仏生山トンネル



東海道本線 彦根−米原間


 

 
 滋賀県彦根市と米原市境に、東海道本線の旧トン
ネルがある。。。以前から知ってはいましたが、なか
なか訪れるチャンスがありませんでした。
 というのも、この廃トンネルの位置関係が実にいや
らしい。西側は現行路線が立ちふさがり、東側は山に
阻まれる。北側は旧トンネルすぐで現行路線にぶち
当たり、西側と同じ状況。唯一のアプローチと思われた
南側も、万年工事中のガードマンや傍の浄化センター
からの人目に付きやすく、なかなか接近ができません
でした。
 そんなまごまごしていた時、掲示板に廃トンネル危う
し!の報(国道8号バイパスの計画線に近いようで
す)を頂き、急遽訪れた次第であります。
 アプローチはやはり南側。工事も浄化センターも
やっていないであろう日時。。。日曜日の早朝を選択
して訪れました。案の定人の気配がない。。。よし
いける!
 万年工事中(ただそう思い込んでいるだけですが)
の現場です。何の工事かと申しますと。。。

 
 下水道事業のようです。工期はなんと平成22年
12月まで。。。やっぱり万年やし。。。
 工事区間は意外と短く、これは先に進みやすいか
もしれない、そんな期待感を抱きます。
 上の写真で茶色に変わるダート道までやって来まし
た。そして振り返り。おや?真っ直ぐにも道はありま
す。それは工事現場に一直線という感じです。
 その茶色のダート道の右側には、朽ちかけの電柱
らしきものが立っています。どうやらこの茶色ダートが
旧東海道本線の路線に当たるようですね。
 ということは、旧路線は工事現場により完全に部分
消失をしてしまっているようです。
 下水道工事現場の反対側、すなわちトンネルがある
はずの方向ですが。。。
 なんだか雲行きが怪しいような。。。しまった!手遅
れか!?あの人工的な盛り土が不安をかきたて
ます。
 盛り土を左手に廻り込みつつなだらかに上ります。
明らかに旧線よりも高い位置に連れていかれます。
 むおっ!
 道が終わっとるがな!?
 トンネルはどこいったのか?まさかもう手遅れと
かないやろなあ。。。
 !!!

 なんか見える!
 これは明らかな。。。
 やった!残っとった!
 よかった。。。
 かなり眼前まで盛り土に迫られつつも辛うじて残っ
ておりました。
 笠石、帯石、そして要石が切石です。
 他は全て煉瓦仕様。
 胸壁はイギリス積み、迫石の巻厚は4層となって
おり、ピラスターも備える立派な坑門です。
 そしてなんと言っても2連トンネルであることが珍し
い!
 ずっしり重量感満点の要石。
 立派です。
 こんな触れるポジションで見たことないので、迫力
が違います。
 要石からトンネルを覗き込みます。
 おお!埋没していません。水が溜まっているものの
無事に貫通しています。 
 工事用の階段がトンネルから先程の盛り土上に
続いています。
 ほぼ路面からの目線です。
 意外と延長ありますねえ。やや右にカーブしている
のも意外です。
 架設階段のあるトンネルは水溜りがひどかったの
で、もう一方のトンネルに入りました。
 こっちのトンネルも、もう寸止め状態です。辛うじて
塞がることなく現存します。
 。。。こっちもそれなりにひどい水溜りです。。。
 なんとか一面水溜り部分は突破しました。
 ここから見ると本当にちょっとしか隙間が開いてい
ないように見えます。
 退避坑、やっぱりありますねえ。。。
 2層の欠円アーチを備えます。
 南側から見て、右側のトンネル北側坑口です。
 こちらは随分明るく、特にトンネルの危険が迫って
いる様子はありません。
 東よりのトンネルには資材が置かれていました。
 北側は想定どおり現行路線との合流地点がすぐ
そこにありました。
 北側坑口の全景です。
 こちらは刈り払いされ、盛り土もなく、非常に視認
しやすい状態で残されていました。
 うーん素晴らしい!
 念のため西側のトンネルも内部を確認します。
 北側には水溜りはありません。
 殆ど景色の変わらぬ西側の北側坑口。
 
 やはりこっち側の方が水溜りの長さがあります。
 
 しかしながら、この2本のトンネルには大きな損傷
もあまり見られず、比較的よい状態で残っています。
 ピラスターを5本も備える規模の大きな2連トンネル
遺構です。
 北側から見る分にはまったく危なげない状態です
が、南側はもういつ埋っても不思議ではない状態
です。
 果たしてバイパス道新設の影響はどれほどあるの
でしょうか。
 願わくば、保存して頂きたいものですが。。。