旧東海道本線 静岡県焼津駅〜用宗駅間
その2
2016年1月訪問
この護岸に開いた小さな四角い穴、そこにまさかの東海道本線、石部トンネルの横坑を確認。 今回はその上に乗っかる巨大なコンクリの構造物、車道用の洞門の探索を行います。 しかし結構上にあるな… |
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足場をなんとか見つけて東側からの接近に成功。最初の洞門に近づきます。 |
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石部第三洞門 昭和四十年九月竣功 洞門は順番に並んでいるわけではなく、東から 第三、第五、第一、第二、第四、石部隧道…と 続いているようです。 造られた箇所から順番に名称が付いたようです。 |
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昭和40年竣功の第三洞門。瓦礫に埋め尽くされてはいるものの、洞門の状態は見た目にはいいように見えます。 |
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振り返り。この土砂はやはり崩落土なんでしょうか… |
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消波ブロックまで洞門の中にあるのが謎ですが、雰囲気の変わる次の洞門には瓦礫がありません。 |
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一気に即席感の出る洞門…そう、これが第五洞門… 先に出来たであろう第三洞門よりも随分頼りなさげです。 |
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剥き出しの鉄骨、古びたガードレール… 第五洞門は、何らかの緊急事態により急造されたものではないでしょうか。 |
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振り返り。第三洞門との違いは歴然です。 |
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第五洞門から海上橋を望む。 |
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そしてそっきから気になっている、おびただしくぶらぶらしているワイヤーみたいなもの。 これは鉄骨の梁を×字に補強するワイヤーではないでしょうか。それがことごとく弾け飛んでいる…ということは… 天井部に相当な荷重がかかり、偏重をきたしているのではないでしょうか。 ということは、いつ圧潰してもおかしくない…恐ろしや… |
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天井部はこのような状態です。かなりの堆積です。それ以上に崖側からの偏圧が酷いのではないでしょうか。 そしてここで途切れているように感じる第五洞門ですが、実はここから最も古い第一洞門まで隙間なく洞門が続いていた模様 です。ということはこのすっぱり切れた洞門は、災害後に切断した、ということでしょうか。 |
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途切れた洞門から上空を見上げます。 絶壁にはコンクリ吹き付けの補修がしてあります。一体どうやって施工したんだ…命がけです。 しかし、この絶壁が崩れたのか…想像を絶する大崩壊だったんでしょうね… |
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少し洞門のない瓦礫の山を乗り越えると、このように無残な姿になった洞門の遺構が。 この上を歩いてきての振り返りです。 |
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少し隙間が残っています。 覗き込むと…やはり洞門の天井部分ですね… |
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凄まじい圧潰です。 野太い鉄骨が捻じ曲がっています。 |
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筆舌に尽くしがたいですね… 崩落事故から44年と半年程…今でもその爪痕を残します… |
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そこから一号洞門までは瓦礫の山で、洞門の姿を見ることができません。 最後の崩落からかなりの年月が過ぎているようで、植生がかなり多くなっています。 |
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ここが大崩落の絶壁ではないでしょうか。長い間新たな崩落は起きていないように感じますが、瓦礫の一つや二つ、いつ 降ってきてもおかしくありません。慎重かつ足早に歩を進めます。 |
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足場を選びつつ慎重に前進。第一洞門のそばまで何とか辿り着きました。 何だか趣向の凝った洞門が現れます。 |
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石部洞門 昭和拾八年貮月竣功 とあります。 1943年(昭和18年)2月竣功。 なんと戦時中の竣功です。 それ程の基幹路線だった証でしょうか。 |
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第一洞門内部…すごい…何か言いようのない感動がこみ上げます。 なんという廃景でしょうか。不謹慎なのかもしれませんが、美しい… 先の先まで見通せる瓦礫の少なさもこの廃景を際立たせています。 |
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振り返り。多少の瓦礫の流入がありますが、第三、第五洞門のようなことにはなっていません。 |
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洞門の柱は悉く鉄骨が剥き出しになっています。瓦礫の流入が少ない第一洞門ですが、やはり天井部への荷重はかなり かかっている模様です。その圧力に耐えられず、柱のコンクリートがまず剥落、次いで鉄骨も剥離し始めています。 いずれ座屈現象で柱が押し潰され、洞門自体も崩壊するのではないでしょうか。 |
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第一洞門から海上橋を望む。 |
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第一洞門、反対側まで楽に歩いて来れました。 | |
第一洞門振り返り。ぱっと見では第五洞門よりも安定感があります。 しかしながら、海側の柱はもちろん、山側の擁壁下部にも相当な損傷がみられます。想像を絶する荷重がかかり続け、 潮風を浴び、見た目よりもずっと痛んでいるものと思われます。 あと何年この姿を拝めるのか… |
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西側の第一洞門の坑門。コンクリート造ながら気合の入った意匠を施してあります。 戦時中とはいえ、威信をかけて造られたものと想像できます。 |
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同じですが、こちらの扁額も。 こちらの方が竣功年度が分かりやすいです。 |
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少々後退。やはり海上橋とのコラボが美しい… |
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元の進路に振り返ると、次の洞門が現れています。 こちらはかなり埋没しています。 |
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石部第二洞門 扁額確認。こちらには竣功年度の記載がありま せん。 これで、第三、第五、第一、第二の洞門を確認 できました。 |
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短い第二洞門。内部は意外と空間が残されていました。 しかしながら両サイドからの土砂の流入が激しいです。 |
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振り返り。 東側は新たな土砂流入は止まっている模様 です。 |
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しかしながら西側は絶賛流入中のようで、9割 以上埋没しています。 |
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この有様です。扁額が辛うじて露出していますが、時間の問題です。 今立っている場所から2、3歩で洞門にタッチできますが、そこが一番ヤバイです。 斜面の上を見ると、ずっと先から崩れてきているようで、まさにタイムリーに崩れている感じです。 |
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早々に退散… 廃洞門群は一応これで全て見ることができまし たが、現役洞門の裏側の斜面に謎の穴があると のこと。 それを探します。 |
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で、発見したのがこれ。 ええええ!?こんなちっさいの!??? |
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内部を覗くと…やっぱりここだ… 入り口の狭さとは裏腹に、コンクリで囲まれた異様な空間が広がります。 |
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異様な空間は左、石部隧道方面に伸びています。 土砂が相当溜まっており、この辺は四つん這いでないと進めません。 |
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振り返ると、ここだけ岩盤が露出しています。 |
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モルタルで覆っていたような痕跡があります。 | |
進んでみると、空間が広がります。 |
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?????なんだこりゃ??? 謎の巨大空間… |
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行き止まりです。ほんまになんだこりゃ???です。 |
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…うーむ…さっぱり分かりません。 ここは旧道で言うと、石部第二洞門と現役石部隧道の間と思われます。 実はこの位置には石部第四洞門があったようです。しかし、旧道は右側の擁壁よりも外側にあった感じです。 ので、これは第四洞門の遺構ではないように思います。洞門ぽくないですしね… ただ、右側の擁壁が洞門の山側部分かもしれません。 ということはここは第四洞門の背中と山肌の隙間???二重で擁壁があった、ということ!?真相は分かりかねます… そんなこんなで旧車道洞門遺構群の調査完了! 次回は第二の横坑に向かいます! 以降 その3 に続く! |