(仮)不動坂トンネル


高野山森林鉄道(和歌山県)


その4

 

 電動機式のトロッコが通らなかった、と聞いて
いましたが、想像以上に広い空間を有する不動
坂トンネル。
 見た感じ拡幅はそんな難しい地質には思え
ませんのにねえ。
 反対側までやって参りました。
 こちらも土砂の流入はあるものの、まだ3割
程度開口しています。
 今来た洞内を振り返ります。
 対岸の坑口は、光が僅かに届くほどしか開口
していないことが分かります。
 (季節違い写真)
 反対側に出ました。
 軌道の行く先が完全に途絶えていることが
一目で分かります。ここが終点なんでしょうか。
 今出てきた坑口を振り返り。。。
 対岸の光は殆ど認識できません。
 崩落も激しいので、いつ両側とも閉塞して
しまっても不思議ではありません。
 トンネルを出て右手を見ると、お堂があります。
その先には舗装された道も見えます。

。。。ってことは。。。

こっちから来ればよかったんかーい!!!
と一人で突っ込みを入れてしまいました。。。
あの苦労は何やったんや。。。
 。。。気を取り直して。。。

 こちら側の坑口は、どうやら右側を中心に
崩落しているようです。
 天井部分も結構崩れているため、このような
状態になっています。

 
 さらに引けばこんな感じです。
 実際の坑口はもっと下方にあったはずです。
 坑口の反対方向は、こんな感じで行き止まり
になります。
 一見して終点なのですが。。。
 
 実は、まだ先に手押し牛曳き用の軌道が続い
ていたようなんです。
 えっ?どこへ?という感じですが、この写真で
いえば、丸太の転がっている先にトンネルが
あったそうなのです。いわゆる2号トンネルです。

 実は1回目の探索ではその情報を知らずに、
ここが終点だと思っていました。
 しかし追調査では確かに存在したと。。。確か
にその方向は何か窪んでいますし、埋められて
いるトンネルが存在しても不思議ではありませ
ん。
 とりあえず、一旦石畳の道に脱出しました。
 車道ではないようです。(しかしながら一応
この場所まで車で入ることは可能です。)
 あの杭2本の石畳道の先は、南海高野線の
極楽橋駅まで続いています。
 高野山ケーブルを使わずに歩く人用に整備
されています。
 この石畳の道を「不動坂」というそうです。
 反対方向です。急勾配の登りの石畳道で、
ここも人道のようなんですが。。。
 何と驚きです。ここから先は県道なんです。
県道118号(高野橋本線)として現役です。石畳
県道なんてのはあんまり聞きませんねえ。
 この県道118号線は、名前の通り橋本市まで
の路線ですが。。。実情はブツ切り路線でいたる
ところでブツ切れになっています。あの神谷トン
ネルで紹介した地図にもこの路線の切れ端が
登場します。
 お堂の全景です。
 このお堂は「清不動堂」(きよめふどうどう)と
いうそうです。正式には「外不動堂」(そとのふど
うどう)という名称らしいです。
 その真新しい概観通り、昔はここに建っていた
わけではありません。
 現在の石畳の不動坂は新設で、かつては
四十七曲りの九十九折りの坂を持つ旧不動坂
が存在しました。その旧不動坂にあったお堂を
現在の地に移設したそうです。

 トロッコ軌道のまん前に移設できたのは、ここ
が荷降ろしの場所ではなく、第2トンネルで先に
向かっていた証拠ではないでしょうか。
 
 バス専用道と県道118号線分岐地点の看板から、地図を確認しましょう。
 現在地は清不動堂です。右手へは極楽橋駅。左手へは女人堂を通過して高野山に入ります。

 もう少し詳細に見るとこんな感じでしょうか。第2トンネルは、ちょうど県道(不動坂)の下をくぐる形で存在したのでは
ないでしょうか。
 先ほどの県道側の写真から斜め右を見ます
と。。。少し入り込めそうな空間が広がっていま
す。
 早速入ってみましょう。
 右手には名も知れぬ小川が流れており、すぐ
左手上を不動坂が登っていきます。
 この真っ直ぐのが軌道跡では線形的におかし
いので、どこか不動坂の下から出てくる可能性
があります。
 しかし不動坂のポジションがあまりに低いの
で、トンネルは埋められている可能性も非常に
高い状況ではありますが。。。
 (季節チェンジ!
 8月の探索を融合しております)
 暫く進んで、ふと左手を見ますと。。。

 !!!

 何かある!
 急いで駆け上ります。
 
 んんん???

 なんか様子が変です。トンネルではないのか
なあ?上部の分厚いコンクリは不動坂の道
部分のようですが。。。
 うおおおお。。。

 道路下に空間が。。。かなり珍しい状況です。
 手前には木製の杭と有刺鉄線を張って封鎖
していた形跡があります。
 これは間違いないのではないでしょうか。
 。。。軌道はどうやら、上部の道に対して斜め
に刺さっているようです。意外と奥行きがありま
す。
 上の写真を見ますと、結構奥深いのではない
か、と思わるかも知れませんが、実際はこんな
程度です。
 軌道の下部が埋まってしまっているというより
かは、軌道上部が不動坂によって削られてし
まっていると考えるのが自然ではないでしょう
か。
 しかし、なんで埋めてしまわなかったので
しょうか。これだけのスペースなら、上部の道の
安全上埋める方が無難な気がしますが。。。
 内部からの映像です。
 うーん、この空間だけ残す意味を図りかねま
す。。。
 (カーソルオンでフラッシュなし映像です。)
 側面の石組みは、上部の道路整備の際に
施工されたものと思われます。
 軌道トンネルはその殆どが素掘りですから。。。
 不動坂トンネルはともかく、2号トンネルがその
姿を辛うじて残していてくれたことが嬉しかった
です。
 この後、軌道は川沿いに上流に向かっていた
そうですが、この先は堰堤もあり、追跡は困難
です。
 また、このトンネル跡からすぐの道筋も非常に
曖昧です。これ以上の探索は断念します。

 しかしながら、兎にも角にもこれまで高野山
森林鉄道トンネルは計10本確認しました。
 他にもあの辺が怪しいなどの情報をいくつか
貰っていますので、全容を是非解明し、この
シリーズを継続させたいと思います。