(仮)恋路隧道


石川県


 


                       2013年8月訪問

 恋路隧道。。。といえば、のと鉄道能登線のトンネル、「し(いろはの通し番号) 恋路トンネル」が有名です。
 また、恋路駅が観光スポットとしても能登線の中では有名だと思います。
 
 。。。が!今回ご紹介する物件は鉄道トンネルではございません。
 「別の」恋路隧道でございます。ただし仮称です。同じ石川県能登町恋路にあるのでそう命名させて頂きました。

 で、その物件ですが、偶然発見したわけではありません。偶然発見できる代物ではありません。さるサイト様の能登線関連の
記事で少し触れていたのを目にしたからです。
 写真はなく、地図でこの辺とだけ分かっていました。目指す物件は石造りとか!?こりゃえらいこっちゃですよ。

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 8月のお盆休み。
 恒例の富山帰省に伴い探索する機会が訪れ
ました。
 当日道の駅赤神から海岸線を中心に能登を
半周、後半に差し掛かった所で問題の恋路地区
にやって参りました。
 事前調査ではどんな地図にも載っていなかった
隧道表記。一体どこにあるのか。
 当然ゼンリン地図にも隧道表記がありません
でしたが。。。
 結論、「ここ」です。ここに至るまで大分徘徊
しました。。。怪しすぎる。。。
 当初、隧道であることもはっきりと分からず、
石アーチの橋梁とも考えていました。
 恋路海岸南側からひょっこり突き出る尾ノ崎
という小さな岬。ここは小高い山になっており、
車道は海沿いを迂回しています。
 ただし、地元の道はこの山の上にある民家の
ために小さな山越えルートの道を付けています。
 山の尾根は平たくなっており、尾根という雰囲
気ではなく、集落の中という感じです。
 迂回車道から隧道は見いだせず、山越えルート
を探索します。
 。。。なんもない。。。石橋でもあるかと思った
んですがそれもなし。ええ?私の見間違いなんだ
ろうか。。。と思い始めます。
 うろうろしているとお社に辿り着きます。

 
 恋路伝説のある、恋路観音堂だそうですね。
 こんなひっそりとしたところにあるとは。。。
 でもお堂含めて周りも結構手入れされていま
す。
 。。。すんません、あんまり興味もなく、お堂か
ら降りる木製階段があったんでそこを下りまし
た。
 降りた場所は坂の途中。
 山上にある集落に繋がる里道です。
 
 ここから降りてきました。
 ちゃんと恋路観音参詣道という案内板がありま
す。
 草刈はされてるものの、道は大分古い印象を
受けます。
 里道の木製電柱にも昭和の匂いをプンプン
させる看板が。
 「縁結び 恋路観音堂 恋路伝説碑」
 とあります。

 。。。そういえば、えらく背の高い木製碑があっ
た気がします(←ヲイヲイ)

 こんだけ探しても見つからんということは、私のネットで見間違ったんだろう。。。と思う事にし、この山の反対側に
停めた車に向かうために山上集落に向かう里道をとぼとぼ。。。
 とぼとぼ。。。。とぼと。。。
 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
 。。。。。。。。。?
 久しぶりに脳内隧道センサーがけたたましいサイレンを流します。。。。。。。。。。。。。。。
 右側の道は山上集落へ向かってるのは疑いのない所。ミラーもそっち向けに設置されており、それだけだとなんの問題も
ありません。
 。。。
、この民家の擁壁を挟んで左側。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。匂う。。。。。。。。。。。

 うぬぬぬぬぬぬぬ。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。!!!?
 激しく妖しい!!!!!!
 一応舗装されとる。。。右の里道は上に、後方は下に、で、この左は水平。。。ってことは? 

