旧児野トンネル



山陰本線 上川口−下夜久野間


 

 数多の旧トンネルを残す山陰本線と福知山線。
 ここをクリアすると、他に山陰本線では旧トンネルの存
在を確認しておりません。
 京都府は福知山市には東西に走る大動脈の国道9号
線が走っています。国道は牧川という河川に寄り添うよ
うに走っており、山陰本線も同様に連れ添っています。
 市内の夜久野町には国道9号線の夜久野隧道が存在
し、それに平行するように鉄道の児野トンネルも存在し
ます。この児野トンネルの旧トンネルは、下夜久野駅方
面からの車窓からは見ることができ、その存在を知って
いる方も多くいらっしゃると思います。
 で、写真の場所は、トンネルの東側に位置する味のあ
る煉瓦橋梁のたもとです。
 その橋梁からちょっと西側に進むと、すぐに現行路線の
トンネルが口を開けている場所に辿り着きます。

 現行児野トンネル。延長322mだそうです。
 珍しく銘板がありました。
 竣工は昭和61年1月23日。
 旧トンネルは60年に入ってからも使われていたので
すか、すごいっすねえ。
 雨模様のどんよりとした空、雨で濡れた草木の真ん中
を遥か彼方まで一直線に伸びる線路。。。単線なんです
よねえ。。。山陰”本線”ではありますが。。。
 いい景色です。
 現行トンネルから右に目をやると、枯れ草に覆われつ
つも、掘り割りのようなスペースがうっすら見てとれます。
 当然この先に待っておるのでしょう。。。
 おっと、足元に遺構を発見!
 路面下に水路を通しています。石組みがまた良い具合
に残っています。角が丸くされている辺り、水流に優しい
設計という感じがします。

 そこからもうあっという間です。
 えらい刈り払いされて歩きやすいな。。。と思いながら
ふと正面を見ると、坑門が見えました。
 えらく見通しがききます。
 振り返ってみますと。。。
 ホラ。。。この空間だけぽこっと。。。ミステリーサークル
ならぬミステリースクエアって感じです。。。古いな。。。
発想が。。。
 気を取り直して。。。坑門です。
 うわー。。。びっしりまとわりつかれてますね。。。

 夏場だと完全にその姿を隠してしまいそうです。
 これまでの山陰本線旧トンネルと全く同じ構造で、煉瓦
一色です。
 胸壁は苔むしはじめています。
 意外とここまで侵食されている坑門はあまりありませ
ん。
 巻厚5層で損傷も見当たらず頑丈そのものに見えま
す。
 さて、内部です。
 暗闇の奥、かすかに光が見える気がします。
 方角的には東口にあたる坑門の廃景。
 日当たりは良さ気ですが雨模様であるが故か、少し
薄暗い印象を受けます。
 踏み固められたようなバラストは足場に安定感を
もたらしています。枕木の跡は見ることができません。
 同じ構造の退避坑ですが、水の流れによる変色が
著しいです。
 。。。。。。。

 コードが残っています。。。珍しいですね。。。
 まさか現役ではないでしょうが。。。
 水のスジがすごいですねえ。。。
 相当継続して滴っている感じです。雨降っている時だ
けではない気がします。
 先程のコードがバラストにもぐりこみ、出口に這わされて
います。。。現役チックやなあ。。。
 両サイドにコードを這わせ、枕木跡と思わせる波だった
バラスト。。。西側坑口間近です。
 西側坑口に辿り着きました。
 坑口左手には擁壁が見えますが。。。さて?
 振り返ってみると、やはりこちらからもかすかに反対側
出口の光が見えます。
 そうです、左の擁壁は現役トンネルのものでした。
 本当に近接してますね。
 西側坑口も立派な煉瓦トンネルの姿を残しています。
 枯れ蔦の雨がすごいです。夏場は全体像は拝めない
のではないでしょうか。
 親子トンネルのお姿です。夜久野トンネルもこんな
感じやったかな。。。定年退職の親父さんは息子の脇で
ひっそりと余生を過ごしています。
 別アングルをもう1ショット。
 息子さんは都会的(コンクリ建築世代)やなあ。。。親父
のようないぶし銀さが少しでもほしいよな。。。
 おまけ。
 西側坑口から少し進んだところにある架道橋。
 こんな小さなお姿ですが、しっかり煉瓦されています。

 児野架道橋という名前です。
 反対側に行くとやっぱりコンクリです。竣工年度は
こっちのでしょう。
 そらそうやけどなあ。。。
 こんな遠くからでも見える旧児野トンネル。
 複線化することがあれば復活できそうな位置関係に
ありますね。(雨漏りひどいですが。。。)