥側赤線からやって来て、青線に入るのが分岐
のようです。。。

 あの隧道前の車道のような道幅は、地図に
載っていない南側に伸びている方向へ続いてい
たと思われます。
 青線を進んで行くと、急激に勾配がついてきま
す。よく足元を見ると石が敷いてあったような跡
が見てとれます。
 人道として以外はきついと思われる急坂を
登ると。。。おう!切り通しの鞍部に辿り着きま
した。
 あの隧道の旧道ということになると思うのです
が、こっちの方がかなり状態が良いです。今でも
通る方がいるのかもしれません。
 廃道ではないと思います。
場所はこの辺かと。。。
 おお?

 こちら側はなんと石畳の階段となっております。
 後付っぽくはなく、昔から石畳だったような感じ
です。
 振り返るとその石畳っぷりがよく分かります。
 完全に現役風味を醸し出しています。
 んんん?

 変わらずの石畳階段ですが、無数の竹がひっか
けのように横たわらせてあります。
 なんだこりゃ???
 トラップ竹をぴょ〜んと飛び越えつつ、下ってきた
先で、車の走る音が大きくなってきました。
どうやら高速道路が近くなってきたようです。
 フェンスも見えてきましたしね。
 うおっ、アンダーパスがある!
 行きは気付かなかったけどなあ。横たわる竹は
初めて見るし、隧道前のアンダーパスとは明らか
に違います。

 ここどこ?
 こんなアンダーパスにも横竹さんが。。。
 うーん。。。2輪車避け???
 通過後のカルバートトンネル。ここも昔は旧道
が通っていたんでしょうねえ。
 アンダーパスから90度直角右折してみると。。。
見覚えのある光景が。。。
 なるほど!
 あの行きしなに、高速上に出るのでは?と
思っていた階段です。
 こう繋がっていたか。。。
 高速ができて、道筋も大分変化はしているもの
の、その道は途切れることなく隧道まで伸びて
おりました。
 この隧道と、峠道はかつて、南北にある長野川
と狗子ノ川沿いの道が車道として存在しなかった
頃の基幹道路だったのではないでしょうか。
 かつては高津気地区の住民が盛んに行き交う
道であったのかも知れません。