大戸川発電所導水路隧道橋梁群


滋賀県


  


                2013年12月訪問


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 大戸川発電所は1911年(明治44年)1月に京
都電燈によって牧発電所として運転開始されまし
た。
 滋賀県内では最も古い水力発電所のようで
す。
 ネットにて色々検索していた時に偶然目に留
まったのが、石アーチの写真。発電所に導水する
流路に石造りのアーチが多数写っておるでわな
いですか!
 こりゃいかん!居ても経っても、ということで
早速皆さんをお誘いした所、都合が合ったのが
おろろんさんと宮川さん。
 3名での探索と相成りました。

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 こちらをご覧ください。これが大戸川発電所の導水路です。延長は4156m!なかなかの高延長です。
 ここを往復するのはかなりホネです。てなわけで車2台使ってのデポ作戦をとりました。私の車を上流取水堰堤(右側)に停めておき、発電所へはおろろんさんの車で
向かう事にしました。これで片道行軍のみで済みます。
 取水堰堤からおろろんさんの車で県道16号を
西進する途中。。。
 おろろんセンサーに引っかかった物件がありま
した。
 ナント、県道の脇に石橋が!?
 崩れてはいるもののまごう事なき石橋!
 なんちゅうセンサーしとるんだおろろん氏
よ。。。 
 片側の橋台石積みが崩れたため、石桁が落ち
てしまったようです。

 反対側から。こちら側の石積みは異常ありません。一番外側の桁はちゃんと乗ってます。
 この桁橋は。。。馬車道時代のものでしょうか。だとすると大変貴重な遺構だと思うんですが。。。
 2本目はまんま脱落。
 3本目は活きているような感じがします。
 ちょっと手直しすれば復活できそうな雰囲気
はあります。
 下はあんなですが、歩くのに不安な感じが
不思議としません。

 大戸川ダム関連県道付け替え工事のすぐ下
に当たります。
 どうか撤去されないように(何やったら修繕さ
れますように)。

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 場所はこの辺です。
 詳細地図が出ませんのでアレですが、桐生辻
2号堰堤の少し東側(上流側)です。
 さらに西進(下流、発電所方面)すると、今度
は一本桁の橋梁を発見します。
 まあ一本桁ってのは今の現状で、元あった桁
が流失した結果でしょうが。。。
 元々は5,6本あったと思われます。
 1本でも残ってたのはもう奇跡的ですな。
 明治期以前の道筋でしょうか。
 今でもよく分かります。
 場所は。。。発電所から東進するとあります。
 県道から見えます。

 思わぬ拾い物でしたが、いい加減発電所に
向かいましょう。
 。。。とちょっとお待ちください!
 2014年1月新年早々再訪した際にもう1基確認
できましたので、そちらも追加でお伝えします。
 こちらは石桁5本、全て生きています。
 右奥に県道16号が走っていますが、ここは
車道以前の旧道だったのではないでしょうか。
 轍があります。が、この轍は石橋を渡る寸前
で右に折れています。
 さすがに車で渡るのは危険すぎます。
 しかし見事な旧線ラインですな。
 旧道はまっすぐ奥のプレハブ建屋方面に向か
い、4棟建っている方向に向かって現道と合流
していたのではないか、と。
 いい感じですね〜。
 歩く分にはなんの不安も感じられません。
 ローアングルから。
 うむ、見事に石桁です。

 本当に現道に近いですな。車道以前と桁橋。。。明治、大正かはたまた江戸か。。。
 この大戸川で石桁橋の存在は3か所確認できました。探せばもっとあるかもしれません。

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 場所はこの辺です。

 今回の舞台。大戸川発電所!
 大戸川を渡って南側に発電所設備、及び導水路があります。

 この橋は「斧研橋」と言います。
 かなり変わった名前ですね〜。しかも読みは、「おのとぎ」ではなく「よきとぎ」です。
 「ヨキ」とは林業などで使う手斧のことです。
 ※因みに手前の道路(r16)は路肩が崩壊して、修復中です。

