春日野隧道


福井県

後半戦

 


                        2008年5月初訪問
             2019年8月再訪

 暗渠に大分時間を費やしましたが、いい加減隧道に
向けて歩き出さんとな…

 …と言いつつ、春日野道南側は現役で使われている
林道のようで、普通車でも全然入っていける道でした。
 …ちょっと拍子抜け…
 車道規格の林道をぽてぽてと…。特に写真を撮る所
もなく、2km余り…
 分岐が現れました。

 左への道が現役林道としての続きのようです。
 春日野道は右手のようです。
 分岐から一気に廃道感が増します。
 やはりな…

 で、左前に…
 無残な姿となった通行止め看板…
 「武生側出口付近にてほうらくのため、この先通行止
め」でしょうか。
 そこからはすぐでした。
 杉、ヒノキ林の間に開けた空間。夏場でもそこまで鬱蒼
とはなってないです。助かりました。

 笹藪の海に沈む春日野隧道、11年ぶりの再会です。
 懐かしさよりも初めて会うような新鮮さの方が勝ります。感動-

 崩壊している様子は一切なく、もう何十年もこの姿でここにあるのですね…

 少し全体が見えるように手入れしました。
 やはり破損は一切見られません。強いですね~。11年前の写真がロールオーバーで出ます。
 金ヶ崎隧道と基本的には同じフォルムと言って良いの
ではないでしょうか。
 半卵形(釣鐘形)が特徴的です。
 ただ石材の加工なのか元なのか、が違う感じもします。

 まあでもどちらにしても立派な坑門であることに変わり
ありません。
 賛 化 阜 財

 とあるそうです。
  明治十九年十二月
 正二位勲二等源慶永


 とあるそうです。


 源慶永は福井藩16代藩主であった松平春嶽です。
 たたきで整形された要石と迫石が緻密に積まれてい
ます。
 扁額とセットでいい雰囲気です。
 内部です。金ヶ崎と同じく煉瓦アーチ。
 土砂さえ浚えば現役で使えそうな感じがします。
 
 振り返り。
 やはり坑門前の亀裂はできてしまうんですよね…
 白華が目立つ洞内ですが、時折綺麗な煉瓦色を見せ
てくれます。
 北に向かうにつれて側壁が顔を出してきました。
 側溝らしきものも見受けられます。
 そしてそのまま北側坑口に。
 こちらは結構べちゃべちゃです。
 まあでも初訪問時は浸水していたので、だいぶマシで
すかね。
 というか、排水作業の跡があるような…
 …うーむ…
 この筋は排水作業で付いたものなのか…?
 どちらにしても比較的歩きやすくて助かりました。

 そして、北側の坑門は無事なんだろうか…
 出てすぐ見上げると…

 おおお…

 意外と10年前と変わらない気が…
 扁額の上の隙間には見覚えがあります。ここまで耐えていてくれてありがとう…。できればこのままでいて下さい!
 これは2008年5月の映像です。
 どうですか、何度じっくり見ても切石は全く動いた様子
はありません。
 左寄りの穴は埋まってしまったようですね。
 …しかし何度見てもよくこの状態を維持してますな…
 右側は損傷が殆どなく、ピラスターの全容もしっかり
捉えられます。
 特に煉瓦や切石の隧道暗渠で見られる坑門付近の
ひび割れ。
 被っている地山の塑性圧による変状と思われますが、
これはなかなかどうにもならんのでしょうねえ。
 現役で使うにはやはり厳しい…ので、酷い坑門はコン
クリで巻きなおしになっちゃうんですよね…
 ヒビ補修のみで済めば煉瓦さんが消滅することはない
のですが。難しいですねえ。

 全容です。北側の方は土砂流入が殆どなく、水も抜けているので往時の道床に近い状況を見られているのではないでしょうか。
 左上の損壊を除けば、以前訪問時のイメージよりもずっと原型を留めている感じがします。
 素晴らしい一品!
 北側の引き画像です。
 で、この看板なんですが…11年前は南側にあったよう
な…。北側には、以前の写真を見る限りありません。
 南側にこの看板の姿がありました。
 …まあどうでもいいかな(笑)
 11年ぶりに再訪できてよかったです!
 
 で、戻ってきて、この①②二つの隧道表記があるのを
思い出して、行ってみました。
 ①の隧道が見えてきました。
 見た感じは最高のシチュエーションです。
 しかし自然の河川に隧道など有り得ないので、何らか
の理由で隧道にする理由があったのでしょうが…

 私は国道開設によるものと推察します。
 当時河川は国道開設ラインに湾曲していて、橋梁等
で対応するよりも河川の線形を修正する手法を選んだ
のではないか、と。
 国道を築堤にして河川を埋め、河川は国道と並行に
させるために隧道を穿ったとか…
 
 何の資料も見ずに勝手に推理してるので、まあ聞き流
して下さい(苦笑)
 
 その推論は自らの期待を裏切っている訳ですが…
 案の定…
 ライナープレートによる管になっておりました。
 …ですよねー…
 諦めきれずに抜けてしまいましたが、最後までライナー
プレートの管でした。
 ①と②の間には謎の簡易な水門?が…
 どうやら、簡易な揚水設備のようです。
 ②の隧道が見えてきました。
 こちらはコンクリートっぽいですねー
 ふむ、コンクリっすな…
 内部は…
 欠円タイプのコンクリアーチ隧道でした。
 結局最後までコンクリのまま。
 
 期待した隧道ではありませんでしたが、何だか楽し
かったです。