大戸川発電所導水路隧道橋梁群


滋賀県


その2


  


                2013年12月訪問

 急斜面を導水管が駆け上がっています。
 兎にも角にもここを登っていかなくてはなりま
せん。
 左手にもスロープ状の歩道がありますが、直登
階段を行きます。
 中段に到達。結構キツイですな。。。
 ここからさらに急傾斜になります。
 中段でこの高低差です。
 この高低差こそ水力を生み出す源ですな。
 ひいひい。。。
 ようやく上までやってきました。
 導水管の素材は鉄でしょうか。
 しかし上部は石積みのまま残っています。
 導水路のゴール地点、静水池に到達しまし
た。あーしんど。
 静水池と言われるように、水の流れはここで
一旦澱みます。そして調整されて一定の流れ
が導水管の中に。
 オーバーフローした際の余水吐も奥にありま
した。
 導水路延長4,156m!
 ご丁寧なことにちゃんと記載があります。
 ちょうど → の所からのスタートです。
 ここからいくつの石橋が出てくるのか楽しみ
です。
 水路内に立ち入らないでください、とのこと。
 要するに歩くここは一般開放されている、って
ことでしょうねえ。
 上の地図で水路がちょこちょこ切れています
が、それはこういった奴です。
 後年追加されたコンクリート覆いです。ここは
暗渠ってことになりますが当然ノーカウントです。
 水路にはたっぷりの水が、異様なスピードで
発電所方面に動いていています。
 見た目静かな水面ですが、おちたら流されま
す。注意しましょう。

 
 この導水路は常にこのように巡視路が横に
あります。ハイキングでも使われるようですん
で、探索は非常に楽です。
 静水池から100m程でしょうか、早速谷筋が
現れました。
 写真は通り過ぎてからの振り返りになっており
ます。
 コンクリートで固められた擁壁の下。。。
 よおおっく見ると、穴が開いてる?
 谷に駆け下りて確認すると。。。
 おお!石桁です!
 アーチではありませんでしたが、このコンクリ
で固められた擁壁の底に奇跡の石桁です!
 内部もばっちり石桁です。
 水路は内部で一気に斜めに駆け上がってい
ます。
 それに伴い、天井石桁も階段状に上がって
いっています。
 全面石積みです。
 103年もの間、ずっと水路を支え続けている
んでしょうか。全く揺るぎなさそうです。

 お約束の内部から振り返り。
 狭い水路です。
 山側からも確認。
 こちら側は切石乱積みになっています。
 恐らくこれが往時の擁壁の姿でしょう。
 山側の宿命、瓦礫が押し寄せ埋没しかけて
おります。
 カメラ突っ込んで撮影。
 おお、こちらからだと階段状になった石桁の
様子がよく分かります。
 記念すべき第一号の石桁暗渠の場所はこの
辺です。
 ここで地図表記や名称の付け方をご説明致し
ます。
 
:石アーチ暗渠(橋梁)
 
:石アーチ水路橋
 
:石桁暗渠
 
:隧道吐口&呑口
 
×:コンクリ水路橋
 
赤色:暗渠(橋梁):導水路の下を谷川が潜る
 
青色:水路橋:導水路の上に架かる谷川橋
 
緑色:隧道
 ざっとこんな感じです。
 
 続いて名称ですが、基本1つの物件に2つの
名称を付けています。
 先ずは通し番号。取水堰堤側を起点、発電所
側を終点にて通し番号を付けています。
 もう一つは谷の名称が分かった時、○○谷
橋梁とか水路橋とかにしています。谷の名称が
分からない場合は通し番号の名称のみ記載し
ています。
 因みに通し番号は石アーチと石桁橋のみに
付番しています。
 この第一号の石桁暗渠の名称は、
 
第17号橋梁としました。つまりこの物件は谷
の名前が不明、取水堰堤から数えて17本目の
石造り橋梁or水路橋ってことになります。
 あ、地図のアイコンをクリックすると、名称が
表示されるようになっています。
 
2014年1月再訪問時に石アーチが1件増えま
した。よって、ここの石桁橋梁は、
 
第18号橋梁に修正致します。
 さあ水路は始まったばかり。
 ずんずん進みます。
 こういう暗渠は今後腐る程出てきます。
 全部覆ってしまわないのはありがたいですけ
どね〜
 次の谷がやってきました。
 さあここはどんな橋梁になってるでしょうか。
 。。。っておろろんさんが乗っている所は一応
水路橋ですな。暗渠と一続きになっているので
分かりにくいですが。
 しかしコンクリですんでノーカウントです。
 こっちがメインの谷ですな。
 しかし様子が。。。
 おおお!?なんだこりゃ!?
 導水路は暗渠になっており、その上にコンクリ
構造物が。。。
 谷を階段状の構造物が覆っています。
 この谷は相当改修された模様です。
 こういう時に限って谷の名前が記載されて
います。
 「姥婆が谷」だそうです。
 恐らく読みは「ウバガタニ」だと思われます。
 姥婆が谷水路橋

 ですかね。残念ながらコンクリート改築されて
おりました。

 2014年1月新年早々再訪問。
 コンクリ改修。。。と思ってましたが。。。上の写真右奥の開口部からこのコンクリ水路橋を撮影してみると。。。
 むを!!!欠円アーチの姿が。。。!?