 でやがった。。。。。。
 これは石アーチ橋梁とかではなく。。。。。。。。。。がち
隧道だ。。。。。。。。。 
 振り返り。
 里道は線形的にはこちらの道を本線とはしない
感じになっています。
 しかし分岐道としてなら違和感はありません。
 完全にアーチになってます。
 問題は貫通してるのか?って所ですが。。。

 完 全 貫 通 !
 右側の擁壁の圧迫感が凄いですが、兎に角完全に開口しておりました!こいつはすごい発見だ!!! 
 完全なる隧道の体を成しています。
 測量はしてませんが、恐らく軽トラとかなら潜れ
そうです。
 で、側壁は恐らく後年補強工事されたのだと
思われます。
 それでも埋めてしまわないってことは、この隧道
って現役?
 道を見る限りそんな風には見えませんでした
が。。。

 そして内部がさらに衝撃。。。

 ぐお!?
石アーチか!!!?
 ネット情報に間違いはなかったようです。これが言われていた物件に間違いありません。
 振り返り。
 左側の側壁がない当時は車両も進入していた
かもしれません。
 今でも歩行者や自転車、単車ぐらいまでは通行
するのかもしれません。なんせ岬を迂回せず、山
を登らずに通過できるんですから。
 地元の方々にとってはまだまだ現役隧道なの
かもしれません。
 部分的にコンクリート補修がされています。
 ということはやっぱり下地は切石。。。?
 でも質感が。。。コンクリブロックっぽい。。。
 じっくり観察。。。 
 。。。。。。。。。。。コンクリブロック、だな。
 何度も石積みの可能性を探りましたが、どう
見ても混ぜ込みの多い旧式のコンクリブロック
です。
 惜しい!!!
 隧道路面はアスファルト敷きされています。
 完成から随分手入れはしてきている印象です。
 反対側の坑口まですぐです。20mもあるかな?
という延長です。
 入ってきた坑口が北側。よってこちら側は南側
坑口ってことになります。
 見るからに車はもう何年も走ってない感じで
す。
 目地やコンクリブロック本体にもこまめに修復
作業の手が入っています。
 こちらの法面はあまり手を入れられていない
ようです。

 それでは南側坑口をご覧いただきましょう。

 お見事!
 北側坑口はアーチ環の迫石部分のみ生きていましたが、こちらは坑門が生きています。
 これぞ隧道!という趣です。

 引いて撮影。
 うむ!いい廃景(いやまだ現役か)だ!最高の存在感です。 

 さらに引いて撮影。
 うーむ、何度見てもいい!どこの林道隧道だよ!?ってなかんじですね。うふふふふふふ。。。
 坑門はしっかり布積みで形成されています。
 アーチ環の迫石をご覧ください。
 荒石混ぜ込みのコンクリートブロックというのは
確定だと思われます。
 坑門のブロックも然り。
 切石隧道では残念ながらありませんでいたが、
それでも立派なコンクリブロック隧道!
 ネット界でその姿を見なかった隧道がまた一つ
明るみになりました!
 要石らしきものは挟まらず、迫石のみで形成
されています。
 さらにその上部には坑門は存在しません。
 よって扁額的なものもありません。
 

 再度洞内のお姿を。。。
 もう切石隧道でいいや!って思ってしまうほど美麗な洞内です。
 南側坑口付近では剥離防止の為、鎹(カスガイ)
が打ってあります。
 ここまで丁寧に原形を保ちつつ修復されている
隧道も珍しいですな。
 南側から脱出します。
 ここも完全に廃道にならず、林道然とした雰囲
気に留めています。
 やはり人が歩くのでしょう。
 さっきの雰囲気からは想像できないぐらい早く
民家が出てきます。
 アスファルト面もはっきり。
 草刈りされてますが、民家に人が住んでいる
雰囲気はありません。

 民家から先の路面は手入れされていません。
 が、隧道の姿は確認できますな。
 往時はここの住民が中心に、この隧道を行き来していたのかもしれません。
 民家を横切った道は右に折れて下り、現役
車道に合流します。
 振り返っておきましょう。
 草刈は最近された感じですね。
 南側の分岐点です。
 私はこの右側の車道に車を停めてました。
 まさかこんな所から出てくるとは。。。

 ひょんなことから得られた情報により、大きな
発見を得られました。
 これからも現役隧道として頑張って頂きたい!