(仮)旭隧道


奈良県


 

 
 奈良県十津川村北部、十津川と大峰山脈
に挟まれる険しい山中に伸びる林道があり
ます。
 十津川沿いに走る国道168号線からこの
林道は東に伸びており、ここの看板には
「旭線」「栗平線」の2つの名前が併記されて
いました。
 旭線は国道168号線から旭ダム付近までで
しょうか。
 一方栗平線は分断林道となっております。
一方は、旭ダム付近から不動小屋谷を遡上
し、釈迦ヶ岳登山道(大峰奥駆道)までは整備
されています。もう一方は、ずっと南方の風屋
ダム付近の国道168号線から栗平川を遡上
し、無人の栗平地区まで続いています。
 この間の栗平林道の整備は全く行われて
おらず、車はおろか、栗平地区から先の水無
谷は人も歩けるかどうかという状況です。
 今回の物件は、ある掲示板情報により、この
近辺の隧道情報をえていたことにより発見
できました。
 旭林道から栗平林道へ、険しい山中ではあ
るものの、林道自体の整備は行き届いており
走りにくさは感じません。
 この林道の先に集落はありませんが、旭
ダム、旭貯水池と奥吉野発電所、そして一般
人は入ることができない瀬戸ダムと瀬戸貯水
池があります。これに付随する関係車両のた
めに整備されているようです。
 奥吉野発電所を抜け、しばらく旭貯水池沿い
に進みますと。。。見えてくるのがこの風景
です。。。
 ビクッとします。とともに我が愛車も停車。
ななな何だあれは。。。
 発電所関連の坑道?とかでしょうか?
 。。。坑道にしてはでかすぎるその坑口。
 隧道トンネルにしてはヘンな形をしていま
す。
 この形は。。。

 上の写真のトンネルは兵庫県多々良木ダム
付近の黒川トンネルです。
 ダム、発電所関連に多い形状なんでしょうか。
 。。。それにしても、横からは滝の流れがあ
り、明らかな廃の匂い。。。しかし封鎖もなさそう
です。林道真横なのにねえ?
 封鎖は。。。一応ありますが、車止め程度で
す。
 水蒸気が結構発生してます、うまく撮影でき
ません。
 天井部には架線のようなものがありますが、
照明設備でしょうか?
 内部から西側(国道方面)に向かって撮影。
林道のルーティング上、右から曲がってきて
そのままこのラインに突っ込むのが自然のよう
に思えてきますが、さて。。。
 見上げると気になる架線が。
 普通に照明用のようです。
 。。。しかしその照明は普通の蛍光灯を使用
しているように見えます。
 
 洞内側壁は垂直のコンクリートで覆われて
います。
 天井部は一般の隧道のように、木の型枠を
使ってコンクリを流し込み施工されたようです。
 もっと内部の映像です。
 相変わらず水蒸気が多い。。。
 
 天井一部コンクリートが剥離しています。
 鉄骨が剥き出しです。
 3割程度の壁で塞ぎをいれた洞内。
 車止め程度で考えているようです。
 このタイプの隧道にある鋼製の支保工。かな
り珍しいですねえ。

 
 なんだかいろんなものが目に付きます。
 よくわかりませんねえ。
 洞内を水が西側に流れていきます。
 洞内はやや西側に傾斜しているようです。

 (カーソルオンでフラッシュなし撮影)
 洞内が左にカーブします。明かりは見える
ので、出口は近いようです。
 それにしても瓦礫とゴミが多くなってきた
なあ。
 水蒸気が一気にすっ飛びました。西側に
溜まっていたようです。
 水蒸気はなくなりましたが、代りに大量の
投機物が。。。
 出口が近くなってきました。
 この辺には投機物はありませんな。
 ここが当時の姿を一番見て取れる感じが
します。
 西側の坑口は見えています。
 瓦礫の溜りが多いですねえ。
 
 随分溜めつつようやく外が見えてきました。
 やたら光が早く刺すなあ、ふと思いましたが
その理由はすぐわかりました。
 。。。???

 !!!削れとる!!!

 左側の坑口が斜めに削れています。
 なんたる有様か。。。
 天井部も気になっていましたが。。。穴が
完璧に空いています。鋭い光を差し込ませて
います。
 上部から落石でもあったのでしょうか。
 洞内より半分脱出しました。。。表現がヘン
ですが、一応正しいのです。。。洞内が半分に
なってますから。。。
 で、普通にアスファルト道が伸びていますが、
これが言うまでもなく林道です。
 東側坑口です。。。うーん、削れています
なあ。
 容易に元の姿を想像できるぐらい、綺麗な
断面。明らかな人為性を感じます。
 なぜこんなに削られているのか、と申します
と。。。
 ええ、お察しの通り、現行林道が脇を抉って
おるのです。
 正面のコーンの立っている坂道は、この隧道
の上にある広場に行く道です。採石場でもあっ
たのかもしれません。
 最後に少し遊んでしまいました。
 延長は100m程でしょうか。地図、資料に
一切登場しない、旭貯水池畔の不思議隧道。
純粋に車道隧道だと思います。現行林道が
当時は山になっていて、そこを穿つ隧道であっ
たのかもしれません。
 この隧道の存在は殆ど知られることなく、現役
から廃化まで静かに佇んでおりました。