YAHOO!ショッピングから写真お借りしました。
http://store.shopping.yahoo.co.jp/anyoujiya/bceaa5e8a5.html
 余談ですが、これが「ヨキ」です。
 古来から木は神聖なものであり、切る際は
お酒や五穀を供えていたそうです。
 ただ、常にそのようなものは持って行けない
ため、斧の表に4本筋(地水火風を表し、山の幸
や五穀を意味します)、裏に3本筋(お酒を意味
するそうです)を彫って、これを木に立て掛けて
拝んだそうです。
 この3本筋を三気(みき)、4本筋を四気(よき)
といったところから「ヨキ」と名が付いたそうです。

 参照ブログ
 山いこら♪ 様

 発電所側より。県道の修復状況が見えてますな。
 因みに橋の竣工は1959年(昭和34年)1月。発電所は1911年(明治44年)1月生まれです。
 ということは当然この橋の先代が存在した訳で。。。
 因みに因みにこの道は「大津市道東1216号線」だそうです。河川占用物件標示板に記載がありました。

 はい、これが先代の橋脚跡のようです。但し先代というだけで、初代というわけではないと思います。
 明治ですからコンクリート製ってことはないでしょうから。
 1基の橋脚に脚がたくさんあったみたいですが、1本が細いですな。それで流失してしまったのかもしれません。
 よきとぎばし。。。何故そう云われるようになったのかは分かりませんでした。
 なかなか前に進みませんな。。。
 しかしようやく発電所へ。
 「関西電力 大戸川発電所」です。

 大戸川発電所の発電建屋です。
 総煉瓦造りの建屋!最高ですな。現役稼働ということで、ますます貴重です。
 尚、この建屋は土木学会選近代土木遺産
Aランクに指定されています。

 切妻屋根(2面の傾斜屋根のみで構成されるシンプル構造)の煉瓦建造物
 屋根下部分には雁木と櫛歯を両方使い、帯には櫛歯を使う拘りよう。真円アーチの窓に、かつては配線を通していたと
思われる小窓が15個も並んでいます。雨露除けと思われる庇煉瓦も装飾的です。
 その建屋足元には。。。
 総切石造りの導水吐口があります。

 大戸川発電所の導水吐口です。敷地内にある為、いいアングルで写真が撮れません。これが精一杯です。
 明治生まれの発電所から大量の水が吐き出される光景。。。素晴らしい!

 ズームで!
 総切石造りの吐口坑門。坑門は切石布積み。大きさはまちまちで、規則性はありません。
 笠石有り、欠円アーチで迫石は片側8個の16個。迫受石で側壁切石と接続。要石もしっかりあります。
 竣工当時からのものであれば2014年1月で103歳になります。現役ばりばり!
 吐口前には敷地外の車道があり、そこを橋梁
で潜ります。

 因みにこの橋梁は「斧研1号橋」といいます。
 いやあ、たくさんヨキ研ぎますねえ(笑)
 この橋梁名、忘れたころに再会しますよ。
 川床目線で吐口を見ます。
 内部の様子は窺い知ることはできません。
 大戸川から取水した水を再び大戸川に。
 まさにクリーンエネルギーの先駆けである水力
発電。明治時代から考え抜かれた素晴らしい
設備です。

 導水路へは発電所建屋を回り込みます。
 360度どこから見ても煉瓦造りの建屋です。
 建屋最後の面です。
 ここの地下に向けて巨大な導水管が突き刺
さっています。
 中で何が行われているのか。。。
 タービンを水が回して発電。。。みたいな事を
聞いたことがありますが詳しくは知りません。
 窓にもアーチが使われています。
 長手1小口2の縦積みです。要石付き。
 芸が細かいですな。

 さあ!この導水管の先からいよいよ導水路の始まりです。
 長さ4km超にも及ぶ導水路にいくつの石アーチが存在するのか。。。

 以降 
その2 に続く!