 上の写真を拡大&トリミング。見事に欠円アーチの姿を捉えることに成功。
 撮影方法は後半のもう1件をご覧ください。
 上部は改修されたものの、アーチ部分はしっかりと切石の水路橋として機能しておりました。素晴らしい!
 よって、この
姥婆が谷水路橋は第17号水路橋に昇格致しました。
 取水堰堤から3.8km地点。
 まだ300m程しか進んでません。

 ここで!何かが見えてきましたよ〜
 きました!本日最初の隧道!
 もう一瞬見ただけでそのフォルムに魅惑され
ます。

 大戸川発電所導水路 第7隧道 吐口です!
 総切石造りの明治隧道です!素晴らしい! No.7 隧道のプレートの下に薄っすら延長が書かれています。
 それによると延長は
72.235mです。72メートル23センチ5ミリ。。。って、いや細かいな!
 という突っ込みが欲しいとしか思えない表記です。。。うーむ、ホントに合ってんの?

 まあ、それは置いといて。。。うむ。見紛うことなく切石造り。
 坑門は布積み切石、笠石有り。見分けにくいですが、要石は五角形になっており、存在します。大きさは迫石と変わりません。
 水面ギリ画像。
 どうやって撮ったかは秘密です。

 やや右に折れる洞内。その内部は見事な切石積み!!!
 素晴らしい!総切石造りの隧道でした。
 当然ですが内部に入ることは叶いません。これが精いっぱいです。
 隧道ってことはさすがに巡視路も付いて行け
ません。直登することなくほぼ水平を保ったまま
迂回します。
 迂回して再び導水路に合流。。。って、ええ?
 なんか様子がおかしい。。。
 ちょうど谷筋に呑口があるようで、その谷の
名前はヒキサガ谷と言います。
 第7隧道呑口は。。。完全暗渠化されておりま
した。地下ではアーチになっているものと。。。

 内部を確認したくて、暗渠が途切れる所から
カメラを突っ込んで撮影してみました。
 すると。。。

 むむむむむ!?なんだこれは!?
 手前はコンクリ暗渠です。奥の明かりは第7隧道吐口からの光。
 問題は。。。アーチが2つ見える。。。気がする。。。
 しかも手前は欠円アーチです。奥に見えるのは半円アーチ。。。これが何を意味するのか。。。
 恐らく。手前のは完全暗渠化されたものの、元々は水路橋ではないかと。
 奥の半円アーチが本来の第7隧道呑口と思われます。
 ということはつまりですよ。
 この水路。。。これは
ヒキサガ谷水路橋
 
第16号水路橋ではないかと。
 欠円アーチの石橋がこんな所に潜んでいまし
た。。。油断ならぬ。。。

 
 ここに第7隧道のプレートがあるんですが、
本来の隧道坑口はもうちょっと奥なのではない
か、と。
 奥にあるのがヒキサガ谷水路橋のカベだと
思われます。
 手前の隙間から撮影しました。
 2014年1月、新年早々再撮影に来ました。
 この石積みに「第7隧道」のプレートがありま
したが、実はヒキサガ谷水路橋のものでした。
 亀裂にペイントがされてますなあ。
 では実際の「第7隧道」呑口はいずこに。。。
 水路橋の奥、山肌が崩れて土砂が堆積、その
姿を見つけることは叶いませんでした。

 まあそれは想定内です。今回の目的はヒキサ
ガ谷水路橋のアーチをいかにクリアに撮影する
か。これに尽きます。
 そして苦難の末。。。

 かなり鮮明な撮影に成功!ちょっと傾いてますが。。。
 もうこれではっきりしました。手前の欠円アーチがヒキサガ谷水路橋。奥の半円アーチは第7隧道坑門です。
 撮影は30分くらいかけて何度も実施。。。かなり失敗しましたが、なんとか。
 カメラはソニーα。ライトはおろろんビーム。当然水路内には入れないため三脚使用し逆さ撮影。ピントを半押しで合わせた
後10秒セルフタイマーにして水面ぎりぎりにポジショニング。ズームはレンズのみ使用し目一杯。
 帰ってからパソコンで拡大してトリミング、明るさ補正した結果がこれです。いやあ、こんなに手を入れたのは初めてです。
 この傾きからご想像されるかと思いますが、ファインダーはおろかモニターすら見えない状態で撮影するため、上下左右合わせる
のが非常に難しい。。。Wi-Fi内臓カメラでスマホでモニターチェックしながら撮影。。。って、どこまでやるねんwww
 今回のお浚いです。
 発見したのは以下の通りです。

 
:第17号橋梁→第18号橋梁
 
×:姥婆が谷水路橋
    

 
:姥婆が谷水路橋(第17号水路橋)
 
:第7号隧道
 
:ヒキサガ谷水路橋(第16号水路橋)

 以上の通りです。
 アイコンクリックして頂ければ名称が出ます。

 まだまだ続きます!
 以降 
その3 に続く!

 
2014年1月再訪問時に発見した内容は、次回
以降のマップで修正されます。