旧浅倉トンネル



山陰本線 八鹿−江原間(兵庫県 豊岡市)


 


 ピカ氏より情報提供頂いていた隧道を求めてやって来
たその場所とは。。。
ここは、兵庫県は豊岡市、国道312号線のバイパスが通
る地点です。このバイパスには3つのトンネルがあり、南
から「浅倉トンネル」「城山トンネル」「国分寺トンネル」で
す。その3つのトンネルのうちの一つ、最も南に位置する
「浅倉トンネル」の周辺が怪しい。。。と、事前の地図調査
で感じておりました。
 ピカ氏の情報に最も近い場所とは。。。旧養父町ではな
いが程近い旧日高町(現在豊岡市)、南北に流れる円山
川に沿って走るのは国道312号線と山陰本線の2本です
 その国道312号線は、豊岡市に入った所からバイパス
道と旧国道の2本に分岐します。
 写真に見える白いトンネルはバイパスの「浅倉トンネル
」です。ここからは見えませんが、右手に旧国道が分岐し
ています。左手の山中には山陰本線の「浅倉トンネル」
が走っています。
 バイパストンネルと鉄道トンネルの間。。。臭うのはこの
2本のトンネルの間、写真では、白いバイパス浅倉トンネ
ルの左手付近です。
 真新しく造成された支流の河川とバイパスの橋梁。。。
その奥に暗い影が見えるような見えないような。。。
 バイパストンネル横に旧トンネル?があるとでも言うの
でしょうか。
 旧国道はしっかり現役で存在するのです。あの奥に見
えるのが旧国道の橋梁で、旧国道は円山川に沿って走っ
ています。
 振り返ればこのような景色。。。左側にバイパスの大き
な擁壁が聳え、造成されたこの支流にかつて旧道があっ
たかどうかは最早見ることができなくなっています。
 さらに接近すると。。。間違いない!穴が見える!
 なぜこのような所に穴が開いているのか。。。
 。。。。。。。すさまじい有様です。。。
 みっちり緑の滝に覆われたその姿は不気味そのもの。
 左の階段や右手は、廃されてから造られたもののよう
です。
 それにしても。。。レンガ造りの坑門ですよ、これ。。。

 まともに判別できるのはここだけです。笠石、帯石、ピラ
スターも備える立派な坑門のようです。迫石も見受けられ
ます。
 坑門前から振り返り。。。
 何がなんだかさっぱり分からない風景になってしまって
います。よくこの隧道だけ残っていたものです。
 内部映像です。。。。。。。。。。。。
 これって鉄道トンネルではないですか???
 実は地図で当たりを付けた時から、鉄道トンネルの存在
を疑っておりました。バイパスの隣に廃車道隧道がある
とは考えられなかったですので。。。
 南側の坑口です。
 日陰が多いせいか、南側坑口ではあるものの、じめっと
して、低地植物が密生しています。
 至る所に残る補修の跡。。。現役時代からあまり状況は
芳しくなかったようですね。
 入洞後程なくして振り返り。
 アーチは全体がレンガで構成されています。
 待避所も備えます。鉄道トンネルである何よりの証拠
ですね。

 それにしても先が見えません。。。
 更に前進。。。。。。。
 入洞直後から異変を感じていました。風が流れてない
感じで、こうもりの糞の臭いがきついこの状況、さらに深く
なる靄。。。
 振り返るとまだ南側の光は届いていますが、靄はひどく
なる一方です。
 !!!
 やはり怖れていた事態が眼前に現れました。。。
 閉塞。。。北側の坑口は完全に閉ざされておりました。
 下7割まで、砕石が積まれ、奥には一目見て揺るぎなさ
を感じるコンクリの壁にて塞がれています。
 砕石の上に乗って南側を撮影。左に曲がる洞内の先に
辛うじて光を見ることができます。ここが最深部ということ
になります。距離にして300mほどでしょうか。
 左隣にあるバイパストンネルは延長305mですので、
ほぼ間違いないでしょう。
 蓋をされてしまった理由は何だったのか。。。
 その理由を求めて、北坑口側に廻りました。
 北側に廻ってきました。ちょうど電車が現役浅倉トンネ
ルから出てきました。左側の新しいトンネルが浅倉トンネ
ルです。2002年11月竣工ですので、それ以前は北側の
坑口が生きていた可能性がありますが、今は。。。うーん
遠めからでは分かりません。
 バイパス橋梁から2つのトンネルの位置関係を見ます。
鉄道がバイパスの下を斜めに通過します。
 旧トンネルの痕跡は全く見受けられません。
 推測の域を出ませんが、この浅倉トンネルと旧トンネル
の北側坑口は被ってしまっているのではないでしょうか。
 南側坑口は浅倉トンネルとほぼ同じ高さにあったため、
現役鉄道トンネルよりも上を通っていたと考えられます。
 また、南側で隣同士だった両トンネルが、浅倉トンネル
が右カーブに対して旧トンネルは左カーブ。同じ高さでこ
のお互いのカーブの仕方では被ってしまってしかるべき
と考えます。
 真新しいバイパストンネルの白い坑門の横に見える
薄汚れてしまっているコンクリの擁壁。。。あれがひょっと
したら旧トンネルの名残りなのかも知れません。
 ピカ氏が記憶されていた状況とは大分違いますが、恐ら
く、バイパスが出来る前と出来た後の風景の差ではない
かと考えますが、いかがでしょうか???